「この話を聞いていて、あなたのことを思い出した」――そんな理由で、就職口や仕事の案件を紹介してもらった経験はありますか? もしあるなら、あなたは人脈から恩恵を得たことがある人と言えます。

人脈作りというと、相手にこびへつらったり、ひたすら自己アピールに励んだり、というイメージがあるかもしれませんが、良い人脈を作るのにそんな態度は不要です。必要なのは「自分の強みをしっかりと打ち出すこと」。それだけです。

ただしそのためには、誰かに会ったり、情報交換をしたりする時の自分の振る舞いに、細心の注意を払わなくてはなりません。

人脈づくりのコツは?

エンジニアのBenjamin Reinhardt氏は、「オタクのための人脈作り」と題した記事で、人脈作りが嫌いな人向けにネットワーキングの手ほどきをしています。

米LHでもこれまで同様のテーマを取り上げ、効果的な「お願い」の方法や、忙しい人にコンタクトを取る際に要点をはっきりと述べる方法などの記事をたくさん掲載してきました。

しかし、Reinhardt氏が提唱するメソッドで私たち編集部の目を引いたのは、自分の強みを打ち出すことを重視している点です。

誰もが、自分の知り合いそれぞれに対して「あの人はこんな感じ」というイメージを、頭の中に抱えているものです。

例えば、「超有能なインターフェースデザイナーで、機械学習やコンサルティングの分野に入り込みたいと思っている」友人がいるとしましょう。これだけはっきりしたイメージがあれば、チャンスがやってくる可能性も高いはずです。

人のイメージは「BenはXとYとZを求めていて、A、B、Cの件では頼りになる」というように明確な場合もあれば、「Benって、あの時の会合で知り合った、あの巻き毛の男の人だよね。興味深い事柄についていろいろと話した記憶がある」というように、曖昧な場合もあります。

知人に対するこうしたイメージは、ストーリー、スローガン、得意技など、呼び名はさまざまです。しかも、出会った人すべてについて、意識的か無意識かを問わず、イメージができているものです。

そこで自分自身に問いかけてみてください。あなたの知り合いがあなたとその得意分野を説明する機会があったとしたら、どんな風に表現するでしょう? あなた自身は、どのように言ってほしいですか?

他人の頭にある、あなたのイメージを明確化するというのは、自分を偽るのとは違います。むしろ、望ましい自分の姿をはっきりさせ、そうした自分になることなのです。

例えば、私の場合、人にどんな仕事をしているのかと聞かれると、つい謙遜したり、たいしたことはないと言ってしまったりしがちです。私は数年前に、妻からこの点を指摘され、自分と今の仕事、さらには今目指している目標をもっとはっきりと説明するようにと促されました。

自分の強みを分析してみた

そこで、米LHでやっている仕事を説明するために、私は自分が書いた中でも気に入っている記事を話題にすることにしました。

定番は「猫に好かれる方法」の記事です。これなら、たいていの人は興味を持ってくれますし、私もこの記事を書いた時の楽しかった思い出について話したり、「専門家にはあえてちょっと間抜けに見えるような質問をしたいので、いつもアイデアを探している」といった、記事を書く上での心構えを語ったりできます。

また、仕事のほかにやっているサイドプロジェクトを話題に出すこともあります。

こちらはその名も「Roommate From Hell(地獄から来たルームメート)」という、フィクションのポッドキャストなので、制作の楽しさや、ストーリーの面白さについて話します。

「ポッドキャストのリスナーを増やすのが今の目標です」というような、あからさまな話はしませんが、どんな人をターゲットとして想定しているかについては明確にしています。

というわけで、あなたも自分の仕事や地位、今後の目標について、できる限りはっきりと定義してみてください。決まり文句を一語一句、覚えてく必要はありませんが、「今何をしているの?」と尋ねられた時に、答えられるような材料は用意しておきましょう。

質問した側だって、「あー、たいしたことはしていませんよ。ちょっとこんなことをしているだけで。でもそんなに大事なことではありません。どうでもいい話ですよ…」などという返答を聞くよりは、きちんとセールスポイントをアピールしてもらうほうがありがたいはずです。

それに、何か記憶に残るような情報を伝えておけば、それを聞いた人が、あなたの言ったことに関係するアイデアやチャンスを耳にした時に、「あなたのことを思い出して…」と紹介してくれるかもしれませんよ。


Source: Networking for Nerds

Nick Douglas - Lifehacker US[原文