過酷な状況から身体を守り、快適な状態に保つ。

突然の大雨や猛烈な突風が頻発する季節だからこそ、改めてこうした機能性が重要視されます。

目まぐるしく変わるファッショントレンドとは別に、着実に進化を遂げているのがアウトドアウェアなのです。今回は信頼できるブランドの実力派シェルパーカを、より身近にオシャレに着こなす方法を伝授します。

屋外型の音楽フェス、第二次キャンプブーム、ランニングやサイクリングといったヘルシー嗜好の高まりもあって、男女問わず全世代的にアウトドア・アクティビティが見直されている現在。

それまではもっぱらアウトドアで着るアウターを、街着としても活用することが当たり前になり、ファッションアイテムとしてもますます重要になっています。

街で着るアウトドアが、最近ニューヨークでも話題になっているそう。それはニューヨークマガジンが、こうした着こなしを「ゴープコア」と名付けて紹介したから。

このゴープ(GORP)とは、「Good Old Raisins and Peanuts」の頭文字をとった造語で、ナッツやフルーツなどをミックスした栄養価の高いスナックのこと。ハイキングやクライミングの必需品であることにちなんで、この名前が付けられたそう。

数年前に流行した「ノームコア」から、実用本位の「ゴープコア」にトレンドが移行しているというわけです。

街で着るアウトドアは我々の方が先駆者なので、何を今さらという印象がありますね。

でも、アウトドアミックスをおしゃれに着こなせているかどうかは不安が残ります。実際、ハイスペックなアウトドアアウターは色が派手で、手持ちの服となじみにくい素材感であることは確か。

それでは、コーディネイトの実例を紹介しながら、着こなしのテクニックを伝授していきます。

定番の黒パーカは知的なモノトーンが鉄板

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シェルジャケット9万2000円/ティラック(バーリオ☎︎075-354-6604)、ニット1万3000円/ビームス(ビームス 原宿☎︎03-3470-3947)、シャツ1万8000円/ビームス プラス(ビームス プラス 原宿☎︎03-3746-5851)、パンツ1万1800円/グラミチ×ジャーナル スタンダード(ジャーナル スタンダード 表参道☎︎03-6418-7961)、シューズ6万5000円/パラブーツ(パラブーツ 青山店☎︎03-5766-6688)、メガネ3万7000円/ルノア(ザ・パークサイド・ルーム☎︎0422-41-8978)
Photo: 竹内泰久

初心者はもちろん、ファッション通も必ずや1枚は持っている定番の黒パーカ。

こちらはプロクライマーからの支持も高い、ティラックというチェコで生まれた本格派ブランドのフラックシップモデル。

エヴォリューションジャケット”と名付けられたモデルで、非常に強度の高い3レイヤーのゴアテックス素材を採用。立体的なパターンを駆使し、ムダなく身体にフィットする洗練されたデザインも人気の秘密。

インナーにやわらかな印象を与えるニットを同色の黒で合わせ、首元から白シャツをチラリと見せて上品な印象に。ボトムスには少し太めのウールパンツをグレーで合わせてモノトーンにまとめています。

全身黒でまとめるとアクが強過ぎるので、このように白とグレーをバランスよく混ぜるのがコツ。足元はスニーカーではなく、革靴を持ってくることで知的なムードも感じさせます。

カーキ系は同系色合わせでトラッドに

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シェルジャケット4万6000円/ザ・ノース・フェイス(ザ・ノース・フェイス 原宿店☎︎03-5466-9278)、ジャケット2万3000円、パンツ1万6000円/ともにJ.S.ホームステッド(ジャーナル スタンダード 表参道☎︎03-6418-7961)、シャツ1万3800円円/マニュアル アルファベット(エムケースクエア☎︎06-6534-1177)、シューズ6万5000円/パラブーツ(パラブーツ 青山店☎︎03-5766-6688)、タイ1万4000円/パオロ アルビザッティ(パオロ アルビザッティ☎︎050-5218-3859)
Photo: 竹内泰久

おなじみの人気ブランド、ザ・ノース・フェイスからは、オールシーズン対応の“オールマウンテンジャケット”を推奨。

表地には耐朽性の高い70デニールのナイロン、裏地には非常に薄いマイクロトリコットを組み合わせることで、従来よりも透湿性能を高め、しなやかな3層構造のゴアテックスシェルを採用。実際のクライミングでも活躍するハイスペックな実力を街でも体感できるはず。

