性暴力に関する心痛むニュースがあるなかで、「若い男とはこういうものだ」といった相変わらずの言い訳や、決して弁解など許されないはずの行為を、10代の若者にありがちな悪ふざけとして片づけようとする言動を目にすることもあります。

はっきりしていることがひとつあります。

それは、私たち親が子どもに、性行為における同意の必要性をどれだけ説いても、それは十分ではないということです。

たった1回、子どもとぎこちなくセックスの話をしたぐらいで、「同意が当たり前」とされる文化を作ろうとしても、それは無理な話です。

これは、親が考える以上に早い時期から、根気強く伝えていくべき課題なのです。この記事では、子どもの年齢別に、性行為にまつわる同意について、親が教えられることをまとめました。

1. 子どもと性の話をする時は隠語を使わず、医学的に正しい名称を使うこと

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Image: Pexels

あなたの息子さんについているのはペニスであって「おちんちん」ではありません。娘さんの外陰部も「女の子の大事なところ」ではありません。

かわいく聞こえる隠語を使って性器を表現し、ごまかして伝えると、子どもに対して、性器は恥ずかしいものだという誤解を植え付けることにつながります。性器は恥ずかしいものではないのです。

全米性暴力情報センター(NSVRC)に所属する性暴力被害防止の専門家、Laura Palumbo氏は米メディア「The Atlantic」の記事で、身体の各部位に対して婉曲的な表現や口語的な言葉ではなく、言語学者が「標準的」と呼ぶような表現を使うことで、以下のような効果が得られると話しています。

身体に対する肯定的なイメージや自信を持つのに役立ち、親子のコミュニケーションも促進されます。また、危害を加えようとする加害者の意欲を削ぐ効果も期待できます。

また万が一、性的虐待が起きた際にも、何があったかを聞き出し、事態を明らかにして、犯罪捜査のための事情聴取を行う際に、子どもと大人の双方にとって助けになるはずです。

子どもにこうした言葉を教えるための参考書が欲しい、という方には、Robbie H. Harris氏による子ども向けの性教育絵本『It’s Not the Stork!: A Book About Girls, Boys, Babies, Bodies, Families and Friends』(赤ちゃんを連れてくるのはコウノトリじゃない!:女の子、男の子、赤ちゃん、身体、家族と友達についての本)がおすすめです。

2. 快・不快を表現する言葉を身につけさせよう

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Image: Matheus Bertelli/Pexels

私たちが暮らす現代社会には、とかく「0か1か」で判断しがちなところがあります。明らかに悪いもの以外は、「悪くはないもの」としてやり過ごされがちです。でも、それで本当にいいのでしょうか?

身体に触られることで呼び覚まされる、さまざまな感情を具体的に表現できるように、親は子どもにもっと積極的に関わって教える必要があります。

作家で映画監督のSue Jaye Johnson氏は、性教育に関するTEDトークの中で、自分の子どもたちと行っている言葉遊びについて説明しています。

爪で娘の腕をひっかき、「これを1語で表現してみて」と尋ねました。すると娘は、「暴力的」と答えました。次に私は、娘をしっかりと抱きしめました。今度は娘から、「守られてる」という言葉が返ってきました。

このように、「身体感覚を言葉にする練習をすることで、自分の身体の感覚を把握できている時と、そうでない時の違いを理解できるようになる」とJohnson氏は説いています。

3. 親戚が相手でも、子どもに安易にハグをさせない

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Image: London Scout/Unsplash

たとえ相手が年末年始に1度しか会えないおばさんでも、彼女をハグをしなければならない義理は子どもにはありません。

米Lifehackerのライター、Jamie Greenが別の記事で書いているように、「子どもを安易にハグさせない」というガイドラインには、以下のような効用があります。

これは、(身体的接触には)同意が必要という考えを子どもに理解させる上での基礎になります。さらに、子どもが自分の身体との付き合い方を学ぶ上でも良い影響があるはずです。「誰をハグするかはあなた自身が決めること」と子どもに教えることで、その子は、自分の身体は自分のものであり、誰かほかの人の気持ちに迎合するために使ってはいけないということを知るでしょう。

もちろん、子どもがハグしたがっているなら、ぜひそうさせてあげてください! でも、ためらっている時は、親のほうから、ハイタッチやグータッチ、手を振るなど、ほかの方法もあると助け船を出すといいでしょう。

