ミッションの母船なので、慎重に慎重に……。
小惑星リュウグウの近くを漂い、自らが着陸する前に小型探査機を送り届けた小惑星探査機「はやぶさ2」。今月末にリュウグウへの着陸を予定していたのですが、来年1月以降に延期となってしまいました。
JAXAが以下のように説明しています。
このような判断に至った理由は大きく2つあります。1つは、これまでの運用でリュウグウの表面状態がよく分かってきたこと、もう1つは探査機の航法誘導の精度が分かってきたことです
これまで比較的平らな着陸予定地1カ所と、予備候補地3カ所を決めていたJAXA。衛星についたサンプラーホーン(サンプル回収装置)の長さが1m程度であることや、着陸時に本体の損傷を防ぎながら傾けられる限界の角度を踏まえると、地表の岩塊の高さが50cm以下じゃないといけません。
残念なお知らせ
今でも当初の予定のように候補地L08-Bが最適なのですが……実はこの条件を満たす領域は、直径約20mしかないのです。
探査前は、直径100mのエリアに安全な着陸をさせるつもりでいたのが、現実は予想の1/5という狭い範囲になってしまったのです。
いい知らせもある
これまでMINERVA-II1やMASCOTの分離運用で高度50m程度まで降下したとき、探査機を約10mの位置精度で誘導できることが判明しています。これはいいニュースです。しかし高度50mから0mまでの間で、いかにブレをおさえて狭い予定地に着陸させるかが課題なのです。
プロジェクトマネージャーの津田 雄一准教授は、AFPにこのような報告をされています。
ミッションは岩にぶつからずに着陸することです。しかしこれが最も難しいのです。なぜなら我々は表面が滑らかだと期待していたのですが……平らな部分はないようなのです
ということで、JAXAは実際の着陸は少し延期させて、以前に不具合が生じたLiDARの機能確認や、探査機が分離したターゲットマーカ(TM)を追跡できるのかなど、演習とテストをしながらさらにデータを取ることになります。
今後の予定
10月14日〜15日にかけて2回目のリハーサルを行い、また10月24日〜25日に3回目が行われ、11月下旬〜12月に合運用となる予定だそうです。
そしてそれらの様子を見て、合運用期間中に着陸地点を再検討する予定になっています。因みにこの延期で全体スケジュールが遅れることななく、まだまだ日程には余裕があります。
昨日のリハーサル
10月15日のリハーサルでは、最下点高度22.3mまでリュウグウに近付いたことが確認されています。
【TD1-R1-A】
— 小惑星探査機「はやぶさ2」 (@haya2_jaxa) 2018年10月15日
目標としていた最下点高度に到達していたことがわかり、管制室では拍手が起こりました!!
探査機の状態は正常です。
【TD1-R1-A】
— 小惑星探査機「はやぶさ2」 (@haya2_jaxa) 2018年10月15日
目標としていたLRFによる測距にも成功しました。
詳細情報は以下のとおりです。
・最下点到達時刻:10月15日 日本時間 22時44分。
・最下点高度:22.3m(LRF測距値より算出した高度)
現在の探査機高度は1.8kmです。
その時の写真がこちらです。
【TD1-R1-A】
— 小惑星探査機「はやぶさ2」 (@haya2_jaxa) 2018年10月15日
地上受信時刻 22:52 の画像 pic.twitter.com/i6wqSXVHq9
ミッションはまだ道半ばですけども、いろいろとドラマがありすぎてそのうち映画化でもするんじゃないか? なんて思えてきました。なにはともあれ、頑張れ「はやぶさ2」!