自ら美少女に!? バーチャルYouTuber業界に100億円投資を決めたオタク社長にオタクが話を聞いてきた(1/3 ページ)

VTuber事業に100億円規模を投資すると宣言し、新会社を設立した荒木さん(グリー取締役/WFLE代表取締役社長)に凸撃。

» 2018年11月10日 11時00分 公開
[にゃるらねとらぼ]

 にゃるら(@nyalra)です。今回はバーチャルYouTuber(以降、VTuber)業界に無謀とも言える突っ込み方をしているグリーさんの中でVTuber事業のボスである荒木さんにお話を伺ってきました。うわさの100億円の投資先やバーチャル業界への想い、「REALITY」の今後や重大発表も聞いてきました……が、そういった堅苦しいことは抜きにして、単純にオタクとしての荒木さんのお話を含めてゆるりと読んでいってください。


グリー 荒木 VTuber ボス 荒木英士さん

荒木英士 グリー取締役 上級執行役員/Wright Flyer Live Entertainment 代表取締役

2005年、4人目の正社員としてグリーに入社。2013年9月、取締役就任。2018年4月、同社100%出資のWright Flyer Live Entertainment(WFLE)を設立し、代表取締役社長に就任。VTuber特化型のライブエンターテインメント事業に今後1〜2年で100億円規模を投資すると発表した。

REALITY

WFLEが2018年8月にリリースしたVTuber専用ライブ配信プラットフォーム。10月にリリースしたREALITY Avatarでは、スマホだけで自分がVTuberとなり、ライブ配信が行える。ポイントによる収益化も可能。



VTuberオタク談義

にゃるら:今まで真面目なインタビューは何度も受けてきたでしょうし、今回はもっとライトに、ただのオタクとして話してもらえたらなと考えています。

ねとらぼ:いやぁ、その方面でぶっこめるのは強いなあ。

荒木:まあ媒体的にもね、硬い内容は今回は少なめで(笑)。

にゃるら:そうしましょう。

荒木:わざわざ僕バーチャルねこ(※)のTシャツ着てきました。


バーチャルねこ

バーチャルねこ:2018年5月に現れたVTuber。普段はバーチャル空間でねこ活動をしている。作曲ができ、音楽アーティスト「Virtual Cat」としても活動中

にゃるら:荒木さん一押しのVTuber聞こうと思っていたら、もう答え出てるというか、有識者会議(※)でも話してましたね。

有識者会議:VTuberに詳しい人々による座談会。甲賀流忍者!ぽんぽこの番組内で過去2度行われた。2018年10月7日放送に出演した他メンバーは、いわなが、たまごまご、兄ぽこ(敬称略)

荒木:そうそう、その前日のB Dash Camp(※)でもバーチャルねこを推して。

B Dash Camp:ネット業界で活躍する経営者や業界関係者が一堂に会するイベント。年2回開催

にゃるら:いい感じにただのオタクになってきましたね。そのままバーチャルねこさんの魅力を語っていただけると。

荒木:アハハ(笑)、そっから、いきなりそっから始まる? そうですか。僕もともとアンビエントやエレクトロニカが好きなので。彼が作っている曲はエレクトロニカじゃないですか。好きなんですよ、普通に好みとして。

ねとらぼ:曲のファンとして入ったわけですね。

荒木:あの短い10〜15秒で、あの映像と音で、あの手数で繰り出されてくるとすごいなと。

にゃるら:シュールさというか。

荒木:そうですね。

ねとらぼ:曲作りでいうとミソシタさん(※)とかはどうですか?


独特なポエムコア

ミソシタ:ポエムにトラックを合わせた“ポエムコア”を用いるVTuber。2018年3月に活動を開始し、夏にメジャーデビューを果たした

荒木:ミソシタさんも好きですよ。僕ナンバーガールとか、その後のZAZEN BOYSも好きだったので、ああいうオルタナポエミーなラップはなじみがあるっちゃある。キャラクターや設定に異形さを感じて気に入ってます。

にゃるら:曲自体は王道というか。どんどんオタクっぽい熱い語りで最高です。

荒木:ある意味、僕にとっては王道。オルタナティブの中ではよくあるかなと思うんで。

にゃるら:では、音楽方面じゃなく単純な面白さで好きなVTuberさんは?

