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GNUプロジェクト提唱者のリチャード・ストールマンによる「心あるコミュニケーションのガイドライン」が発表される


フリーソフトウェア運動の中心的存在でGNUプロジェクトを導く世界的に著名なプログラマーのリチャード・ストールマン氏が、GNUプロジェクトに参加するすべてのプログラマーに向けて、「他者を思いやる寛容的なコミュニケーションをとること」を求める「GNU Kind Communications Guidelines」を発表しました。ソフトウェア開発の舞台に存在する摩擦や軋轢はソフトウェアにとっての、ひいては世界にとっての大きな損失であり、他者を尊重することの大切さを説いたガイドラインは、ソフトウェア開発者だけでなく多くの人が読む価値のある提言になっています。

GNU Kind Communications Guidelines - GNU Project - Free Software Foundation
https://www.gnu.org/philosophy/kind-communication.html

ストールマン氏によると、「非友好的で不快で拒絶的で、ときに過酷なコミュニケーションのパターンが存在することで、GNU開発への参加を避けてしまう開発者がいる」とのこと。性別、人種、宗教、文化的背景、政治的な見解など個人的な特徴や思想にかかわらず、GNUシステムの開発を進めることを奨励するために、ストールマン氏は「他者を尊重する心あるコミュニケーションが大切である」と考えています。そのため、GNU開発者には、以下の具体的な方法を実践して目標を達成してほしいと、開発者としてあるべき「心構え」や「姿勢」を説いています。

1:他人の「仕事」に敬意を払う
たとえ他の参加者の発言に同意できない場合でも「彼らは誠実に投稿している」と仮定してください。コードやテキストがその「仕事」として提示されているときは、それを「仕事」として受け入れてください。「もしかすると間違っているのではないか?」という他人が犯したかもしれない疑いによって批判することはやめ、実際に何を話し、実際に何をしているかに固執してください。

2:その人自身に敬意を払う
「敬意をもって他の参加者を扱う方法」について考えてください。同意できない人に対しては特に、です。例えば、他の参加者に話しかけるときに、その人が提示している名前で呼びかけてみてください。性の多様性を尊重する上でも、(彼や彼女などの代名詞ではなく)その人の名前で呼びかけるのは重要です。

他の参加者に対して厳しすぎるトーンを向けるのはやめてください。特に、個人攻撃は避けるべきです。「発言」を批判し、決して「個人」を批判しているわけではないことを示すべきです。


3:批判にも敬意を払う
自分の意見に対する批判は、決して個人を攻撃するものではないと認識してください。誰かが攻撃してきたと感じたり、たとえ誰かが尊厳を攻撃したと感じたとしても、それに反撃しないでください。それは、言葉を拡大解釈した攻撃の連鎖を引き起こす傾向にあります。感情は感情として述べつつも、平和を求めてください。物事を鎮めるために、1時間あるいは1日経って怒りを取り除いてから、あらためて返答してみてください。

4:間違った人をフォローする
誰かが失敗したことをとがめられている場合、特にその人に対して親切にしてください。プログラミングとは多くの間違いを犯すことを意味しています。実際に私たちはみな間違いを犯しています。回帰テストが有用なのはそのせいです。誠実なプログラマーは間違いを犯して、その後に修正します。「完璧でないのは普通のこと」と示し、問題を修正し解決してくれるようフォローし、不完全な貢献に感謝を示してください。


5:テーマから外れない
議論の中で誰かが「脱線」しようとしているときは、今のトピックに焦点をあてて議論を進めてください。これは決して「脱線が悪い」ということではなく、また「議論が面白くない」ことを意味するものでもなく、「当面の問題に干渉してはならない」ということです。脱線については、別の場所で議論すべきということです。

6:終わりを明確にすることはない
議論を終わらせる「最後の言葉」を求める必要はありません。「もう返信が不要だ」と判断するタイミングを探してください。おそらく関係するポイントが明らかになっています。囲碁を知っているなら、勝負が決着した時に敗者に直接的な反応が必要ないことを知っているかもしれません。何も言わないで、代わりに別の場所に行ってもOKです。

また、すでに議論が終わっているのに不必要に議論を蒸し返すのはやめてください。それは、活動の進展を妨げる傾向があります。

7:不快にさせないことは説得につながる
アイデアの表現の仕方について、他の参加者が不満をもっているなら、どうかそれに応じる努力をしてください。同じことを、他人に心地よいように伝える表現をみつけられるはずです。他人の怒りをかわないことは、他人を説得する可能性を高めるものです。


上記はGNU Kind Communications Guidelinesの中からGNUプロジェクトに固有の問題を除いた提言ですが、複数の人が協力して進めていくことが求められるあらゆるプロジェクトを成功に導くためのコツにもなっていそうです。

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in メモ,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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