子どもは好奇心でいっぱいです。それ自体はすばらしいことです。

しかし、子どもはまだ社会的合図をきちんと読み取ることができません。そのせいで、ときどき親をまごつかせることがあります。

善意でも「じっと見ちゃダメ」は人を傷つける

Daniel T. Willinghamさんには、Espritちゃんという15歳になる子どもがいますが、彼女は18トリソミーと呼ばれる珍しい染色体異常症を持って生まれました。Espritちゃんは歩くことも話すこともできません。認知的には9カ月の赤ちゃんに相当します。

これまで何年もの間、Willinghamさんが繰り返し体験してきたことがあります。それは、幼い子どもがEspritちゃんをじっと見つめているのをその子の親が見つけて気まずそうな顔をする、という体験です。

そして子どもの気をそらし、Espritちゃんから離れさせようとします。おそらく親はその子の耳もとで「じっと見ちゃダメなんだよとささやいているはずです。

こうした善意の親たちに対するWillinghamさんのアドバイスはこうです。

そんなことはしないでください

こうした行為は、あなたが思うよりずっと人を傷つけています。Willinghamさんは、状況によって違ってくるとしながらも、障害を持つ子どもとその家族に対して、どう接すればいいかを率直に語ってくれました。

「あいさつしよう」と言いましょう

障害のある子ども、そしてその親にとって苦痛なのは孤独になることだ、とWillinghamさんは言っています。

「じっと見つめられることは、そうした意味では、それほど悪いことではありません」と同氏。

「『うちの子どもはあなたの子どもには近づけません』という態度こそが、私たちに苦痛を与えます。私たちの子どもは社会的交流を渇望しています。認知機能的には娘はかなり重い障害を持っていますが、それでも人と一緒にいることが好きだし、人との交流を求めているんです」

Willinghamさんは、4歳の子どもに大人と同じ社会的規範を要求できないことは誰もが理解している、と言っています。子どもは見つめるものです。

ですので、今度そうした事が起きたら、子どもにただ、「近くに行ってあいさつしようよ」と言ってください。子どもが人見知りなら、手を振るだけでもかまいません。

「何らかの形で、あそこにいるのは1人の人間であると認めてくれればいいのです」とWillinghamさんは話しています。

子どもに質問をさせてもよい

20181009-disabilities02
Espritちゃん
Photo: Courtesy of Daniel T. WIllingham via Lifehacker US

子どもたちはよく、Willinghamとその奥さんに、「この子はお話ができないの?」とか「歩けないの?」と質問をします。

また、Espritちゃんの胸にあるものが何かを尋ねたり(彼女は胴に補助器具をつけています。子どもたちはそれを「亀の甲羅」と呼ぶこともあります)、Espritちゃんのまぶたがたるんでいるので、「この子は眠いの?」と尋ねたりしてきます。子どもたちのこうした好奇心は歓迎だ、とWillinghamさんは言っています。

「こうした質問には慣れっこなので、まったくどうということはありません」と同氏。

「そうした質問は、私たちにとって、一般の子どもや大人たちに、障害を持つ子どものことを知ってもらう良い機会を与えてくれます。Espritも子どもたちが寄ってくると喜びます」

誘いは歓迎。具体的なことがわかれば対応できる

Espritちゃんが生後数カ月のころまでは、Willinghamの妻、Trishaさんにはさまざまなプレイデート(子ども同士を遊ばせること)のお誘いがありました。

ところが、Espritちゃんができないこと(たとえばまっすぐ座る)をほかの赤ちゃんがし始めると、とたんに誘われなくなりました。Willinghamさんは、障害を持つ子どもに招待状を送るのをためらうべきではない、と言っています。

「こう尋ねればいいのです。『これこれこういうことをしようと思うんだけど、Espritちゃんは楽しめるかしら? プランはこんな感じなんだけど。Espritちゃんが参加できることある? どうすればいい?』」

障害を持つ子どもの親は、子どもにとってどんなことが快適で、どんなことが不快かをよくわかっている、とWillinghamさんは言います。

プレイデートのケースでいえば、Willinghamさんはその場所に日陰はあるか(Espritちゃんは光線過敏症でもある)を確かめ、食べ物は自分で持っていくでしょう。

「親はこれから先も誘って欲しいと思っていますので、ホストの手をわずらわせないように努力するはずです」

突っ込みすぎた質問はしない

親たちは、障害のある子どもについて喜んで話をしますが、明らかに避けるべき話題もあります。

「私と妻が死ぬ前にEspritが死ぬ可能性は非常に高い」とWillinghamさん。

「そのことについて考えるのは、自分がそうしたいときだけにしたいのです。あなたも障害を持つ子どもを持てば、四六時中、未来のことを考えたいとは思わなくなるでしょう」

Willinghamさんは、次のように付け加えています。

「重度の自閉症を持つ子どもにとって、彼らの平均余命はとても長い時間です。ですので、友人に向かって、『この子が大人になったらどこで暮らすの?』と聞くのは、最悪です。その質問は親の不安をあおり、心を乱します。まだ9歳なのに、その子が大人になったときのことを尋ねても仕方がありません。そうではなく、ただ、子どもが元気にしてるかどうかを聞いてあげてください」

また、同氏は、障害のある子どもだけに関心を寄せるのはよくないと言っています。その子に兄弟姉妹がいるなら、なおさらです。(Willinghamさんには、Espritちゃんのほかに、11歳と13歳の娘がいる)。「シンプルに、『ご家族は元気ですか?』と尋ねてください」

親を殉教者にしない

「あなたはヒーローです」「あなたがしていることは私にはとてもできません」「神様は、Espritちゃんみたいな子どもを特別な親のもとに授けるのね」

こうしたコメントは、Willinghamさんや、障害を持つ子どもの親をイラだたせます。

WillinghamさんはEspritちゃんがいてくれて幸せだと思っているだけです。自分をヒーローだなんて思っていません。また、宇宙の計画についてあなたから教えてもらう必要もありません。

「こうしたコメントがとても不快だというわけではありませんが、ビーチでくつろいでいるときに、じっくり考えたい話題ではありませんね」

一番伝えたいことは、複雑に考えることはない、ということだとWillinghamさんは言っています。ですので、複雑に考えないでください。「どうか子どもに話しかけてください」と同氏。「『元気?、お名前は?』と呼びかけてください。それだけです。そして、どうなるかを見てください。ただ、飛び込んできてほしいのです」

あわせて読みたい

任せることも大事。子どもの思考力や判断力を伸ばすコツ

任せることも大事。子どもの思考力や判断力を伸ばすコツ


Image: Courtesy of Daniel T. WIllingham via Lifehacker US, KariDesign / Shutterstock.com

Michelle Woo - Lifehacker US[原文