ZenBook Pro 15 UX580レビュー:ScreenPadのポテンシャルが高すぎて使い道がわからない

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  • author 小暮ひさのり
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ZenBook Pro 15 UX580レビュー:ScreenPadのポテンシャルが高すぎて使い道がわからない
Image: 小暮ひさのり

可能性を信じるところからスタートです!

最近のラップトップって、妙に多様性が出てきていませんか? たとえばMacBook ProのTouch Barであったり、IFA 2018でレノボから発表された「YOGA BOOK」なんて、キーボードがすべてE-Inkですよ。なんてへんたいてきなんだ(褒めてます、驚いてます)!

昨今の技術の進歩によって、パソコン操作の既成概念を打ち破るようなマシーンが創造されています。今回触った「ASUS ZenBook Pro 15 UX580」もまた、そんなラップトップの進化と可能性を模索している端末のひとつです。

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Photo: 小暮ひさのり

これは何?:第二のスクリーンを備えた15.6インチラップトップ

価格:26万9784円

好きなところ:3Dゲームや動画編集に耐えるハイパワー!と「ScreenPad」の可能性

好きじゃないところ:モバイル?なにそれ?

何だこれは! なぜこんなところに、「コレ」があるのだ!

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Photo: 小暮ひさのり

最大の特徴はタッチパッド部

一般的なタッチパッドとはちょっと様相が違います。「ScreenPad」と言われるディスプレイ機能を備えたタッチパッドなんですよ。つまり、画面が埋まってるんです。おかげで、タッチパッド機能に加えて独自アプリでのSpotifyの再生やアプリへのショートカットなど、どこかで見たような電卓などが備わっていて、素早く操作できます。

この機能、本マシン最大のポイントであり、同時に最大の頭の悩ませどころとなっております。

ScreenPadは確かに前衛的で見た目にもユニーク。ショートカットはちょっと便利かも?って思ったんですけど、現状は独自機能に関してはあまり芳しくありません。なんというか、ソフトウェアがまだこなれていないのです。

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Photo: 小暮ひさのり
Edgeがメモ帳の裏に出た例、わかりやすいように暗転加工しています

たとえば、エクスプローラー以外のウインドウがアクティブだと、ランチャーからアプリを選んでも、アクティブウインドウの後ろにひょっこりと現れます。なぜだ? すぐにアプリを操作したいからこそ、ショートカットを使うというのに、わざわざその起動したウインドウをクリックしてアクティブにしないとならないのです。

なぜ効率化を求める中で、こんな非効率的なことをさせられるのだろうか…。現状、標準のランチャーは正直「技術的にできるからやってみました」感が拭えません。タスクバーにショートカットを置いたほうが快適なんじゃないかな…。

これは挑戦状だ! ScreenPadの可能性に気づいた時、評価は変わった!

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Photo: 小暮ひさのり

でもScreenPadは可能性を秘めた窓です。

僕は気づいたのです。このScreenPad自体がフルHD解像度の第二の画面となることに気がついたのです。つまり、ASUS ZenBook Pro UXは実はデュアルスクリーンラップトップだったのです!!!!

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Photo: 小暮ひさのり

最初はMacBookシリーズのTouch Barのマネっ子かな?なんて思いましたけど、こういった使い方ができることを発見して以来、こいつに夢中です。

フォルダを表示させたり、お気に入りのプレーヤーを配置したり、Twitterのタイムラインを表示したり、動画サービスで心を癒やす動画を再生したりと、なんでもござれ。このマシン1台でデュアルスクリーン作業ができると思うと、もう本当に嬉しくてね。

ただ、「それは生産的なの?」と聞かれると、「思ったよりも…」というのが正直な感想。サイズもスマホの画面サイズですし、ScreenPadに別ウインドウを表示していたとしても、タッチ操作をする時には指で隠れてしまいます。作業効率という面で見るとスクリーンパッドが追加されたことでの効率上昇は10%にも満たないのではないでしょうか。

それでもなお! そこにディスプレイがあるならば工夫して使いたくなるってのが、僕らギークな人々。「君はScreenPadを使いこなせるのかい?」といったASUSからの挑戦状を叩きつけられたのです。

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Photo: 小暮ひさのり

できらぁ! とばかりに、僕はキーボードでファイル操作ができる2画面ファイラーを配置してみました。

なんでかって? 無駄にカッチョいいからに決まってるじゃないですか。あと、ファイラーならタッチパッドに指を置かなくてもキーボードで操作できます。ここはWindowsでしかできなさそうな、ギークでフォトジェニックな遊びができそうな魔法の領域なんだと思います。可能性が高すぎて震えます。

