どこでも個室というロマン。ウェアラブル端末「WEAR SPACE」をパナソニックの精鋭部隊が製品化スタート

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どこでも個室というロマン。ウェアラブル端末「WEAR SPACE」をパナソニックの精鋭部隊が製品化スタート
Photo: ヤマダユウス型

集中できる環境への新アプローチ。

2018年10月2日(火)、パナソニックがウェアラブル端末「WEAR SPACE」のアジャイル開発を行なう「WEAR SPACE Project」を立ち上げました。WEAR SPACE自体はすでにお披露目されていた端末ですが、いよいよ本格的にやってきますよーという発表ですね。

パナソニックのカッティングエッジな新プロジェクト

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Photo: ギズモード・ジャパン編集部

WEAR SPACE Projectは、厳密にはパナソニックの家電デザイン部門で先行開発を担当するパナソニックアプライアンス社デザインセンターのFUTURE LIFE FACTORYが、ガジェット開発をサポートする株式会社Shiftall(シフトール)との合同プロジェクトとして生まれました。デザインセンターは京都や海外にも拠点があるんですが、東京の場合、事業に紐づかない先行開発が行なわれているそうです。

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Photo: ヤマダユウス型

Shiftall代表の岩佐琢磨さんは、Cerevo(セレボ)の創業者というとピンとくる人は多いんじゃないでしょうか。今回のプロジェクトでのShiftallの役割を、岩佐さんは「輸血」と表現し、スタートアップのマインドを大企業パナソニックに注入していくとコメントしていました。

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Photo: ギズモード・ジャパン編集部

WEAR SPACEは、ファッションブランドANREALAGEの展覧会やSXSW2018にも出展していて、国際的なデザイン賞であるRed Dot Design Awardではデザインコンセプト部門でBest of the Bestを受賞。3,000点以上(!)のプロダクトから選ばれたんですって。すごい!

まったく新しい集中特化型ヘッドギア

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Photo: ギズモード・ジャパン編集部

じゃあこの不思議な見た目のWEAR SPACE、一体どう使うのか。これはヘッドフォンとパーティションが一体になったようなプロダクトで、集中力を高めたり、心理的な個室をモタラしてくれます。ヘッドフォンのようだけどヘッドバンドがなく、でもBluetoothで音楽も聞けるというキメラなシロモノ。

イヤーパッドにはアクティブノイズキャンセリングが仕込まれていて、外部のノイズをカット。さらに頭の周りをぐるっと覆うパーティションが水平視野を6割カットします。周辺視野をあえてカットすることで、目の前のタスクに集中させる、というのがねらい。

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Photo: ヤマダユウス型

周辺視野がカットされた視界はこんな感じ。作業中に視界の端で何かがザワついたりすると気を取られたりしますけど、そうした雑念をパーティションがカットしてくれる、と。なるほどなぁ。

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Photo: ギズモード・ジャパン編集部

あ、さっきの写真はこんな風に撮影したので、視界のカット具合は正確じゃないですよ! イメージとしては左右に黒いのが入ってくるんだなぁ、くらいに思っていただければ。

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Photo: ギズモード・ジャパン編集部

装着して作業するとこのような見た目に。ひと目見て「今集中してますよー」と伝わるルックスも、デザインとして重視したそうです。コワーキングスペースやオフィスでコレ着けてると、あのひとは集中してるなってわかりますしね。なんだかラーメン屋の一蘭みたい?

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Photo: ヤマダユウス型

オープンな仕事環境がトレンドになりつつある昨今において、パーソナルさを求めていくというのはカウンター的ですね。「集中力は生産性に直結する」という言葉もズシンと来まして、こうしたアプローチで仕事なり趣味なりをブーストするのは心身にもグッドな気がしますよ。

パナソニックのような大企業だと、スタートアップ的な製品デザインは絵に描いた餅ということが多かったそう。でもWEAR SPACEは、まず出してみるの精神で進めていって、社外のフィードバックをもらいながらブラッシュアップしていきました。このスキーム自体、パナソニックにとっても刺激的だったみたいです。

さらに岩佐さんは、ソフトウェア用語のフォーク(あるソフトウェアのソースコードから分岐し、新しいソフトウェアを開発すること)という言葉を例に出して、WEAR SPACEは音楽を聞く機器が、集中のための機器にフォークした、とも。たしかに、この新ジャンル感は突然変異っぽくもある。

今日からクラウドファンディングがスタート

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Photo: ギズモード・ジャパン編集部

じゃあ、いつ買えるのかというと、国内クラウドファンディングサイトのGREEN FUNDINGでの資金調達が今日から始まりました。パナソニックが企画、開発したプロダクトのクラウドファンディングは初とのことで、ここもまた挑戦的です。一般販売は未定。

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Photo: ギズモード・ジャパン編集部

新しい生活文化の提案だったり、パナソニックが既存事業にとらわれない企業となるための挑戦だったり、いろんな面で新鋭なWEAR SPACE。東京ミッドタウン、二子玉川蔦屋家電2階、代官山ティーンズ・クリエイティブでは実際に装着する体験もできるので、さらなる集中を求める方はぜひお試しをば。

Source: GREEN FUNDING