誰しも、良い習慣を身につけたいと思っています。特に、年が明けてしばらくは、新年の誓いがまだ心の中に残っていることでしょう。でも、新しい習慣の確立は、そんなに簡単ではありません。
習慣の確立(習慣化)には、数週間から数カ月の期間が必要です。
さらに、ジムに行く回数を増やすとか食生活の改善といった複雑な習慣の場合、モチベーションが大きな課題となります。そんなとき、マイクロハビットと呼ばれる小さな習慣が役立ちます。
マイクロハビットって何?
その名のとおり、小さくてシンプルな行動です。あまりモチベーションを必要とせず、目標とする大きな習慣に向けて積み上げていけるものを指します。通常、特定のイベントをきっかけにします。
「The Art of Manliness」では、マイクロハビットの2つの例を示しています。
- 寝る前に1本だけ歯のフロスをする。
- 仕事帰りに必ずジムでカードをスワイプする。
ここでの目標は、すべての歯をフロスすることや、実際にトレーニングをすることではありません。
とにかく、小さい何かをするだけでいいのです。
マイクロハビットのメリットは?
1本の歯をフロスしたり、ジムでカードをスワイプするだけでは、歯や身体の健康にそれほどの影響はありません。
でも、小さな一歩でも、とにかく始めることに意味があります。
すると自分の中で、「ああ、とりあえず始められたんだな。もう少しやってみてもいいかも」という気持ちになることが多いものです。
もちろん、何もやらずに終わる日もあれば、少しだけ多めにやってみる日や、1本の歯で終わる日もあります。でも、それを繰り返すうちに小さな習慣が少しずつ増えていき、目標とする習慣に近づいていきます。
そこには、心理学でいうところの「行動的モメンタム」という興味深い現象が働いています。
ある道を進み始めると、心はそれを続けたくなります。これは、いいことでも悪いことでも同じです。
つまり、食べ過ぎなどの悪い道を進み続けることも、フロスのようないい道を進み続けることも起こるのです。
このような性質を利用して、目標に向けた小さな習慣を積み重ね、行動的モメンタムを味方につけてしまいましょう。興味深いことに、この手法はマーケティングの分野でも応用されています。
ここで素晴らしいのが、大きな習慣を始めるときに比べて、小さな習慣の場合、心のハードルが低くて済むということ。
B.J Fogg氏は、TEDでの講演において、小さな習慣で行動変容が起こる例としてフロスを挙げています。
小さな良い習慣で悪い習慣を退治する
マイクロハビットは、定着してしまった悪習慣をやっつけるのにも適しています。悪習慣を始めたいという欲求を、トリガーとして利用するのです。
たとえば、不健康なお菓子を食べる習慣があるなら、デスクを離れてチョコレートのある食品棚あるいはテーブルに移動を始めたときこそ、小さな習慣を発動するチャンスです。
チョコレートを食べる前に、人参スティックを食べてみましょう。1本で構いません。そのあとは、罪悪感を感じることなくチョコレートを食べてもOK。
計画通りにいけば、いずれチョコレートではなく人参がおやつとして定着しているはずです。
そう、小さな習慣の積み重ねが、目標だった大きな習慣へとつながったのです。
これは、デジタルの習慣でも同じです。時間の無駄だと思いながらもFacebookのチェックがやめられない人は、Facebookを見たいと思う欲求をトリガーにしましょう。
ここでは、Facebookの代わりに、RSSフィードでもっと有益な情報を読むことを目標とします。
Facebookが見たいと思ったら、まず1つのRSSを読んでください。その後、Facebookをチェックします。
やがて、「こっちのタブに切り替えて読み始めたから、このまま読み進めよう」と、FaebookではなくRSSフィードの全記事を読んでいる自分がいることでしょう。
もちろん、RSSフィードの読み過ぎも生産性には悪影響ですが。少なくとも新しい習慣を身につける例として紹介しました。
デジタルライフを改善する12のマイクロハビット
どんなマイクロハビットを選ぶかは、あなたが何を達成したいかによります。
例として、デジタル漬けの悪習慣から抜け出し、生産性を高めるための12のきっかけとマイクロハビットを紹介します。ぜひ、参考にしてください。
- チャットをしたくなったら、ポモドーロサイクルを1回まわしてからチャットをする。
- メールをチェックしたくなったら、立ち上がってストレッチをする。
- マルチタスクをしている自分に気づいたら、タブを閉じるかウィンドウを最小化する。
- 会議予定を入れると同時に、スケジューラーに自由時間をブロックする。
- 就寝時、スマホやコンピューターに手を伸ばす前に、1分間瞑想をする。
- ネットやFacebookが見たくなったら、まずタスクリストを開く。
- 不健康なおやつが食べたくなったら、まずは立ち上がる(いずれは短い散歩に出かけることを念頭に)。
- 「ドラマをもう1話見たい」と思ったら、とりあえず寝室のドアまで歩く(適切な時間に就寝することが目標)、
- 食事中にスマホを見る前に、本を1ページ読む。
- 歯を磨いたあと、日誌を1行書く。
- オンラインで買い物をする前に、貯金プランを開く。
- コーヒーをおかわりしたくなったら、水を1杯飲む。
このように、マイクロハビットはどんなことにも応用できます。
うまく使って、悪い習慣をいい習慣で置き換えてください。本を読み、運動をして、姿勢を正して、健康的な食生活を送りましょう。可能性は、無限にあるのです。
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source: The Art of Manliness
Original Article: How to Use Micro Habits and Spark Massive Personal Change by MakeUseOf
Image: fizkes/Shutterstock