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日本で広がるバーチャルYouTuber市場について特集したムービーが公開中、キズナアイ本人へのインタビューも


CGモデルの姿のまま、YouTubeなどで活動を行う「バーチャルYouTuber(VTuber)」は、多くの登録者数を誇るだけでなくテレビ出演や現実世界でのライブなど、活動の幅や規模を大きく拡大しています。そんな日本のバーチャルYouTuber市場についてさまざまな関係者にインタビューを実施したムービーが、YouTubeで公開されています。

Binary Skin - Exploring Japan’s Virtual YouTuber phenomenon


VR/AR/MRに関するメディアであるMoguraVRの副編集長を務める永井良友氏はバーチャルYouTuberの特徴について、「キャラクターと人間のハイブリッドのような存在」という表現を用いて説明しています。


アバターはフィクションでありながらも、その中には人間の魂が入っており……


そういった中で誰かによって作られてコントロールされたキャラクターではなく、個々の人生を持ち、自分の価値観、人間関係を持っている点が特徴的だとのこと。「視聴者はバーチャルYouTuberたちの『生の人生』を追って楽しんでいるという背景がある」と、永井氏は指摘しました。


もともとバーチャルYouTuberの大半はアニメ調の美少女キャラクターが大半を占めていましたが……


バーチャルYouTuberの幅は年々拡大し、すでに美少女キャラクターだけがバーチャルYouTuberであるという考えは当てはまりません。


アバターを用いたバーチャルYouTuberは、その裏にある本人のパーソナルな情報がほとんどわかりません。


視聴者は「中の人」がわからないまま、コンテンツを享受しています。


アイドル的な捉え方をされることも多々あるバーチャルYouTuberですが……


最近ではそれだけではなく、「バーチャル〇〇」といった役割が多文化していると永井氏は語ります。


タレントとしてだけではなく、すでにいろいろな役割のバーチャルYouTuberが存在しているとのこと。


ムービー中では「バーチャルYouTuber四天王」としてキズナアイ輝夜月ミライアカリバーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん電脳少女シロを紹介。


バーチャルYouTuberはさまざまなコンテンツを提供し、時にはコラボムービーをアップするなどしていますが……


バーチャルYouTuberの数は急速に増大中。


そんなバーチャルYouTuber市場に詳しい人物として、ムービーでは永井氏にインタビューを行いました。バーチャルYouTuberには大きく分けて2Dと3Dの存在があり、2Dの場合はイラストを描き、そこにLive2DFaceRigといったトラッキングツールを組み合わせて配信を行います。


一方で3DのバーチャルYouTuberは、さまざまなモーションキャプチャーソフトを用いて3D動作をトラッキングして配信を行うとのこと。


GREE VR StudioでLabの研究所長を務める白井暁彦氏は「テクノロジーがみんなに届いている」とし、本来であればVRコンテンツを享受するために開発された技術が、逆にトラッカーとして人々によって利用されるようになった点が大きいと語ります。


バーチャルYouTuberの中には企業に所属している人も多い一方で……


個人で活動を行う人も多く存在します。永井氏は「インディーズと企業の両立が起こっている」としており、個人のバーチャルYouTuberでも高い企画力を持っている人は多く、多くの視聴者を引きつけていると語ります。


そこに企業からの資本投下や後押しがあるというのが、現在のバーチャルYouTuber市場の状況。


キズナアイを開発したActiv8で代表を務める大坂武史氏は、事業を立ち上げた当初も詳しい将来の見通しは立っていなかったと語ります。


そんな大坂氏は当初から一貫して変わらない点として、「それぞれの人生において夢中になれることで生きられる世の中にしたい」「希望を持って日々を生きるためにはどうしたらいいんだろう」というテーマを掲げていたとのこと。そこで大坂氏がたどり着いたのは、「生きる世界の選択肢を増やす」というもの。


「現実世界の状況や枠組みがどうしても変えられないものであっても、バーチャルの世界で新しく生きることができる世界を作りたい」という思いがあったと大坂氏は語りました。


白井氏は今以上に個人がアバターを持つことが当たり前になり、「自分が死んでも仏壇には自分のアバターがいる」というような状況が作り出せれば、もっと人生のクオリティが上がるのではないかと考えています。