また、子どもがいろんな人との身体的接触で不快感を覚えていないかどうか、親が気をつけてあげましょう。

私の個人的経験から言うと、祖父母などの年配の大人は、ほかの方法を知らないため、くすぐるといった身体的なふれあいでコミュニケーションを取ろうとする傾向が強いように思います。

親側の対策としては、会話のきっかけになるような話題を用意して、子どもの身体に触らせないよう予防線を張るといいでしょう。

4. 「断わられる」体験に慣れさせよう

親は子どもに対し、自信を持たせることがいいと考え、それを子育ての目標にしがちです。

しかし、起業家で自らも父親であるJia Jiang氏は、これは誤りだと主張します。それよりも、許容範囲の広い、強い心を持つ子どもに育てることに集中すべきであり、そのためには「ノーと言われること」に慣れさせるべきだというのが、Jiang氏の持論なのです。

自らの「100日間拒絶チャレンジ」体験をTEDxのステージで語ったこともあるJiang氏は、「結果へのこだわりを捨てれば、そこに至る過程で自分が行った努力に目が行くようになります」と私に話してくれました。

Jiang氏は自らの体験から、拒絶されることは、その人自身の価値とは何の関係もないことを学んだと言います。拒絶とは単に、「こちらが申し出たものが、相手がちょうどその時に欲しいものや、必要としているものとマッチしていなかったというだけのことだ」というのです。

このような経験からJiang氏は、息子のBrianくんが拒絶とうまく付き合っていけるよう、自分が欲しいものを要求してかまわないが、相手からどんな答えが返ってきてもそれを受け入れるように、と教えているそうです。

5. セックスをお茶にたとえた動画で、「同意」について学ぼう

Video: Blue Seat Studios/YouTube

アメリカでは、最高裁判事に指名されたブレット・カバノー氏の性暴行疑惑が浮上し、告発した女性が上院の公聴会で証言を行う事態にまで発展しました。

この件について10代の若者の意見を聞いた「The Atlantic」の記事で、ライターのJoe Pinsker氏は、高校生たちは「同意」の大切さについてソーシャルメディアを通じて学んでおり、うち3人が「お茶と同意」というタイトルのYouTube動画について言及したと伝えています。

この動画はとても良くできていて、セックスにおける同意の問題を、お茶にたとえることでわかりやすく説明しています。

下品な言葉も使われていない「クリーン」なバージョンですので、8歳前後から10代までの年代の子どもに見せるには最適です。

性についての会話を、ためらわずに続けよう

子どもが成長していっても、親は同意に関する話をし続けましょう。ある程度大きくなった子どもには、「積極的同意」がどういうものか、概略を説明しましょう

注意していただきたいのですが、今はもはや、「No means No」(=相手に拒絶された時は性行為をしない)ではなく、「Yes means yes」(=性行為を行えるのは相手が積極的にその意志を示している時だけ)が大原則になっています。

10代の子どもたちには、パートナーが積極的にセックスする気になっているのか、そこをきちんと判断するよう伝えましょう。

テレビ番組や映画を、会話のきっかけにするのも良いでしょう。「#MeeToo」の時代となった今では、『すてきな片思い』のような80年代の映画は古くさく、時代遅れに感じられるかもしれませんが、「Common Sense Media」が指摘しているように、子どもとのより深い会話のきっかけとしては、今でも使えるはずです。

女性は「その気のない」フリをした方がモテるという神話や、アルコールとセックス、実際に関わっていなくてもその場にいるだけで加害行為を助長する恐れがある点など、話し合わなくてはならないトピックはたくさんあります。

子どもがつらい個人的体験を打ち明けてきたら、親である自分に話してくれたことを嬉しく思うと伝え、聞きたいことがあったらいつでも話せるよと伝えましょう。

性行為にまつわる同意については、誤った理解をしている人も多いですし、そんなことはどうでもいいと考える人たちもいます。早い時期から教育を始めることによって、そうした大人を作らないことが、私たち親の責任なのです。


Image: Pexels, Unsplash, Nowik Sylwia/Shutterstock.com

Source: TED(1, 2), The Atlantic(1, 2), Amazon, NSVRC, Rejection Therapy, Parent Map

Michelle Woo - Lifehacker US[原文