Huawei Mate 20/ Mate 20 Proハンズオン:トレンドの最新技術をとにかく本気でぎっしり詰め込んでいる

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  • author Sam Rutherford - Gizmodo US
  • [原文]
  • 塚本 紺
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Huawei Mate 20/ Mate 20 Proハンズオン:トレンドの最新技術をとにかく本気でぎっしり詰め込んでいる
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

最新技術を体験したい人にもってこい。

世界トップクラスのスマートフォンメーカーとして成長を続けているHuawei(ファーウェイ)の最新モデル「Mate 20/20 Pro」。リリース前からリーク情報だけで「この子...できる子....!!」と話題沸騰だったわけですが、米GizmodoのSam Rutherford記者は「Mate 20 Proはギッシリ詰まってる」とハンズオン体験を語り、かなり痺れているようです。以下、Sam Rutherford記者よりどうぞ。


今年初頭、HuaweiはApple(アップル)を追い抜いて世界で二番目に大きいスマートフォン・メーカーになりました。しかもHuaweiで最も人気のあるモデル「P20 Pro」がアメリカでは公式に販売されていない中でのこの成長っぷりですから、偉業と言えます。今のビジネスを巡る世界状況を鑑みると、Huaweiによる次のフラグシップリリースもアメリカは逃すことになりそうです。消費者としては今回のフラグシップがアメリカで入手困難になるという状況はなかなか悲しいものです。というのも新Mate 20の2つのモデルは、Huaweiがかなり本気を出しているからです。

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
左がMate 20 Pro。右がMate 20。

今回のフラグシップ・リリースは、スタンダード版のMate 20と上位版のMate 20 Proの2つのモデルとなりました。性能を読み上げるだけで、メジャーなスマートフォンのトレンドを網羅していることが分かります。Mate 20は6.5インチのLCDディスプレイ(解像度はFHD+/2,244 x 1,080)に小さなノッチ(Huaweiはこれを「露のしずくカットアウト」と呼んでいますが)が入り、そのノッチには2400万画素の前面カメラが搭載されています。

一方Mate 20 Proは横長のノッチに3Dスキャン用のドット・プロジェクター(AppleのFaceID用と類似)も収納されています。Mate 20 Proは6.39インチの有機ELディスプレイ(解像度はQHD+/3,120 x 1,440)、そしてスクリーン内蔵型の指紋リーダーが搭載されています。

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
左がMate 20 Pro、右がMate 20。


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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)

そうです、マス向けに作られるデバイスとしてここまでの新機能を搭載するのはMate 20 Proが初めてとなります。多くのメーカーがコンセプトや限定モデルとして試みてきた物が、このような形で一般消費者に大量に届けられるのはなんとも新しい時代の始まりを予感させます。しかしそれだけではないんです。背面にはMate 20もMate 20 Proも、正方形のカメラ・モジュールを搭載しており、そこには3つのLeicaカメラが収まっているんです。

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
四角で囲むことでゴチャッとした印象を無くしています。

Mate 20 Proのカメラは4000万画素の標準カメラ、2000万画素の超広角カメラ、800万画素の望遠カメラを持っています。望遠カメラは3倍ズームとiPhone XSGalaxy Note 9のズームレンズよりも良いリーチを提供しています。Mate 20のほうは1600万画素の標準カメラ、1200万画素の超広角カメラ、そして8万画素の望遠カメラ(2倍ズーム)となっています。

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
パワーボタンだけ色を変えるのはちょっとしたトレンドになりつつあります。

中身も興奮が止まりません。Mate 20はHuaweiのスマートフォンでは初めて、彼らの新型プロセッサ「Kirin 980」を搭載しています。このプロセッサは20%の性能向上、40%のエネルギー効率改善が見られているとのこと。そしてNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)を2つも抱えてAI・マシーンラーニングの流れにさらに勢いを付けています。

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
選択カラーモードの例。人間以外がリアルタイムで白黒に。

