Insta360 ONE X ハンズオン:コンパクトな360°カメラ界を一旦リセットする王者

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Insta360 ONE X ハンズオン:コンパクトな360°カメラ界を一旦リセットする王者
Photo: 山本勇磨

すべてがアップデート。

10月10日、Insta360から新型の360°カメラ「Insta360 ONE X」が解禁されました。前々からティーザーが出ていた、アレです。そしてInsta360 ONE Xは、去年の夏に登場したコンシューマーフラッグシップ機「Insta360 ONE」の後継モデル。4Kビデオ撮影ができるコンパクト360°カメラとして人気だったONEがさらに高性能に進化しました。

今回は解禁前にInsta360 ONE Xを借りてハンズオン、その感想をお送りします。結論から言うと、隙がない素晴らしい360°カメラです。今までのコンパクト360°カメラを一旦リセットするゲームチェンジャーのような存在。ハードウェアから撮影の性能まで通して、2018年の王者感、あります。

ただしONEより1万円も高くなりました。5万2300円で販売。Amazonでは10月19日出荷予定です。

これだけで買ってもいい新機能

さっそく、この動画をご覧ください。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

新型では、こんな映像が撮れるようになりました。す、すごくないですか? Insta360 ONE Xを構えて動画を撮影し、アプリでちょこっと編集するだけで撮影できます。

去年、Insta360 ONEが登場したときのこと覚えていますでしょうか? 正式発表前のティーザー動画で見せた、撮影者のまわりを映像がぐるぐる回る「バレットタイム撮影」が話題になりました。360°であることを活かしたいわゆる“飛び道具”的なモードですが、今回のソレ枠にあたるのがこの「TimeShift」とも言えます。

もちろん進化はこれだけではないです。ハードウェアがまるまる新しくなったこと、ビデオ撮影が4K/30p→5.7K/30pまで撮影できるようになったこと、そして3番目にやっとこの「TimeShift」が来ます。それくらい今回の新型は濃いーんですよ。

キュートな本体。ついに来た、内蔵モニター

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Photo: 山本勇磨
新モデルのInsta360 ONE X(左)と旧モデルのInsta360 ONE(右)

ONEの筒型のデザインからスクエアな小判状のデザインになり、まとまりのあるデザイン。キュートです。

本体サイズはONEより大きくなりました。でもそのぶん薄くもなったので、ホールドしやすく、自然に指がシャッターに乗ります。結果オーライ。ONEは本体サイドにシャッターがあり、微妙に押しにくかったんですよね。

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Photo: 山本勇磨

なんていろいろと言ってますが、これが一番最高のアップデートだと感じますね。本体自体にモニターが備わったのです! アレやコレやの細かなアップデートをぜっんぶ持っていく改善。

何がいいのか? モニターのおかげで、今はどのモード/画質で撮っているのか、残り容量は、残りバッテリー、 知りたい情報が全部ここにあるんです。

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Photo: 山本勇磨
ONE単体で撮影するときは、本体サイドの1ボタンで操作していた

ONEはシャッター1度押しで写真、2度押しで動画撮影、3度押しでバレットタイム撮影(オプション)と基本1ボタンで全部の操作を行なうので、ミスります。あと操作を忘れます。そして、スマホに繋がないとバッテリー残量も確認できません。これが、このちっさい小窓ですべて解決しました。作例撮り中も、これは本当に役立った。

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Photo: 山本勇磨
Insta360 ONEには、Lightning端子(オス)が内蔵していた

逐一スマホにつなぐ必要がなくなった結果でしょうか、本体にはiPhoneに接続するためのLightning端子も内蔵されなくなりました。その代わりにBleutoothより安定したWi-Fi接続にも対応したので、無線でスマホに写真を転送できるように。

ただ、Wi-Fiでの転送はLightning接続に比べると圧倒的に遅いです。そのときは付属のmicroUSB - Lightningケーブルを使ってONE XとiPhoneを繋ぎましょう。というか、これでAndroidユーザーも気にせず買えます。

シャープな撮影が得意に

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Photo: 山本勇磨

ハードウェアの改良とTimeShift機能、それ以降の進化は主に、撮影スペックの向上。目に見えてわかる進化はここまで。以降はもっと深いところに入っていきましょうぞ。

