未来は僕等の手の中。
創業100周年を迎えたパナソニックが、これからの未来にスポットをあてた記念イベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」を国際フォーラムで実施していました。
松下幸之助からはじまった100年の大企業ともなれば、回顧展に特化しても面白いはず。そうしたヒストリー的要素もあるにはあったのですが、本イベントのテーマは「未来の暮らし」について。多様化する暮らしにテクノロジーがどう応えていけるか、その可能性と提案はとても興味深いものでした。
というわけで、総合展示ホールで見かけたガジェッティーな展示を紹介して、パナソニックの挑戦的姿勢を感じてもらうこととしましょう。まずはTOP画像の追跡ロボットから。
これは人の斜め後ろを追従する荷物運搬用ロボット。顔認証でロックを解除し、中に最大20Kgまでの荷物が収納できます。お米もペットボトルも持たせてよし!
買い物の時にこれがあれば便利でしょうね、見た目も可愛いし。未来の買い物は、ロボットが人の荷物持ちをすることは充分ありえると思いますし、セキュリティや認証の面も重要になってきそうです。あとは悪路走行性能も高まってほしい。
こちらは高速追従プロジェクションマッピングというもので、赤外線センサーによって正確に動体を認識し、そこにプロジェクションマッピングを投影できるというもの。
こーんなでっけぇ装置です。マーカーいらずで低遅延な追従を実現するには、これくらいのサイズがいるんですねー。
こんな風に、ボルダリングをしている人にスポットを当て続けたり、
ジャンプ(ランジ)の時は羽エフェクトをつけるなんて演出も。こういう技術、Perfumeが面白く料理してくれそうな感があるな〜。
現場的な仕組みだと、こちらの入出庫効率化ソリューションがエモかったです。大量のバーコードを瞬時に読み取るシンプルな仕事なんですけど、そのスピードにご注目いただきたい。
こいつぁ早い。もし荷物の中にエラー品が混じってる場合もちゃんとアラートしてくれるみたいですし、何より1台のカメラでこの技術を実現してるのがすごい。世界の物流速度はまだまだ上がるのか……。
さらに、食品工場生産ライン自動化のロボットも。お弁当のライン作業をロボットがこなしてくれるってやつなんですけど、コンベアを止めずに作業できる点がすごいのだとか。
稼働の様子はこんな感じ。コンベアの移動に合わせてアーム自体も横に動いてるんですよね。改めてアーム先端の動きを見ると、弧を描くようにフワっとしています。地味だけどすごい!
このロボットアームは、京都に本社をおくスキューズ株式会社が開発をしており、パナソニックは販売や販促を提携して手伝っているそうです。大企業の強みを活かした、こういう絡み方もあるのですね。最近のパナソニックは、大企業の自覚を上手く利用してる感じがする。
これ、すごかったです。人センシングっていう、画像解析技術で人を捉える仕組みのデモなんですけど、1台のカメラ(LUMIX)でこんなトラッキングをしてくるんですよ。
人体を認識し、腕の長さや位置から関節を割り出して白い点で表示します。この関節の位置関係や動きに応じて、本を読んでるとか料理をしているとか、そうした人の動きを認識するんですって。中央の数字は顔の表情から読み取った心拍数です。
カメラ1台でのトラッキングは、マーカーなどを装着するモーショントラッキングに比べ精度で劣りますが、手軽なのが何よりも強み。手軽な分サンプル数も大量に稼げますから、ビッグデータ解析で精度を高めることもできるし、特定の行動に応じた先回り提案もできます。体調管理にも使えそうだし、そもそも家でコレをやってみたい。
総合展示エリアの一番奥には、一番テンションが上がった展示がありました。ヒューマンシミュレーションというこの技術は、3台のカメラを使って人の動きを撮影し、その動きから様々な値を導くというもの。言葉だけだとわっかんないですねこれ。
指示通りに手足を動かしていくと、その様子がリアルタイムに記録されます。
すると、さっきの動きがシミュレートされ、重心が左右にブレているとか、かがむ際にどれだけ負荷がかかっているかなどを可視化してくれるのです。重心位置の変化は左右のフラフラ具合でみてたり、負荷は足腰を曲げる時にどんな動きをしたかを解析してるとのこと。これも平均のデータがあるからできることですね。
赤くなっている部分が負荷のかかっている部分。この分析を使えば「自分は右足に重心が偏るクセがあるな」ということを自覚して、身体の歪みを予防できたりもします。技術的なねらいとしては、肉体的負荷を定量化することで姿勢改善や人間工学的な製品開発があるそうです。
さらに、今後は気持ちの定量化も目指しているとのこと。声色、脳波、顔色、視線、皮膚温といった生理反応や五感から、ストレスや疲労具合などを数値化できるかもしれないそうですよ。これ、快適な環境をつくる上でめっちゃ役立つ技術なのでは?
他にも色々な展示がありましたが、全体的に「カメラ1台で済ませる」のと「とりあえずセンシングできそうなものは全部する」的な気概を感じました。インターフェイスはあくまでもスマートに、かつ1を知って10を返す的な解析力を持たせる。そのためにはビッグデータが欠かせない。そんな感じでしょうかね。
現代はAIやディープラーニングが「せっかくだから活用しなきゃ!」な扱いで、料理を提案してくれる電子レンジは便利ではあるけど必要ってほどでもない、みたいな感じだと思うのです。でも、例えば寝起きの顔の状態を解析して、体調に応じたメニューを提案してくれる、みたいなのはアリだと思うんです。人と家電がインタラクトするには、まずデータが必要。今はその過渡期なのかなーと。
そうした無数のデータの先にある未来の暮らしを、パナソニックは見つめてるのでしょう。だって100年で冷蔵庫も洗濯機もここまで変わったんですから。未来は僕等の手の中、マッハ50で駆け抜けよう。