平日はフルタイムの会社員として働きながら、国内外の離島や知られざるスポット、なかなか行く機会のない秘境へと精力的に足を運ぶ、旅するデザイナーrumiさん。

そんな彼女に、休日の限られた時間で行きたいところへお得に旅するために、実際に使っているサービスやアプリの活用法、一人旅と複数旅をそれぞれ楽しむコツを教えてもらいました。

前回記事:

限られた休日で行きたいところへ旅行できる|旅するデザイナーに聞く秘境旅のコツ

限られた休日で行きたいところへ旅行できる|旅するデザイナーに聞く秘境旅のコツ

Googleマップは欠かせない、でも車移動の際は注意が必要

――旅に欠かせないウェブサービスやアプリは?

旅に出ることを決めたらいろいろと予約をしたり、行く場所を決めたり、調べものがたくさん。そんなときに必ずいつもお世話になるのがGoogleマップです。

行きたい場所にピンを差したり、同行者と地図を共有したりする機能はもちろん。どんな世界の田舎町でも、目的地を設定しそこまでの経路を検索するとリアルタイムで電車やバスの乗り換え案内まで出てくるので、初めての場所でも迷わず移動することができるので旅には欠かせないサービスです。

――Googleマップのメリットは?

新しい道に強いこと。災害などで道が寸断されたり何らかの影響があったりした!場所は新しい道ができていることが多く、カーナビでは更新されていないこともあります。

ときにはナビが道なき道を進み、こちらもどう進んでいいかわからなくなり迷い焦ってしまうことも。そんなときはカーナビよりGoogleマップを参考にしています。

――Googleマップのデメリットは?

Googleマップで表示される車移動の所要時間は、カーナビと到着時間が大きく違って表示される傾向があります。

車に乗って実際にナビを設定したら想定よりもっと遅い(時間がかかる)! と慌てることもしばしばあるので注意が必要です。

聞いた話によると、Googleマップは、裏道を選択する傾向があるためカーナビよりも時間が短縮されることが多いのだとか。

そしてもう一つ注意したいのがトンネルの中。GPSが届かない場所では、位置情報がピタリとストップしてしまいます。トンネル内で道が分岐しているときは、カーナビを参考にするなどの工夫をしています。

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スイスのクールの街から建築家ピーター・ズントーの最高傑作と言われる「ヴァルスの温泉施設 (Therme Vals)」を検索した時の検索結果。かなり山奥の施設にもかかわらず最寄りのバス停までしっかり表示されます。
Screenshot: Googleマップ

お得に旅をするために比較サイトを活用する

――たくさんあってわからない…旅の比較サイトよく使っているのは?

できるだけ旅費を低予算におさえるためにも比較サイトはよく利用します。

飛行機、レンタカー、ホテルなど地域を問わず最安値をいつも提示してくれるのがトラベルコ

旅行会社やホテルなどの連携サイト数は、比較サイトの中でもほぼ抜けがないのではと感じるほど充実しています。フライトも「スカイスキャナー」と連携しているため、国内外問わず検索できるのも助かっています。

■ポイント付きの旅行サイトもチェックする

Tポイントが付く「Yahoo!トラベルリクルートポイントがつく「じゃらんなど、ポイントがつく比較サイトもうまく利用すると次回利用時に割引が効いたり、期間限定でクーポンがあったりするので必ずチェックします。

■海外旅行中には「トリップアドバイザー」を参考に

料金比較というよりクチコミ評価がとてもリアルなトリップアドバイザー」は、海外を旅しているときに現地でよく参考にします。

■国内の温泉情報なら「神秘の湯」

国内では温泉も好きなので、神秘の湯をよく使います。

温泉マニアによる温泉好きの人のためのサイトで、とても見やすくオススメです。あまり知られていない秘境の温泉やマニアックな情報も多く、とにかく泉質にこだわっている点も気に入っています。

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「廃墟温泉」で有名な那須湯本にある老松温泉のエントランス部分。「廃墟温泉」と言われつつも泉質が良いとのことで「神秘の湯」にも掲載されています。
Photo: rumi
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受付はこちら。ご主人に「入れますか?」と聞くと「たぶん」とだけ返事が。含みを感じる一言にドキドキしながら温泉のある建物に。
Photo: rumi
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おお!こ、これは、もう完全に廃墟ではないですか!と驚きつつも、この建物の入口から薄暗い階段を降りていくと浴室が。泉質はほんのり硫黄臭のするまろやかな感じです。窓から川の音と景色を眺めることができます。
Photo: rumi

――ウェブサービスを活用する際に気を付けていることは?

さまざまなサービスを使っていますが、情報に埋もれて迷ったときや急いでいるときはアプリやサービスに頼りすぎるよりも、ときには自分の勘を信じて行動するのもよし!と思っています。それこそ旅の醍醐味でもありますよね。

交通費を抑えるための自分ルールがある

――旅のコスト管理はどうしている?