荒木:面白さですか。やっぱりゲーム部(※)の日常パートはいいですよね。

ゲーム部プロジェクト:VTuberの夢咲楓を部長としたグループ。主にゲーム実況をするが、たまに日常を題材にした動画も出す

にゃるら:テンポ良いギャグアニメのようなノリですね。

荒木:そうそう。ちゃんとバラエティがあって、ゲームやってるパートと日常ギャグパートというかシュールパートみたいなやつで、いいなと思いますね。

にゃるら:誰がお気に入りですか?

荒木:晴翔くん(※)は面白い。



道明寺晴翔(どうみょうじはると):ゲーム部の一員。中二病の側面がある。「#ハルカスクソコラグランプリ」というハッシュタグが一時盛り上がった

ねとらぼ:なるほど。

荒木:ちゃんと役割分担されていてクリエイター目線やバランス感覚が優れている。晴翔くんはデビューする直前に、「キリトをモチーフにしてる」とどこかで聞いた気がするんですが、ああそういう感じなんだと思ったら、それどころじゃなかった(笑)。キリトに憧れる痛い人みたいで(笑)。

にゃるら:アハハ(笑)。じゃあ、このままオタク話していると、ねとらぼに怒られるので、ちょっとWFLEさんの事業の話に入っていきましょうか。

荒木:はい


グリー VTuber 荒木 荒木さんと筆者(右)

100億円は全然使い切れない

にゃるら:ビジネスの話になった瞬間に、キリッとして怖い……。100億投資というお話でしたが、WFLEさんのその投資した主な使い道や内訳を教えてもらえたらなと。

荒木:はい。100億円規模を1〜2年で使うって言ってるんですけど、そのうちの40億円くらいが企業への投資など資本関連で、残りの60億円は事業で使っていくという想定です。

にゃるら:今はどれくらい進みましたか? 進捗状況は。

荒木:いや全然使い切れない

にゃるら:すごい、使い切れない。

ねとらぼ:そうですね。使い切れない。 

にゃるら:格好いいな。

荒木:無駄に使ってもしょうがないんで。

にゃるら:そうですね。

荒木:やっぱり、ちゃんとやりたいものに使わなきゃいけないから。そんなに無茶苦茶な使い方はしないんですよ。となると、サービスなり開発体制なり整わないといけない。だから投資ペースを上げていけるように、仲間集めを頑張っているフェーズです。


ときのそらを契機にビジネスが始まり、3人のチームが1年たたずに50人になった

にゃるら:そもそも、VTuberをすごいなと認識して、投資しようと思ったのはどういう流れだったんですか?

荒木:そうですね、時系列をさかのぼると、まず個人として僕キズナアイを発見したのが多分2017年の1月とかだったと思うんですよね。

にゃるら:ああ初期だな。

ねとらぼ:本当に初期の全然いなかった頃ですね。

荒木:「これすごい」と思って、バーチャルキャラクターとかバーチャルアイドルっていう概念は昔からあるじゃないですか。

にゃるら:ですね。

荒木:だけどキズナアイはYouTubeで“YouTuberらしいこと”をしていた。かわいいし動画としても面白い。こういうのできるんだと驚いて、しばらく眺めていた。それで2017年の10月〜11月にVRChatが盛り上がったんですよ。

にゃるら:まだ大きく表に出ていない頃のねこますさんたちや、熱心な海外ユーザーがこぞって参加していましたね。



荒木:そして12月に一気に波が来て、そのときに「プラットフォームいけるんじゃないかな」と。年末の経営陣との会話で「盛り上がってるね」と話がでて、そこから3日くらい一人脳内ブレストをわーっと開催して、そのメモを元にそれこそ最終営業日くらいにもう一回経営会議で事業化できるのではと話して、「いいね、やろう」みたいな。

にゃるら:なるほど。僕も12月後半あたりから企業さんからいろいろ協力して欲しいと声がかかるようになりましたね。今ではすっかり大物になったバーチャルYouTuberさんたちが初生放送で盛り上がってきたのが、その時期ということもあって。ミライアカリさんの生放送がTwitterトレンド1位になったりとか。

