心に感じる苦しみやつらさは人間が人間として正常な状態にいないことから生じて、そのことを僕たちに知らせてくれるものだ。そして僕たちは、その苦痛のおかげで、人間が本来どういうものであるべきかということを、しっかりと心に捕らえることができる。
——吉野源三郎
昭和を代表する児童文学者・編集者・ジャーナリストだった吉野源三郎さんの著書「君たちはどう生きるか」からの引用です。吉野さんは、岩波少年文庫創設にも尽力した人物です。
ジャーナリスト池上彰さんを始め、著名人が絶賛したことでも再び注目を集めました。
これから大人になる少年少女に向けた力強いメッセージは、働く大人の女性の心にも響きます。
自分自身に、問いかけてみて
苦しみやつらさなど、ネガティブな感情からはつい目を背けてしまう人が多いのではないでしょうか。このような感情を抱いている自分を認めたくない、弱音を吐きたくない、という思いから我慢している内に、段々と感覚が麻痺していく…。
しかし、体の痛みと同じように心の痛みもまた「現状は間違っている」ことを教えてくれる重要なシグナルなのです。
心がズキズキするたびに、「私は、本当は何を望んでいるの?」と自分自身に問いかけてみましょう。
日頃は見ないフリをしている苦しみやつらさを敢えてじっくりと見つめることで、自分がどう生きていくべきなのかが段々とわかるようになるはずです。
Image: 吉野潤子
Source: 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波書店)
カフェグローブより転載(2018.10.21)
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