少し前、生産性という言葉がはやりました。短い時間で、できるだけ多くのことをしたい。誰もがそう思っていたのです。
その結果、私たちは何を得たでしょうか。
社会全体が、以前よりもずっと生産的になったでしょうか。そうだとして、私たちは幸せになったでしょうか。
確かに、生産性は大切です。でも、それに振り回されていては本末転倒。そこで、生産性に人生を乗っ取られないための、5つの方法を紹介します。
1. 大局的に考える
生産性がすべてではありません。
でも、アプリ、メルマガ、ブログ、ウェブサイトなどが口をそろえて生産性を訴えてくる昨今では、そのことを忘れてしまいがちです。
確かに、仕事で時間に追われているときには生産性が重要かもしれません。でも、仕事以外の人生においては、生産性にこだわる必要はまったくないのです。
それよりも、あなたの最終目標に向けて、有意義で充実した生活を送れるように努力をしようじゃありませんか(あなたの最終目標は、効率を高めることではないですよね?)。
自分の中の優先順位を思い出す方法はたくさんあります。
大きな目標を書いたビジョンボードを掲げる、いつか旅したい場所のポスターを貼っておく、デスクトップの背景に旅先がローテーションで表示されるようにしておく、楽しいことだけを集めた「燃え尽きない」ToDoリストを作る、家族と過ごすなどなど。
これらはどれも、自分が本当にしたいことに意識を向けられる方法です。
2. 意識的に感謝する
感謝の大切さは、かなりおろそかにされています。
でも、感謝をすることで、自分自身も幸せになれるし、退屈や困難を乗り越えられるし、日々の生活で直面する些細なことにとらわれずに済むようになります。感謝すべき対象がない人なんていません。それなのに、それが当たり前かのように思い込んでいるのです。
そのような考えは、燃え尽きにつながります。
健康で充実した生活における感謝の力は、科学的にも認められてきました。社会学者のクリスティン・カーター氏は、生産性を追求しつつも気楽に生きるスイートスポットについてと、そのための感謝の役割について語っています。
感謝の練習をしてください。毎日時間をかけて、自分が何に感謝しているかを考えるのです。
感謝の気持ちを忘れないために、感謝日記を始めましょう。時間をかける必要はありません。毎日のはじまり(あるいは終わり)に、ほんの数行でいいので、感謝していることを書き留めておくのです。そうやって、感謝の気持ちを意識することを習慣にしましょう。
3. 生産性の本質を忘れない
先日、ポール・ドーラン氏の本『Happiness by Design』を読みました。そこには、生産性の目的についての教訓が含まれる、漁師とビジネスマンの寓話が載っています。
漁師は自分の人生を生きることに、ビジネスマンは生産性に重きを置いています。では、その目的は何でしょう? ビジネスマンは、生産性を高めることで自分のやりたいことができるようになると説きます。しかし、漁師は本質を見抜きます。彼は、すでにそのような生活を手にしているのです。
これをあなたの人生にも適用してみましょう。こう自問してみてください。
- いま掲げている目標は、人生でやりたいことにつながるだろうか。
- 果たして自分は、キャリア目標に近づくことを考えてプロジェクトに参加しているだろうか。
- 果たして自分は、給料は高いが時間のかかる仕事をしたいだろうか。
- 生産性ばかりを追い求めていて、何かを見失っていないだろうか。
これらの質問に対する答えで、あなたが正しい方向に向かっているのか、それとも上っ面だけの効率を追い求めているのかがわかるはずです。
4. ストレスマネジメントを習得する
生産性の追求はストレスがたまります。
生産性マネジメントシステムとは本来、生産性を高めることでストレスを減らすことが目的のはずですが、実際は目先のタスクを終えることばかりに気持ちが向かい、ストレスが増えてしまうのが現状です。
とりわけ、計画通りにことが運ばないときのストレスは膨大です。しかも、計画通りにことが運ぶことなどほとんどありません。
急なミーティング、子どもの急病、プロジェクトの遅れ、自分の体調不良など、計画を邪魔する何かが発生し、ストレスがさらに増えていくのです。
ですから、ストレスマネジメントのための時間を確保してください。Akshata Shanbhagさんが、生産性からストレスを取り除くための方法という記事を書いています。
もっとシンプルな方法もあります。ストレスを感じたら、数分かけて、深呼吸をしてください。朝に瞑想をしたり、仕事後にヨガをしたり、寝る前にジャーナルを書いたりするのもいいでしょう。
旅行に行くのもオススメです。たとえ週末1泊だけのキャビン泊でも、日帰り温泉でも構いません。
もう1つ、マインドフルネスもストレスコントロールにぴったりの方法です。自分の心の声に集中することで、優しくてヘルシー、かつ効果的な対処法が見つかるでしょう。
ネットサーフィンなど、マインドフルネスは人生のあらゆるパートに導入できるので便利です。
5. 趣味や副業をおろそかにしない
生産性を求めていると、趣味や探究的な副業など人生の重要なものを犠牲にしてしまいがち。でもそれらは、心の健康だけでなく、生産性のためにも重要だったりもします。
コンフォートゾーンの外にあることに取り組むと、クリエイティビティが高まり、新たな課題解決法を習得できます。仕事を忘れられるので、ストレスの軽減はもちろん、身体的な健康につながることも多いものです。
時間をかけて新しいことを学ぶのもいいでしょう。新しい言語を学ぶ、Arduinoを使ってエレクトロニクスを学ぶ、オンラインでプログラミングを習得するなど、方法はたくさんあります。
新しいスポーツを始める、小説を読む、家族と新しいボードゲームをプレーするなんてのもありです。何をするにしても、定期的に時間を取って取り組むようにしてください。
副業は仕事と関連していても構いません。3Mなど一部の企業では、勤務時間中に仕事に直接関係ないサイドプロジェクトに取り組む時間が与えられています。
そうすることで、社員のクリエイティビティと満足度が高まるからです。3Mのような大企業が採用しているのですから、効果がないはずがありません。あなたも安心して、自分のための時間を確保してください。
本質を見失わないで
確かに、生産性や効率は重要です。
食べていくために、誰もが仕事をしてお金を稼がなければならないのですから。でも、人生における優先順位を忘れてはいけません。
仕事よりもずっと大切なことを、決しておろそかにしないでください。生産性を追求すべきときは追求し、そうでないときには大切なことに時間を注げるよう、ここで紹介した方法を使ってバランスのとれた人生を送ってくださいね。
それが、生産性の本質なのですから。
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Image: ZephyrMedia/Shutterstock.com
Source: The Washington Post, Amazon, Fast Company
Original Article: 5 Ways to Keep Productivity From Taking Over Your Life by MakeUseOf