やってみたい!行ってみたい!を盛り込んだ旅は、あっという間に旅費が膨れ上がります。なかでも交通費はできるだけおさえたいと考えていて、自分ルールを決めています。

■北は仙台、西は京都よりも遠い場合、飛行機を使う

東京を拠点として考えると、これよりも遠い場所の場合、飛行機の早割や時間帯によって新幹線より安いことが多いのです。

大阪に行くには、いつも飛行機を使います。どうしても新幹線に乗る場合は先にチケットショップなどで安く購入したりします。

さらに節約したい場合、新幹線→高速バス、高速船→フェリーに切り替え、金曜の夜に出発し土曜の朝着という方法をとる場合もあります。

数人での移動の場合レンタカーを借りて高速道路を利用するという手もありますが、レンタカー代、ガソリン代、高速道路代がかかるので、車移動は、3人以上の旅行の場合が多いです。

旅に出たいから空港やターミナル駅の近くに住む

――移動時間やコストを短縮するためにしていることは?

月に2回は遠出したい!という旅好きなのであれば、住む場所もポイントになると思います。

私はいま最寄駅が川崎駅なのですが、神奈川県は東京都と比べると家賃も比較的安く、JR東海道線に乗ればひと駅で品川駅に着く立地。所要時間約8分で新幹線にすぐ飛び乗ることができます。また羽田空港へも京急川崎駅から約15分。

空港やターミナル駅に近いというのは、旅に出るには好都合。なかなか別の場所に引っ越しができないくらいです。

海外旅行で宿を選ぶ基準は駅チカ、格安に飛びつかない

――宿を選ぶときのポイントは?

国内の宿選びのポイントは「普通のビジネスホテルを選ばない」など前回の記事の通り。

海外のホテルは、トラブルがつきもの。とくにアジアや南米の安い宿は要注意です。

治安の悪い場所と知らずに安いからといって予約をするととんでもないトラブルに巻き込まれることも。さらにお湯が出ない、テレビやエアコンが壊れているなどはよくあること。もっと困るのは虫!

インドの二つ星ホテルでベッドの布団全体に目で見てわかるほどダニが大量発生していたときはさすがに困りました。

そんな経験もあって、特に海外の場合はあまりケチらずにホテルを選ぶようにしたほうが安心です。できれば駅に近いと大きな荷物を持っていてもラクちん。

私の場合、インテリアがとても好きなので、せっかくなら空間が素敵なホテルに泊まりたいと思い(予算と相談しつつ)奮発して予約をすることもあります。

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ガンジス川のほとりはとてもカラフルでエキゾチック。この景色が見たくてインドまでやってきました。
Photo: rumi
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インドの市場の食料品店売り場は商品が所狭し、と敷き詰められていて圧巻。屋根裏収納もとても気になります!
Photo: rumi
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もはや什器は使用していません!商品そのものを重ねてテーブルの脚にしていたり天板にしていたり!どんな場所にも発見やアイデアは尽きません。
Photo: rumi
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スイスバーゼルの中心地にあるデザインホテル「THE PASSAGE(ザ パッセージ)」。各部屋につけられた大小の飾り窓が印象的。
Photo: rumi
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とにかく高い天井に驚いた。各部屋ごとに違うアートや、丁寧にセレクトされているインテリアやファブリックはとても上品で心地いい空間を演出していました。
Photo: rumi

旅先の料理は、事前に日本で食べて予習する

――旅先の食事はどうしている?

海外旅行の場合は、出発前に国内にある渡航先の国や地域のレストランに行き、シェフに現地の美味しいレストランを教えてもらったり、現地に住む日本人や移住者のブログを読んだりして情報を収集します。

現地についてから、ホテルのスタッフに「あなたがよく行くお店を教えて」「おいしい地元の料理が食べたい」などと具体的に質問をするのもおすすめです。

逆に、観光客が多いお店は、あまり入らないようにしています。

どんな場所でも地元の人で賑わっている、行列になっているお店はほぼ間違いがありません。

地元のレストランでも観光客を温かく招き入れてくれるレストランや食事処は、より料理をおいしく感じさせてくれます。そんな出会いが本当の「美味しいお店」では?といつも感じています。

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エストニアのタリンを訪れたとき「美味しいスープが食べたい」と現地のガイドに聞き、教えてくれたのが中心地ラエコヤ広場の旧市庁舎にある「スリー・ドラーコン」。手前の大きな鍋の中にできたてのヘラジカのスープがたっぷり入っていました。
Photo: rumi
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中世の雰囲気いっぱいの店内は昼間でも真っ暗でタイムスリップしたかのよう。数えきれない陶器や器が並んでいてとても可愛い!
Photo: rumi
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店内は昼間なのにとにかく薄暗く、明かりはキャンドルの光のみ。
Photo: rumi
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ミートパイとヘラジカのスープ。スープも肉の旨味がしっかりと出ていて体が温まり美味しい。空間や小物も面白く、とても良い経験となりました。
Photo: rumi

「自分を大事にする」三原則を守って一人旅をする

――一人旅で、気をつけていることは?