まず、Insta360 ONE Xのスペックをおさらいします。動画性能が大きくアップ、静止画性能が少しダウン、レンズ口径が大きくなりました。

Insta360 ONE→Insta360 ONE X
動画:4K(3,840×1,920@30fps)→5.7K(5,760×2,880@30fps)
静止画:7K(6,912×3,456、24MP)→6K(6,080×3,040、18MP)
レンズ口径:F2.2→F2.0

5.7KといえばGarminの「VIRB 360」。また5.2Kの「GoPro Fusion 360°」あたりがライバルとなってきます。しかし、5万2300円という価格と、「気軽に取り出して撮影できる」という点では、ライバル機よりコンシューマーフレンドリーなカメラと言えます。

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Photo: 山本勇磨
ネックストラップが付属します

ネックストラップにしまって、ずっと首から下げておけるサイズ感。これは良いです。首から下げておくと気軽にパシャパシャ撮影できます。では、写真の作例から見ていきましょうか。

Insta360 ONE X

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Photo: 山本勇磨



Insta360 ONE

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Photo: 山本勇磨



Insta360 ONE X(HDR)

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Photo: 山本勇磨


すべてオートで撮影しています。画素数の低下、そこまで気にならないですね。むしろシャープネスが効いているのか、地面のタイルはぱちっと捉えています。ONE Xの特徴として、少し明るく撮影する傾向あり。

Insta360 ONE X

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Photo: 山本勇磨


Insta360 ONE

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Photo: 山本勇磨


左手の駅舎を見てもらえばよくわかりますが、やはりシャープな表現が得意になった?

5.7K動画。クロップしても、そこそこ使える

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

さてさて、お待ちかねの動画ですよ。どうですか? 最初のシーンは奥の建物に注目ください。この動画は5.7K/4Kで撮影した360°動画の一部分をクロップした映像となりますが、比べると全然ちがいます。

また、Insta360 ONEにはジンバルキラーと謳う手ブレ補正機能「FlowState スタビライゼーション」が搭載されています。

Insta360 ONEの大型アップデートは本当に「ジンバルキラー」だったのか?

飛び道具から、便利なビデオカメラへ。3月21日、Insta360 ONEに大型アップデートが配信され、高性能な手ブレ補正機能が追加されました。In...

https://www.gizmodo.jp/2018/03/insta360-one-gimbal-killer.html

これはONE本体に内蔵された6軸のスタビライザーを、スマホアプリ側でチューンして手ブレを抑える仕組み。FlowStateは今回のONE Xにも入っています。入っただけ? 進化はしていない? いえ、作例を見ると縦ブレがすくなっている印象。比べて見ないとわからない程度ではありますが。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

ONEで追加されたバレットタイム撮影も、解像度がアップ。またソフトウェアの処理も改良されたのか、スティッチも綺麗になっているのがよくわかります。

5万円、高いとみるか安いとみるか

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Photo: 山本勇磨

360°カメラの面白いところは、360°すべてを一度に撮影し、後から視点を自由に編集できること。今の360°カメラは「後編集でどう魅せるか?」がテーマになっています。YouTubeやFacebookは、視聴者側で操作できる360°動画のアップロードに対応していますが、見栄えは後処理でつくりあげたほうがリッチ。

ただし、です。後から視点を編集するなると、どうやってもクロップしないといけなくなってしまう。=カメラの解像度をフルに活かせないのも悩みです。上の動画の作例を見てもわかるように、ただただクロップすると粗が見えます。「360°カメラのなかでは」高画質であって、カメラ全体で見るとGoProやスマホには劣るんですよね。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

広角なカメラ欲しいなら、検討の余地なくGoProを買ったほうが良いです。一方で、このカメラの価値をもう一度じっくり考え直してら、やはり魅力的なTimeShiftバレットタイム撮影(あんまり使わないけど)になってくるんですよね。と言うと、5万2300円は高いですか? 安いですか?

確かにInsta360 ONE Xは、360°カメラのなかで一歩先を行っています。ライバル機と比べても小さく、高画素で、ONEの不満点(主にモニター)を潰してきた。そういった意味ではツッコミどころはなく、今買えるコンパクトな360°カメラのなかでは王者と言えます。

Source: Insta360, ハコスコ