タブレットもほしいけどラップトップもほしい。
そんな欲張りなあなたにLeonvoが送るこの2-in-1は、2つの端末機能を1つに閉じ込めながらもしっかりとユーザー目線で使い勝手を考えながら機能をデザインしているようです。ミーティングや営業の外回り、プレゼンにメールチェック、動画チェック、SNSチェックとモバイルに忙しい私たちに無駄な動きをさせない、そんな思いやりにあふれる端末のようです。
ラップトップがタブレットに早変わりするこの機能を実現するヒンジが気になるところですが、実際の使い勝手を米GizmodoのAlex Cranz記者がレポートしてくれました。
ヒンジがゴージャス
LenovoのYogaラップトップ製品ラインが有名でもあり人気な点はなんといっても、あの「ヒンジ」ですよね。 キーボードもついているクラムシェル型ラップトップからちょっと厚めのタブレットに早変わりする、あのちょうつがい部分のことです。特にYogaはLenovo(レノボ)が「ウォッチバンド」ヒンジと名付けている時計のベルト部分を彷彿とさせるオリジナルヒンジがゴージャスで、ラップトップの単なる留め金とは思えないような、まるで高級アクセサリのような容貌が特徴です。13.9インチの最新モデルはYoga C930。(10.8インチのデュアルディスプレイYoga Book C930とは異なるので要注意)Lenovoはこのヒンジにスピーカーを組みこむことにより、まったく新しいヒンジの使いかたを提示したことになります。実際に見るとびっくりの機能性ですよ。
Lenovo Yoga C930
これは何?
ヒンジのデザインを刷新したYogaラップトップ。
価格
1,400ドル(約15万8400円)
好きなところ
かしこいデザインのヒンジ。タブレットモードでのユーザーの動きをよく読んで作られている。
好きじゃないところ
お値段が張るところ。2台分だと思えば高くないのかもしれないけど。
Yoga C930で新しくなったスピーカーのすごいところは、ユーザーがYogaをこう使用するだろうと思われる、あらゆる使い方を考え抜いている点です。ヒンジにスピーカーがあることで、どんな形で端末を使用しても音がユーザー側を向くようになっている、これは賢いとしか言いようがありません。もし2in1ラップトップのキーボードにスピーカーがビルトインされてしまったら、タブレットとして使用しているときにはあまり意味がないですよね。
機能性をとことん追求
Yoga C930のすごいところを一言に集約すると、タブレット一体型2in1の機能性をとことん追求したクラムシェルラップトップである、ということにつきると思います。通常、2in1クラムシェル型ラップトップではタッチディスプレイの機能性までは追求されていないことが多くなっています。使ってみてからここもあそこも使い勝手が悪かった、となるんですね。ラップトップをタブレットモードにしたり、テントモードにして映画を見たりといった使い方が考えられますが、デザイナーはその使用方法が端末に与える影響にまで考えが及ばないことが多いです。ですが、Lonovoのデザイナーはそこをしっかりと見ているのですね。どのモードにしてもスピーカーがユーザー側に向くようにデザインされていたり、タブレットモードで使用したときの片手もちが楽になるように片側のベゼルが少し幅をとるような感じで工夫されている点も優れていると思います。あと、特筆すべきはスタイラスペン。Lenovoのスタイラスにはヒンジの横にペンを収納するスペースが用意されています。ポチっとボタンを押すだけでピコっと飛び出てくれるかわいくて便利な仕様。
ですが、残念ながらこのペンはあくまでもスタイラスであってフル機能のペンではありません。 筆圧感知レベルは4096段階で、これはスタイラスの使用には十分なレベル。すばやく作業をすることを考慮してか、ペン自体のサイズは小さめ。一日中書いているような人には向かない感じです。カードゲームの『グウェント』や『シヴィライゼーション VI - Civilization® VI』のプレイには最適ですが、お絵かきやもっと複雑なことをするなら、Surface PenやApple Pencilのほうがよいでしょう。
1080ピクセルのディスプレイ(4Kオプションもあり)は新世代HDR技術「Dolby Vision(ドルビービジョン)」に対応しているため、ダイナミックレンジと色彩の充実度は保証されたも同じです。画面の明るい部分をしっかりと処理している一方、ダークな場面の多いホラー映画を見ると、暗さが足りないなという気がしました。画面上に映るものは少し色が薄い感じがします。ディスプレイは決して色あせているわけではなく、品質的には問題ありません。ただ、私がいいたいのは、DellのXPS 13 4KやApple MacBookやMacBook Proを含め1,500ドルクラスのラップトップにはこれよりよい品質のディスプレイが搭載されているということ。
