16万8000光年離れた神秘。超新星爆発の25年をGIFでどうぞ

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  • author Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
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16万8000光年離れた神秘。超新星爆発の25年をGIFでどうぞ
Image: Chandra X-Ray Telescope

ドーナッツのサーモグラフィーではなく……。

突然ですが、近年でもっとも重要な超新星爆発「SN 1987A」ではないでしょうか? これは望遠鏡が発明されてから地球にもっとも近いもので、科学者たちは1987年からずっと爆発後の姿を観察し続けているのです。

そこでトロント大学卒のイヴェット・センディスさんが、1992年から2017年まで25年間に渡る電波の動きをまとめた報告書を作成しました。

そのタイムラプス動画がこちらになります。

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Video: Gizmodo US

この映像では超新星爆発で死に、壊滅してゆく星から流出する電波が見られます。エネルギーを放出し、衝撃波で生まれた青いリングが徐々に緑に変化し、中から黄色や赤い色が生まれています。これは磁場の変化が電子を渦巻かせ、光子を放出していく様子なのだそうです。

この現象がもたらしたもの

16万8000光年という遥か彼方の大マゼラン雲に生まれた「SN 1987A」は、ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーが1604年に発見した「SN 1604」(ケプラーの超新星)に次いで地球に近い超新星爆発として観測されており、これのおかげで人類は超新星爆発の進化について多くのことを学んできました。

加えて電磁波や重力波、ニュートリノ、宇宙線などを協調して観測することで行なう「マルチメッセンジャー天文学」で観測が行われた初の例にもなりました。

観測から判明したこと

科学者たちは、オーストラリアコンパクト電波干渉計を使用してこの映像を作りました。そして学術雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル」にて発表され、星が死してなお拡大を続けており、南東に向かって薄らいでいく様を伝えています。そしてここ3年で拡大速度が増していることも報告されました。これは衝撃波によりリングが中心から離れ始めている兆候だと考えられています。

そこでセンディスさんはこうコメントしています。

今これが興味深い理由は、衝撃波が超新星周辺の高密度物質の中をを掻き分け、密度の低い媒質に向かうにつれて再加速していること。これは最高にクールです。いわゆる衝撃波物理学ってやつです

各所でも観測されている

この現象はほかにも、ハッブル望遠鏡やチャンドラX線望遠鏡でも定期的に観測されています。正確には16万8000年の時差で地球から観測しているのですが、リアルタイムでこんな天体イベントを見る機会はなかなかありません。科学者たちはこのチャンスを活かして、超新星爆発について理解を深めているのです。

ちなみにですが、巨大な星が超新星爆発して残った星の核は、超高速でスピンする中性子星「パルサー」などとなることもあります。こちらも壮大な天体ショウなので、NASAのスパコンが作ったシミュレーション映像をお楽しみください。

Source: ApJ
Reference: Wikipedia