こちらは旬の英国テイストをセットアップで取り入れたコーディネート。コーデュロイの素材と色目をシェルパーカに合わせて、雰囲気を統一するのがポイント。

控えめな光沢のシェルなら、このようにネクタイを締めても違和感がありません。特にカーキやベージュなどのアースカラーの色合わせが効果的。

70年代のコットンナイロン(いわゆる60/40)素材のパーカでおなじみの着こなしですが、進化したシェル素材でヘビーデューティなアメトラが楽しめるのです。

濃色系アウターは他のアイテムをシンプルに

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シェルジャケット10万円/アークテリクス、中に着た白カットソー5500円/ビームス、ジーンズ2万3000円/ヌーディージーンズ×ビームス、ニットキャップ3800円/フォーワン(すべてビームス 原宿☎︎03-3470-3947)、スエットパーカー1万1000円/シャク ハンター、シューズ2万1000円/ドクターマーチン(ともにジャーナル スタンダード 表参道☎︎03-6418-7961)、サングラス3万3000円/トゥエルブホームメイド(コンティニュエ☎︎03-3792-8978)
Photo: 竹内泰久

こちらのグリーンをはじめ、ネイビーやボルドーなど、濃度の高いカラーはシェルパーカの定番。鮮やかなイエローをアクセントにしたこちらは、アークテリクスを代表する名作“アルファSVジャケット”。

摩耗に強いゴアテックスプロを採用し、過酷な冬山でのクライミングにも対応する本気スペックの1着。シーリング加工による内ポケットなど、内部の作り込みも徹底

こうした濃色カラーを街用としてなじませるコツは、シェルパーカを主役にして、ほかのアイテムは脇役に徹すること。

このコーディネイトのように、インナーとパンツの色を揃えて極力シンプルにするのが正解。靴や帽子といった小物もインナーと色を揃えれば、さらに抜け目なくスタイリッシュな印象に。

経年変化が出やすいブルーデニムではなく、細身のブラックデニムという点も重要。足元はボリューム感のある黒の革靴、もしくはブーツが適任。

ビビッドカラーは90年代ストリートスタイルで

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シェルジャケット4万8000円/マウンテンハードウェア(コロンビアスポーツウェアジャパン☎︎0120-193-803)、パーカ1万2000円/バウワウ(ジャーナル スタンダード 表参道☎︎03-6418-7961)、パンツ1万6800円/マニュアル アルファベット(エムケースクエア☎︎06-6534-1177)、スニーカー2万6000円/ウォルシュ(カメイ・プロアクト☎︎03-6450-1515)、キャップ6500円/オレンジ&パーク×ビームス(ビームス 原宿☎︎03-3470-3947)
Photo: 竹内泰久

人気ブランドとのコラボも手伝って、近年注目度が高まっているアメリカブランド、マウンテンハードウェアから。

厳冬期の冬山クライミングでシェルパーカに求められるのは、ウエア内にこもった湿気を素早く外へ排出すること。そうしないと、汗で体温が奪われて低体温症になってしまうからです。

こちらは、独自開発による“ドライQエリート”という、従来にない透湿性を発揮する完全防水素材を採用。クライミング時に強度が必要な袖と裾は、丈夫なストレッチ素材で切り替えています。

ビビッドなカラーを落ち着かせるコツは、同系色のパンツを選び、インナーにコントラストをつけること。この場合、シェルパーカが鮮やかなスカイブルーなので、パンツはダークネイビーを選択。

こうすれば、ビビッドカラーだけが悪目立ちするのを抑えることができます。インナーは真っ白なスウェットパーカを合わせて抜け感を出し、足元は黒スニーカーで引き締めましょう。

全体的にスポーティなアイテムで揃え、少しルーズなフィット感が今の気分。

アウトドアミックスで重要なのは色合わせ

こうした本気系のシェルパーカが一枚あるだけで、悪天候の通勤でも安心ですし、多少の雨なら傘要らず。週末のハイキングやトレッキングにはもちろん、キャンプや屋外のフェスにも活躍してくれます。

この際、中途半端なスペックではなく、先端の機能性素材を使った上位モデルを狙うのがおすすめです。

こちらで4種類の着こなしを紹介したのですが、やはり色合わせが最重要ということがお分かりでしょう。

基本の黒ならモノトーンで、アースカラーとビビッドカラーは同系色で、濃色系ならそのほかのアイテムをモノトーンで統一すること。基本的に3〜4色でまとめることを覚えましょう。

色が散らかると、途端にダサく見えるので要注意。また、必要以上にレイヤードしないことも、すっきり好印象に見せるコツです。

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Image: 竹内泰久

Source: ティラック, ザ・ノース・フェイス, アークテリクス, マウンテンハードウェア

Styling: 安部武弘