記事作成時点ではバーチャルYouTuberの数は4000人とも5000人とも言われており、その第一人者として知られているのがキズナアイ。初期に投稿した「自己紹介」のムービーでは、「『バーチャルYouTuber』って響き、かっこよくないですか?」と発言しました。


「キズナアイさんが2016年に登場して『バーチャルYouTuber』という単語を初めて言ったのは大きかった」と永井氏は語り、キズナアイがバーチャルYouTuber発展の種をまいたとしています。


その後、2017年末にバーチャルYouTuberが脚光を集めだし、多くの人々がバーチャルYouTuberに注目するようになりました。


「アニメやマンガのファンであれば、誰でも好きなキャラクターが自分の目の前に現れたり、同じ世界線上に生きている感覚が得られたりすれば、夢のように感じられると思います」と大坂氏は語り、多くの人がキズナアイを見た時に自分と同じような感情を抱いたのではないかと考えています。


バーチャルYouTuberの活躍の場はYouTubeなどのインターネット上だけにとどまらず……


現実世界でもさまざまなイベントが催されて多くの人々が集まり、観客とリアルタイムでやり取りするなどの発展を見せています。


YouTuberのファンであるLOSERBAIT氏は、キズナアイはバーチャルな世界にいる存在でありながらバーチャルと人間との距離を縮めようとしている設定が気に入っているとのこと。


一方で、他のバーチャルYouTuberの中には自身が人間であることを自覚しているパターンもあり、その上でバーチャル環境を利用しようとする場合もあります。LOSERBAIT氏はバーチャルYouTuberにも「バーチャル存在としてのバーチャルYouTuber」と「人間としての存在を打ち出すバーチャルYouTuber」の2種類があると語りました。


白井氏は「キズナアイが本当にスーパーAIである」というバーチャルを信じることも可能であると話します。


ムービーではキズナアイ本人にもインタビューを実施。「キズナアイさんはご自身の人気急上昇の要因はどこにあると思いますか?」という質問に対し、「なるほどー。なかなか難しい質問ですねえ」と言い……



初めて見た人は自身のことをアニメ的な存在の延長だと思うだろうと語ります。一方でライブやCM出演など現実世界での活動を広げることで、驚きを提供できているから興味を持ち続けてもらえるのだろうと分析。「だから、これからもどんどん新しいことに挑戦したいし、みんなを驚かせていきたいなって思ってます!」と答えました。


LOSERBAIT氏は、「人々はキャラクターの裏にある本人ではなく、キャラクターそのものに興味を持っている」と指摘。


コンテンツ提供者本人の匿名性を守りつつさまざまな活動を行える点が、「バーチャルYouTuberのとてもいい点です」と語り、だからこそ多くの参入者が現れたのだとしています。


近年ではバーチャルYouTuberになるためのツールが多く登場し……


ある意味でラフにアバターを使ってバーチャルYouTuberになれると永井氏は話します。


白井氏は男性配信者の中にはボイスチェンジャーを使う人も多くいる一方で、男性の声をそのまま使っていても人気を博するバーチャルYouTuberも現れていると指摘。


キズナアイは現実の自分にコンプレックスがあって自信がなくても、アバターによって「かわいいワタシ・かっこいいオレ」になれると主張。


「そうしたらもっと自分のパーソナルな部分、個性をもっと引き出せると思いますし、見た目からの偏見をなくすことで才能の発見や新しいものが見えてくるのかなって思います」と語っています。今後もっとアバターが普及すれば、「人間の皆さんの可能性を引き出すツールになるのかなって思います」とインタビューに答えました。


大坂氏は顔は出したくないけどコンテンツは提供したいという人が今後バーチャルYouTuberに参入する可能性があるとし、「バーチャルタレント」だけでなく「バーチャルクリエイター」といった存在がもっと増えるのではないかと語ります。


「もしかすると、人間は見た目や声にだまされているだけで、人間の本質を実は見ていなかったのかもしれない」と白井氏は指摘。一旦性別・年齢・立場・見た目をバーチャルにすることで、その人の本質がより鮮明になるのかもしれないと話しました。


バーチャルYouTuberには大きな可能性が秘められていることが強く実感できるムービーとなっていました。

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in ネットサービス,   動画, Posted by log1h_ik

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