一人旅の三原則:

「あせらない」「あきらめない」「無理しない」

という三原則のようなものを自分なりに決めて行動しています。

船が欠航になって帰れるかわからない、飛行機に乗り遅れた、貴重品をなくしたなど旅にトラブルはつきもの。でも、どんなときでもできるだけ焦らないように心がけています。

相談できる同行者がいればいいのですが、一人旅はすべて一人で考えて判断しなくてはいけません。できるだけ落ち着いて、現地の人に状況を説明してアドバイスをもらうようにしています。

あきらめなければ解決策は生まれてきますし、ラッキーな出会いや次の道が見つかることもあるからです。

でも決して無理はしません。

それは、間に合わないと思って車を飛ばしたり、身体にムチを打って行動したり、現地の合わない食事を無理やり食べたりなど…慣れないことをすると後々ケガや事故、体調を壊す可能性があるから。

ただでさえ環境が大きく変化しているので、まずは何より自分を大事にするように心がけています。

他人からどう見られるかも意識して行動する

――離島旅で気を付けたいことは?

離島の一人旅ではあまり断崖絶壁に近づかないように。周りに人が少ないので、波にさらわれたり崖から落ちても助けてくれる人はもちろんいません。

以前、絵になると思い、波照間島の岩場で現地の幻の泡盛を撮影していたら、わざわざバスの運転手がバスから降りてきて「早まるなよ〜、飛び降りたらいかんぞ」とゆっくり近づいて来たときには驚きました。

まさか飛び降りると思われたなんて!? 行動には気をつけなくてはと反省しました。

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なかなか島外には出ない波照間島の幻の泡盛「泡波」。名前に合わせて波と一緒に写真を撮りたい!と思って崖っぷちまで行って撮影をしていました。
Photo: rumi

英語は、ほぼ話せない。最低限の定番フレーズや単語で乗り切る

――やっぱり英語が話せないと海外旅行は難しい?

たまに海外も1人ででかけますが、実は私、英語がほぼ話せません。

と言うと、ほとんどの人が信じてくれないのですが、本当に驚くほど決まり切ったフレーズや単語しか話せないのです。

しかし、裏を返すと決まり切ったフレーズや単語だけでも1人で海外旅行は行けるし、なんとかなる!

海外用のレンタルWi‐Fiも空港で受け取ることができますし、何かあればスマホで翻訳すればOKです。

「大丈夫だから、もっと世界に旅に出ようよ」と言いたいくらい。

というのも、平成29年度旅券統計によると日本人のパスポート保有率は約23.5%。なんと4人に1人しか持っていないのだそう。英語が話せなくても何とかなります。まずは治安の良い近くの国からチャレンジしてみて!

複数人での旅を楽しむためには、情報共有と事前準備が必須

――2人以上旅で、気をつけていることは?

2人以上の旅となると、1人旅ほど自由気ままに行動はできなくなります。それぞれに行きたい場所や食べたい物があるはず。同行者がいる旅では喜びや驚きを共有することができますし、アイデアを出し合って助け合うことができます。

まずは、旅先でモメることのないよう、事前に自分の考えや行きたい場所などは共有しておくことをおすすめします。

また、ときには、同行者が体調を壊したりトラブルを起こしてしまうことも。そんなときにも焦らないように、準備できることはしておきます。

たとえばレンタカーに乗るなら、多少はお金がかかっても事前に保険に入ったり、移動手段やスケジュールに余裕を持つよう組んだり、十分に休憩時間をとったり。

複数旅でも一人旅同様に無理はせず安心安全を優先するようにしています。

もしトラブルが起きても冷静に、そしてあまり相手を責めないことも大切です。自分も責められたらいい気持ちはしないですもんね。

家族や恋人、気の合う友人などとの旅をもっと楽しいものにするために、ひと手間を惜しまないことも重要なコツの一つです。

rumi

芸大卒業後、インテリアやオーガニックコスメなどのグラフィックデザインを行い、現在は株式会社スマイルズで「Soup Stock Tokyo」やファミリーレストラン「100本のスプーン」などのデザイン、店舗VMDなどを担当。デザイナーでありながら「Soup Stock Tokyo」のオリジナルビール「瓶のビール」の開発からデザインも行う。

秘境や島など旅先の日常を知るために日本の文化や新しい価値を探しに休日はよく旅に出ている。VMDインストラクター、インテリアコーディネーター、ビアソムリエ、旅ライターとしても活躍。

Sauce: 平成29年度旅券統計

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