荒木:ああそうそう。その前の週に僕、カバー社(※)に遊びに行かせてもらって『ときのそら』生放送を見せてもらったんですよ。これは未来きてるぞと。


そらちゃん

カバー:2016年設立。ときのそらをはじめとしたVTuberのマネジメントと配信アプリ「ホロライブ」を展開するベンチャー企業。

にゃるら:では、そらちゃんを契機に一つのビジネスが……

荒木:そうですね。そらちゃん契機ですね。

にゃるら:あの時期は等身大の女子高生でノーマルにかわいい子って逆にレアでした。

荒木:そうですよね。ネットスラングとかには疎いけど、一生懸命歌ったり話してくれたりして応援したくなるというか。

にゃるら:だからこそ、地道に頑張って実を結んで一躍有名になったという過程があって、ある意味最も感動を生んだ子でしたね。

ねとらぼ:皆オタクになってきた

荒木:そう! それから年明けになって数人のチームを作って。ちょっとずつ人を集めながら、ビジネスとして捉えるかと考えて今に至るみたいな感じですね。4月にWFLE作ってます。

にゃるら:今はどれくらいの規模ですか?

荒木:約50人です。年明けはホント3人だった。

ねとらぼ:すごい勢いですね。

にゃるら:17倍。

ねとらぼ:100億円規模の投資は大きなニュースでした。社内では反対意見とかなかったんですか?



荒木:やっぱり僕たちは大きい会社になっちゃったので、これがスタートアップだったらステルスでやると思うんですよ。でも、黙ってやるメリットと宣言してやるメリットを考えたときに、業界自体を盛り上げる方向に――IPホルダーや音楽の会社などいろんな人々が乗ってくる流れを作ろうと思って、宣言することにしました。

にゃるら:そして100億円を。

荒木:意気込みの現れですかね。

にゃるら:意気込みで100億円出せるのが、まずすごいですよね。先ほど大まかな内訳を聞きましたが、個人的な考えとしては、VTuberは今後個人勢をどう広めていくかっていうところにあると思うので、そのあたりも伺っておきたいなと。

荒木:そうですね。やっぱりVTuberの仕事をしていて感じるのは、本当に個人の力なんですよ。結局、そのキャラが魅力的だから見られたり人気出たりするわけで、別にお金かけたり、広告宣伝したりで面白いVTuberになるわけじゃない。前提として直接生み出しているクリエイターに対するリスペクトと、彼等がちゃんと経済的にリターンを得られるようなエコシステムを作るという考えがあって。

 今僕たちのREALITY上で番組を少しずつ展開しているんですが、個人勢/企業勢とか関係なく登場してもらって、知ってもらう機会が増えて収益化もできるようにしていきたいですね。

にゃるら:かつてはニコニコ動画がその役でしたね。歌い手や実況主を野良から拾ってきてプロにするっていうプロセスがあったからこそ盛り上がったと思うんですよね。

荒木:そうですね。ここで活動して人気出たら活動幅が広がるとか、今はバイトしてるけど、VTuber1本で食べていけるってなるのが、一応目標ですね。

ねとらぼ:今プラットフォームが乱立しているじゃないですか。その中で「REALITY」の勝ち方は考えていますか?

荒木:いろいろ増えてきてるんですけど、まだ市場自体が小さいからここで奪い合っても仕方ないなと思っています。「VTuberを知ってるけど、まだ見てない人」をどう連れてくるか、あるいは知らない人にどうやって好きと思ってもらうか、そっちを考えています。ライバルみたいな存在があるとしたらギガ(データ通信量)ですね……。

にゃるら:VTuberに、まだリーチしていない層のためには「VIRTUAL BUZZ TALK!」(※)の存在などもそうですよね。

※VIRTUAL BUZZ TALK!:VTuberのVTuberによるVTuberのためのトークバラエティ番組。WFLE、TOKYO MX、ドワンゴが共同制作している

荒木:あれはいわゆるMXの深夜帯のアニメ枠じゃないですか。アニメとアニメの間は5分なんですよね。その流れでVIRTUAL BUZZ TALK!を見て「こういうのがあるんだ」と知ってもらったり。

にゃるら:自分は深夜アニメは毎日欠かさず見ているのですが、その際にバズトークを通して初めて知るVTuberが居る場合も多くて。新しい層を獲得するという意味では大いに意味がありましたね。


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