宇宙、いや氷河を漂うモノリスか…。
なんとも珍しい、信じられないほど真四角な氷山が発見されました。巨大なチェンソーで削ったのかと思うほど、見事な長方形です。このような氷山は以前から確認されていますが、つい最近、南極のラーセンC棚氷から分離したばかりのこの氷山は、どちらかといえば稀有な例と言えそう。
この氷山は、卓状氷山と呼ばれる種類のもの。タイタニックを沈没させたようないびつな形の種類とは異なり、こういった氷山は表面が平で側面は絶壁、そして時には氷山の巨大さで区別されます。最大級の卓状氷山だと長さ数百キロメートル、水面下数百メートルにも伸びるとか。
From yesterday's #IceBridge flight: A tabular iceberg can be seen on the right, floating among sea ice just off of the Larsen C ice shelf. The iceberg's sharp angles and flat surface indicate that it probably recently calved from the ice shelf. pic.twitter.com/XhgTrf642Z
— NASA ICE (@NASA_ICE) 2018年10月17日
若き白いモノリス
10月16日、NASAの科学者らはオペレーション・アイスブリッジ・プログラムの一環として南極に浮かぶこの氷山を観測しました。同プログラムは極地域を観測し、地球の気候システムをトラッキングする現在進行中のミッションです。
卓状氷山は、棚氷から大きな氷の塊が分離してできるものです。今回、四角形の氷山はラーセンC棚氷から分離しました。この棚氷からは、2017年7月に超巨大な氷山「A-68」が誕生しています。この氷山の縁が比較的平らであり、きれいな状態であることからして、NASAはつい最近分離したものである可能性は高いとみています。
氷山としては特に大きくない
メリーランド大学の地球科学者Kelly Brunt氏は、LiveScienceの記事の中で氷山の分離を、爪が長く伸び過ぎて先端が折れてしまう状況になぞらえています。その結果、こういった長方形の氷山が出来上がるんだとか。この氷山のサイズはまだ測られていませんが、Brunt氏いわく端から端まで1.6kmほどで、特に大きいというわけではなさそう。対照的にA-68の表面積は、分離した時点で5800平方kmだと計測されていました。同氏はさらに、海面上に現れているのは氷山の10%ほどだけだと付け加えています。まさに氷山の一角ですね。
今回のプロジェクトのシニア・サポート科学者であるJeremy Harbeck氏が別アングルからの写真も公開しました。完璧な長方形というわけではないですが、それでも自然の力で形成されたとは思えないほど、角ばっていて四角形だと分かります…。
同チームはさらに、同じような卓状氷山をもう1つ観測しています。
動画で観るのもまた圧巻ですよ。
そういえば、この上で4回転トーループ3回転半ってできたりするのでしょうか。
Source: National Ocean Service, NASA(1, 2), Twitter via LiveScience