9時間55分のバッテリー持続時間
今回レビューに使用したYoga C930には、CPUに第8世代のi7 8550Uが使用されています。(実際に購入する段階になれば廉価版としてi5 8250Uをオプションとして載せ替えることもできます)なので、トップクラスのチップセットが持てるパフォーマンスは期待通りと言ってよいでしょう。ちょっと前にレビューしたDell XPS 13にも同じCPUが使用されていましたが、こちらには4Kのタッチディスプレイがついています。ディスプレイが大きくなっているにもかかわらず、バッテリーテストは良好な結果をたたき出してもいます。レビュー時に設定した輝度は200 nitで、電源が落ちるまでYouTubeの動画を再生し続けました。タッチディスプレイを載せているDell XPS 13のバッテリー持続時間は9時間28分でしたが、Yoga C930は9時間55分持ちました。同様の仕様でタッチディスプレイでないラップトップと比べるとやはり見劣りがします。タッチディスプレイでないDell XPS 13は13時間24分もっています。2018年のApple MacBook Proは10時間35分もちます。でも、これまではタッチディスプレイを載せていない機種と比較してタッチディスプレイ機種のバッテリー持続時間は大変に悪かった今までのことを考えると、格段にバッテリーパフォーマンスが向上したことは認めなくてはなりません。
あと、今回Yoga C930をレビューしてもっとも驚いた機能にはキーボードがあげられます。どうやらThinkPad X1 Carbonキーボード の流れをくんでいるようで、ゲーミングPC以外のラップトップ現行機種では最高レベルのキーボードと言ってよいでしょう。Yoga C930のキーストロークはそれほど深くありませんが、打鍵感には満足できます。タイピングにこだわりを持つ人にはDell XPS 13と同等かそれ以上の打鍵感があることを強調しておきます。
軽量で携帯性にもすぐれている
もちろん、Yoga C930はデザインがスマートというだけではありません。携帯性にもすぐれています。ヒンジにスピーカーが組み込まれているため、少しボリュームがプラスされる感じになっていますが、0.57インチの薄さはトラベラーにはうれしい仕様です。持ってみると、びっくりするくらいにYoga C930は軽いのです。アルミ製の筐体は約1.3kgと軽量。ストレージを多くとってドライブを載せかえたりCPUをつけ足したりすれば、もう少し重量は増えるかもしれませんし、Yoga C930よりも値段が安い730や、DellやHPなどの競合が出している2in1ラップトップ(約1.2kg)と比較すると、やはり重量はあります。でも去年のモデルYoga 920が1.3kg以上あったことを考えると、そんなに気になる差でもないでしょう。
デザイン面ではすぐれており、バッテリー寿命も十分。キーボードが秀逸のYoga C930はThinkPad X1 Carbonの廉価版といってもいいくらいの出来栄えです。重量には負けるもののDell XPS 13にも匹敵するほど。タブレットに早変わりしてくれるラップトップを探しているなら、スマートなデザインとパワーにあふれるYoga C930はおススメです。
価格帯が1,400ドル(日本価格: 17万9800円)からのYoga C930は安いとはいえません。ThinkPad X1 Carbonもこれより100ドル以上高くなっています。ちなみにタッチディスプレイ版のDell XPS 13は1,100ドルから(でも360度回転できるヒンジはなし)。ラップトップから厚めのタブレットに早変わりするこの端末を手に入れるには相当の対価が必要です。しかし、2in1を念頭に置いたデザインのYoga C930はこのために作られている端末。タブレット色の強いSurface Proがなじまないあなたには、グッドチョイスかも。
まとめ
・ヒンジスピーカーはカッコよくて音質もよし。
・スタイラスをしまっておけるのがいい。でも長時間使用するにはちょっスタイラスが小さすぎるかも。
・1.3kg という重量は1.2kgのDell XPS 13と比較すると重め。
・バッテリー寿命とディスプレイの質はいずれも良好だが、特にすぐれているというわけでもない。
・ラップトップをくるりと回してタブレットにして使いたい、という人にはぴったりの製品。そうでなければ、これより安いDell XPS 13や、ThinkPad X1 Carbonなど値段は高いけど軽量のモデルも選択肢としてはありかも。