NPUのおかげでAIを使ったカメラの機能も新しく追加され、AIがカメラの対象の動きを予測する予測オートフォーカスや、人物の色は保ったままで背景だけ白黒にリアルタイムに自動で変更するといった選択カラーモードが搭載されました。デバイスを使った時間は短い間でしたが、どちらの機能も彼らが宣伝している通りに動作しました。デモルームは混雑しており、照明もパーフェクトとは言えない環境でしたが、ちゃんと動いたことには感心します。それでもこの機能がどれだけ実用的か、Huaweiがしっかりと完成した機能として作り上げたかの判断はまだできません。

スペックも見ていきましょう。Mate 20 Proは4,200mAhの巨大バッテリーを搭載しバッテリー性能も改善しています。RAMは6GB、ストレージは128GB、microSDカードスロットも搭載し、40Wの高速充電システムも持っています。アンドロイドのほとんどが、高速充電は18Wであることを考えると、2倍以上になりますね。さらに、ワイヤレス充電の機能を使って、Mate 20から別のデバイスを充電するという逆方向の利用も可能なんです。

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
2つのモデルの上部。ポートはこれ以外には下部のUSB-Cジャックのみ。

Mate 20はMiracastとIRブラスターによって、近くのテレビやモニターにワイヤレスでスクリーン・ミラーリングが可能です。これは最近では珍しいですね。残念なのは、スタンダード版のMate 20にのみ、ヘッドフォン・ジャックが搭載されており、Mate 20 Proにはジャックはありません。

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
よく見ると、背面ガラスに細かいパターンが入っているのが分かります。

私の興味をひいたのはMate 20のデザインです。これまではiPhoneのデザインを模倣しているような印象がありましたが、今回はそうではなくサムスンのデザインの影響を受けているように思われるからです。というのも、ノッチを除けばMate 20、Mate 20 Proは見た目も手触りもGalaxy S9に非常に似ているのです。

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
Mate 20の淡いグラデーションはこのような見た目に。Mate 20は背面に指紋リーダーが付いているので、それでMate 20 Proと区別できます。

背面はスムーズだけども細かいレコード盤のような波のような手触りを持っています。色も豊富かつセンス溢れるバリエーションになっています。エメラルドグリーン、ミッドナイト・ブルー、ブラック、ピンク・ゴールドなどが含まれており、淡いグラデーションもあります。

Mate 20 ProはまさにHuaweiの持てる技術をすべて詰め込んだような最新デバイスとなっています。これはGoogleがPixel 3に採用したアプローチの真逆となっている点でも興味深いと言えます。GoogleはPixel 3において、デバイスのソフトウェアにフォーカスし、多くの点でスペック競争を避けました。

Mate 20とMate 20 Proはアメリカでも一部のオンライン小売店で入手可能になるものの、アンロックされた標準インターナショナル・バージョンとなるようです。そのためVerizonやSprintといったCDMAキャリアには対応しないことになります。GSMネットワークにおけるキャリア・アグリゲーションといった4GLTE機能との互換性はまだ分かりません。Mate 20をアメリカで入手したとしても、ワイヤレス速度はCAT 21ギガビットモデムがあるにも関わらず他のデバイスに比べて遅いものになるかもしれません。

Mate 20とMate 20 Proは今年中に販売開始とのことですが、公式な値段やリリース日は発表されていません。Mate 10やP20から推測すると、値段は決して安くは無いでしょう。

追記:ヨーロッパにおける公式な価格は以下になっています。Mate 20の4GB/128GBモデルは800ユーロ(約10万4000円)、Mate 20 Proの6GB/128GBモデルは1050ユーロ(約13万6500円)。Huaweiは以前にも発表しましたが、レザー背面、RAM 8GB、256GBストレージで1700ユーロ(約22万円)というポルシェ・デザインバージョンも出されるようです。軽く20万円を越えますね。うーん...。