不思議すぎて脳トレにもならないくらい。
科学者や神経学者といった研究者たちだけでなく、芸術家らも参加するイリュージョンのコミュニティーが、毎年「ベスト・イリュージョン・オブ・ジ・イヤー」という錯覚大賞を決めています。
このたび2018年度の作品が決定したので、1位から3位までの作品をチェックしてみましょう。
第1位
2018年に優勝したのは、明治大学の杉原厚吉さん。かつて、いくらクルクル回転させても絶対に右しか刺さない矢印オブジェを作った方として、記憶に新しいかと思います。
今年はこちらの、指で回転させると2枚の鏡に写った姿がどれも違う立体に見える不思議なイラスト『三重多義立体』でトップを座を獲得しました。
工学博士の杉原さんは、過去にも優勝したことがある方です。かつての『右を向きたがる矢印』しかり、手前にある物体と鏡に写る見え方が変化する錯覚がお得意のよう。単純なイラストを回転させるだけなのに、不思議ですねぇ。
説明によりますと、これは脳が直角と陰影から奥行きを想像してしまうことと、レンズがひとつだけのカメラで撮影すると、片目で平面的に物を捉える現象と同じ効果が生まれるなど複数の要因が重なり、立体的に見えるのだそうです。
第2位
続いてイギリスのデイヴィッド・フィリップスさん、プリシラ・ハードさん、クリストファー・タイラーさんが作ったアニメーション、『Movement Illusion with a Twist』です。
斜め上に向かう菱形の羅列が、上に向かう水泡と重なることで右に移動しているように見えますね。さらには放射状に広がる羅列の左半分を上下反転させると、中心に沿ってグルグル回転するかのような映像になりました。
試しに片側を隠してみると、右半分は上に向かい、左半分は下方向ではなく上方向に収束していっています。そしてふたつが隣り合わせになると、まるでスピンしているかのように見えるのです。
第3位
こちらもイギリスから、マイケル・ピカードさんとガープリート・シンさんによる『The Worm’s Eye View Illusion』。
ヘビの縞模様が、濃淡2色の点滅だけで動いているように見える、というものです。しかも色調が変わると、動きの進行方向が変わってしまいます。アニメーションに使われるのは4コマだけ。こちらもまた、脳がダマされている結果トリック映像のようになるのです。
見る側は「へー不思議だねぇ」で済みますが、こういうのを作る人たちは数学や工学や色彩学などあらゆる見地から、脳ミソをフル回転させて考えているのでしょうね。
Source: 杉原厚吉, YouTube(1, 2, 3)via Best Illusion of the Year Contest via Futility Closet