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AIが手がけたテレビのショッピング番組で、注文電話が27.6%増加

青汁で知られるキューサイと、NTTデータ、NTTデータ経営研究所は、テレビショッピング番組において、視聴者が商品に興味を持ち、注文の電話をかけるまでの反応を予測するAIモデル「nAomI」(ナオミ)を構築。2018年7月に「nAomI」を活用して制作した番組を放送したところ、視聴者からの入電件数が27.6%増加したと発表した。

視聴者が商品に興味を持ち、注文の電話をかけるまでの反応を予測するAIモデル「nAomI」(ナオミ)

nAomIを活用することで、視聴者に楽しい体験を提供、 商品の魅力を分かりやすく伝える番組制作が可能になるという。今後、キューサイの制作する各種の広告・情報コンテンツに導入を拡大、脳科学・人工知能技術活用による次世代マーケティングソリューションとしての精度・有効性の向上も並行して実施していく。

キューサイグループは、ヘルスケア商品やスキンケア商品などを事業展開している。以前から、番組放送前に視聴者の反応を分析し、反映する方法を模索していたが、精度・速度・コストの面から、実現が困難だったという。

一方で、NTTデータグループは、脳活動を計測して知覚内容を解読する「脳情報解読技術」を利用して2016年より広告評価サービスを開始。脳科学や機械学習分野の先端技術を取り入れながら、人間の情報処理プロセスの定量的理解とそのビジネス応用を進めていた。

そこで、キューサイとNTTデータグループが、互いの研究やノウハウを生かして、人工知能を活用した番組制作の最適化に向けて効果検証を行なう事となった。

キューサイが2012~2018年に放送してきた番組の映像と、それに対する入電件数を、機械学習技術でモデル化したAI予測モデル「nAomI」を構築した。なお、nAomIは、「Neural(脳神経の)- Artificial(人工の)optimal movie Integrator(最適な動画へと統合するもの)」を意味している。

番組の進行における紹介内容の順序などの“構成案”を、機械的に数千通り生成。nAomIに読み込んで評価させ、「最も入電件数が見込める」と予測した1素材を実際に放送。

その効果を検証する方法として、従来の制作手法で制作した2番組と、nAomIが制作した番組を、同時期・同放送局で放送。入電件数を比較した。具体的には、2018年7月に、全国14のローカルテレビ局で「ひざサポートコラーゲン」の紹介番組を放送。番組放送中~放送後の入電件数を検証した。

すると、nAomIを活用して制作・放送した番組の方が、従来の手法で作った番組よりも、2番組平均で27.6%の入電件数増を記録した。その一因として、「数千通りもの構成案を生成・評価することで、従来の方法では実現に至りづらい意外性の高い案を制作・放送できた可能性が挙げられる」という。

入電件数の比較グラフ