イロモノではない。ハイスペックと高い拡張性なハイエンド機

最初から変化球を紹介しましたが、それだけが魅力のイロモノパソコンではありません。

スペックとしては、CPUに第8世代の「Core i7-8750H」、GPUに「GeForce GTX 1050」、画面は3840×2160の4K、100%のAdobe RGBと132%のsRGBをサポートしているので、写真現像などにも活躍しますね。そして、メモリは16GB、ストレージは512GBのSSDと。まごうことなきハイスペック機です。

グラフィックや動画編集を主とするクリエーターが使っても満足できるスペックだと思いますし、サウンドも「Harman/Kardon」認証。クリアで迫力もあるため、自宅のAV・ゲーミングラップトップとしても十分に満足できると思います。

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Photo: 小暮ひさのり

少しでもスペックの高さを伝えられるように、『ファイナルファンタジーXIV 紅蓮のリベレーター』のベンチマークをあげておきますね。ゲーミングのためだけに購入するのはややもったいない気もしますけど、3Dゲームも快適に遊べるだけのポテンシャルは備わっています。

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Photo: 小暮ひさのり

ビジネスで使うことを考えると拡張性もまた大事ですが、そちらもほぼクリアしています。左側面にはHDMI端子とThunderbolt 3×2、右側面にはUSB 3.1×2、そしてmicroSDカードスロット。標準でHDMIと、USB3.1が備わっているのは好感が持てますね。新しいデバイスもレガシーデバイスも、どちらも存分に使えます。microSDカードがSDカードだったらパーフェクトでした。

外で使いたい昂ぶりと、全力で阻止してくる、あまりにもデカイ障害

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Photo: 小暮ひさのり

アダプターは巨大で、まるでモバイルさせる気を感じさせません。

急速充電対応で、約49分で60%まで回復するという大出力なところが魅力となっているものの、そもそもバッテリー消費がツライです!

原稿を書きつつ、Webサイトをチェックしつつ、Amazon MusicでBGMを流しつつ、ScreenPadをセカンドディスプレイにした状態で、バッテリーは1時間で30%消耗しました。外出先での利用可能時間はおよそ3時間30分〜4時間程度になると思われます。省電力モードを活用したり、革新的なScreenPadをありふれたタッチパッドとして利用すれば、駆動時間はさらに伸びるでしょう。でも、そんな長所を殺すようなことなんてしていいの?だめでしょ?

まぁ、GeForceも内蔵されていますし、小さいとはいえ2画面使っています。バッテリー駆動時間が短くなるのは当然ですが、僕はラップトップを持って出る時はほぼ1日作業になるので、せめてその倍は動いてほしい。もしくは、気軽に充電できる仕様であってほしいのです。

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Photo: 小暮ひさのり

巨大なバッテリーとガチな電源ケーブル(合計541g)は何なのでしょうね…。

おまけにThunderboltでの充電もできません。外出先でガンガン、高処理タスクができるってのは魅力なんだけど、このシステムは本体とバッテリーで合計2.5kgですよ。僕に重量荷重トレーニングさせたいとしか思えません。それはノーサンキュ…。

いや、自宅・オフィス用のラップトップとして使え。ってのが正義なのかな。でも、そうした固定砲台であれば、わざわざ手元に第二のスクリーンがある必要はないわけです。外部ディスプレイをもうひとつ追加した方が明らかに賢い使い方であり、長所が憎らしく思えるくらいのジレンマ、葛藤、フラストレイションを抱えているのです。あぁ、こじらせた恋愛をしている時と同じ感覚です。

27万円という価格はお買い得とは言えない

良くも悪くもScreenPadのインパクトは唯一無二のものがある。

とは思うのです。でも、やはり散々試してみたのですが、僕にはどう使えば、コイツの長所が活かしきれるかが最後までイメージできませんでした。さらに言えばこのラップトップを僕ら消費者にどういうふうに使ってほしいのか?という製品としての哲学が見えてこなかったのです。

斬新なScreenPad使いたくなるものの、小さく視認性はいまいち。そして使うとバッテリー消費も早い。かと言って、電源もでかい。1つの用途に3つも課題がくっついて来て、三歩進んで二歩下がる。人生はワンツーパンチです。

そのため、現状「ASUS ZenBook Pro 15 UX580」は可能性をベンチ入りさせた、モバイルし辛いハイエンドラップトップ。スペック的には写真現像・動画編集といったハードワークにも十分活躍できるパワフルさがあるので、自宅用のハイスペ編集マシンが欲しい!できればカッチョいいやつ! といったニーズなら選択肢に入ると思います。一方で、ギーク野郎たちのオモチャとしては、27万円近い価格はお買い得とは言えないかな。

もちろん、俺にはこの場所にこのサイズのスクリーンが必要なんだ!という強いこだわりやヒラメキ、シンパシーを感じた方には、そのまま進むべし。と背中は押させてもらいます。

もう一度言いますが、このインパクトは現状、唯一無二です。


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Source: ASUS

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