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「ひつじのショーン」などを手がけたアニメ制作会社が株式の75%を従業員に渡すと決定


イギリスのアニメ制作スタジオである「アードマン・アニメーションズ」は、「ウォレスとグルミット」「ひつじのショーン」といった作品を手掛けたことで有名であり、「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」では第78回アカデミー賞長編アニメ賞を受賞しました。そんなアードマン・アニメーションズが、「株式の75%を信託に入れ、従業員に渡す」という決定を下したと報じられています。

Wallace & Gromit producers hand stake in business to staff | Film | The Guardian
https://www.theguardian.com/film/2018/nov/10/wallace-gromit-producers-hand-stake-in-business-to-staff

Aardman Animation is Giving The Company to Their Employees | The Mary Sue
https://www.themarysue.com/aardman-shares-employees/

アードマン・アニメーションズの創業者であるピーター・ロード氏とデイヴィッド・スプロクストン氏は、まだ学生であったころにアードマン・アニメーションズを創業。BBCで放送されたアニメーション作品などを手がけていたアードマン・アニメーションズは、2000年に公開された長編ストップモーション・アニメーション映画「チキンラン」で高い評価を受けました。

現在では「ウォレスとグルミット」や「ひつじのショーン」など、アードマン・アニメーションズは世界的な人気を誇るコンテンツを持っています。関連企業であるアードマン・ホールディングスは、ひつじのショーンに関する日本やスウェーデンでのライセンス料から、2018年に300万ポンド(約44億円)の収入を得ているとのこと。

そんなアードマン・アニメーションズとアードマン・ホールディングスを他社に買収されることなく維持し続けるため、ロード氏とスプロクストン氏は「自社の株式を購入して信託に入れ、従業員の手に渡す」という計画を立てていました。そして長年にわたり資金をため続けた結果、ついにお金を借り入れることなく株式の75%を取得できる資金がたまったそうです。フリーランスを含めた180人ほどの従業員は株式の大部分を信託を通じて所有する形になり、1年のうち3カ月働いていた従業員は株式からのボーナスを受け取ることができる模様。


2人はアードマン・アニメーションズを設立してから多くの時間をアニメ制作と会社運営に費やしてきており、「もはやビジネスではなく、私たちの全てです」とロード氏は語っています。2人は今回の株式の買戻しを行った後も引退するつもりはないと述べ、今後もアードマン・アニメーションズで働くとしています。

ロード氏は「私たちにとってアードマン・アニメーションズが独立を保つことが強い願いでした。独立することで他の誰かの要求に合わせて作品を作ったり、自分たちの方針を決められてしまったりすることがなくなります」と語りました。ロード氏とスプロクストン氏は従業員自身が会社を保有することで、さらなる創造性を発揮して会社の未来に向かっていけると信じているとのこと。

また、会社を完全に自分たちで保有することで、勝手に他の会社に売却される危険性や財政上の負担を軽減する効果もあると見込まれています。「従業員は自分たちがアイデアを思いつく限り、会社及び自分の将来が安心だと確信できます。もし大手スタジオにアードマン・アニメーションズを売却してしまえば、それは単なるバランスシート上の資産になってしまいます」と、スプロクストン氏は語りました。


ロード氏は「私たちの願いは『イギリスのアニメーション映画』を作ることです。世界中の人々はアメリカの映画を享受していますが、それとは違うイギリスの言葉や文化、ユーモアのセンスを通して世界の市場に訴えかけていきます」と述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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