人間の重労働作業を代わりにこなします。
アメリカでは2足歩行でランニングし、見事なバク宙までキメてしてしまう「ATLAS」君なんてロボットがいますが……日本の国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)も負けてはいられません。
彼らが作ったのは、無骨な容姿でタッカーによる釘打ちをこなす、建設作業用ヒューマノイドロボット「HRP-5P」。合板を手に取りクルっと縦に持ち直し、壁にくっつけて電動工具でDIYしてしまう器用なヤツなのです。
なんということでしょう! ロボットが壁を作ってしまいました!
見た目はなんとなく映画『チャッピー』風な気がしましたが、なんと産総研はボストン・ダイナミクス社の「ATLAS」君を参考にデザインしたのだそうです。それでこんな機器類がむき出しで、フレームも最小限なんですね。
ちなみに産総研は2010年に、女型ボディーにリアルなマネキンの顔と手が付いた2足歩行ロボット、HRP-4C「未夢」を開発したことがありました。前作が彼女だったことを踏まえると、大違いです。
とはいえ「ATLAS」も「HRP-5P」も、カッコ良さや流行でこんなむき出しのデザインにしたワケではないんです。ロボットにはいろんなセンサー類が付随しているので、外装があるとそれらを隠してしまうことになってしまう……というのが理由なんですって。
公式サイトによると、「HRP-5P」は身長182cmで体重101kgとあります。手脚はもとより首や腰、胸などに合計37自由度を備え、関節の可動範囲は人間より大きく設計されていると書かれています。さらには頭脳も「新たに構築した作業対象物の画像データベースを用いて畳み込みニューラルネットワークの学習を行ない、2次元画像の10種の対象物領域を背景や照明の条件が悪い状況でも90 %以上の高精度で検出可能となった」とあります。
2足歩行ロボットといえば、かつては『エヴァンゲリオン』の背中から伸びるアンビリカルケーブルよろしく、電源供給用の太い電線があるのが当たり前でした。ですが近年では、モーターにかかる負荷を軽減し、動作に必要な電力が少なくて済むので、コードレスが主流になりつつあるのです。
産総研は2011年より、災害対応人間型ロボットの研究を始めたそうです。人命救助ロボはいろいろ研究されていますが、仮設住宅建造をアシストするロボットがいても良いんじゃないでしょうか。今後の進化に期待したいですね。