iPad Proレビュー:最後の良「タブレット」

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iPad Proレビュー:最後の良「タブレット」
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

2-in-1端末に、なれそうでなれなかった。

今年は2回開催されたApple秋のSpecial Event。2度目の開催の目玉となったのは、新型iPad Pro。前モデルから大きくアップデートしたフルスクリーンのiPad Proを「最後の良タブレット」と結論づけた米Gizmodoのレビューをどうぞ。


タブレットの時代は、終わろうとしています。いや、もう終わったのかも。Surface Proを筆頭に、タブレットとラップトップのいいとこ取りした2-in-1端末に業界&消費者の目は向いていますから。そんな中、タブレットを続行するApple。昨年3月にでた安価なiPad、そして10月に発表されたばかりのがっつりユーザー向けのiPad Pro。このiPad Pro、正直、最後の良タブレットになると考えています。

iPad Pro(2018年モデル)

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Image: Gizmodo US

これは何?:Appleが10月末に発表、今月7日に発売された最新型iPad Pro。iPad史上最高に生産性に優れたマシン

価格:11インチが8万9800円から、12.9インチが11万1800円から

好きなところ:バッテリー保ちがいい。美ディスプレイ

好きじゃないところ:Smart Keyboardがダメダメ

新iPad Proは、11インチと12.9インチの2サイズ。大きさと約2万円の価格差を除けば、この2モデルはほぼ同じ。どちらも12MPカメラ、フロントにはセルフィーとFace ID用にTrue Depth搭載。どちらもA12X Bionicチップ。どちらも使ってみたところ、個人的には11インチのほうが好き。タブレットとして、このサイズのほうが手に馴染みます。が、イラストなど絵をガンガン描くタイプの人なら、12.9インチがいいかも。

外観デザイン

中身のスペックはあとにして、まずは一新されたデザインから。前モデルの後任というよりは、他社2-in-1製品へのAppleなりのアンサーという印象を受けます。その理由は、iPadらしい柔らかさ=丸みがなくなり、カクっとしてるから。ちょっとSurfaceへの対抗心を感じるから。四隅は角丸なんだけど、どこか強め。子ども向けよりもビジネス向け。そんなイメージの外観デザインです。写真よりも実物を見ると、あーなるほどこれは強めだわって感じますよ。

とはいえ、まだ残っている丸みはあるわけで。ディスプレイとベゼルの角はカーブがついています。これによって、実際よりディスプレイが大きく、開放的な印象になります。使う前はスリムなベゼルに対する持ちにくさを疑っていましたが、それもなし。賢い新iPad Proは、端末を持つために親指がディスプレイに当たっているのと、ズームしようとして親指をディスプレイに当てているという違いを、まるで理解しているかのようで、ミス操作は起きません。

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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US


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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US


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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US


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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US


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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US


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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US


スペック

11インチモデル、ゲーム(Stardew Valley)も、ウェブ観覧(ChromeとSafari)も、メッセージもSlackも使って、余裕で12時間超使用OK。たとえ充電が必要になっても楽なもんです。ラップトップで使っているUSB-Cを使えば、30分から40分で10%から100%に。12.9インチモデルは、ディスプレイが大きいこともあり、YouTubeストリーミングし続けた結果、12時間37分で充電切れ。Qualcomm(クアルコム)のCPUを搭載したSamsung Galaxy Book 2のバッテリー持ちよりは1時間ほど短いものの、Intel(インテル)チップ搭載のWindows/macOSラップトップよりは格段に保ちが長いです。

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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

バッテリー長持ちの理由は、AppleがiPad Proのためにデザインした、A12Xプロセッサ。スピーディーな動きでバッテリーを食いません。が、Appleいわく、A12XはMacBook AirやSurface ProなどのCPUと同レベルの速さとのことです。

しかし今回は、比較の検証まではできず。というのも、iPad ProはiOSなので、BlenderやAdobe Premiere、Handbrakeとか、それ系のアプリがないのです。CPUテストするアプリが使えれば話は早いんですけどね。

iPad Proは速いです。ただし、感覚的なことでいうと、個人的な使用方法(ゲーム、漫画読む、映画見る)では、2年間使っている初代iPad Proと比べて特に速いとは感じませんでした。明らかにパフォーマンス向上を実感したのはWi-Fi。初代iPadではシグナルがつかめない場所でも、新iPadはしっかり接続されました。

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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

ベンチマークで見ると、Geekbench 4でのiPad Proは、マルチコア・スコアは18,039で、ゲーミングラップトップのRazer Blade 6コアIntel Core i7-8750H(第8世代)と近い結果です。これはかなり速い、今年のトップクラス。

一方で、WebXPRT 2015の結果ではスコア381。Razer Bladeが492、最新のMacBook Proが531なので、えらく下回っています。それどころか、381点では、電子インクディスプレイとデュアルコアIntel Core i5-7Y54搭載のLenovo(レノボ)のYoga Book C930と同レベル。

まぁ、結局、ベンチマークはプロセッサにとってのゲームみたいなものですから。このゲームで出た結果が、必ずしもリアルな使用状況に反映されるとは限らないわけで。

新iPad Proは、タブレットという名の2-in-1端末?

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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

ただ、ベンチマークを踏まえて感じたのは、やっぱりiPad Proは、2-in-1端末に限りなく近いということ。ちなみに、2-in-1端末と呼ぶには、ラップトップ並みにガッツリ使える必要があります。タブレットはゲームやら動画で遊び、2-in-1は仕事って感じ。

Appleは、iPad Proを生産性の高いタブレットという位置付けにしてますが、もう、2-in-1って言ってほしいくらい。アクセサリーを接続するSmart Connectorが背面に移り、Smart Keyboardは折り紙のセンスがなくても、パタッと広げられますし。

いや、やっぱり2-in-1とは呼べません。

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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US


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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US


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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US


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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US


しかし、2-in-1と呼びたくなる心をぐっと抑える最大の残念ポイントが、Smart Keyboard自体。Surfaceの初代キーボードよりかはマシで、キー叩いた満足感はあるものの、キーのスペーシングが変&スペースバーがわかりにくい。ゆえに、タイプしにくい&ミス連発。iPad Proが非常に洗練されているだけに、Smart Keyboardのアラがとても目立つ。11インチモデルが180ドル(1万9800円)、12.9インチモデルが200ドル(2万2800円)もするのにコレでは腹がたつ! 市場にある他のどのキーボードよりもひどくて、Smart Keyboardに関してはAppleに恥を知れ!と言いたいですね。

iPad Proが、2-in-1ではなくタブレットである最たる理由はSmart Keyboard。そして、その次はソフトウェア。iOSはずいぶんと進化しました。生産的に仕事ができるという点でも進化してきました。それでもマウスはないので、ラップトップで仕事するより動きに無駄がでてしまいます。たとえば、このレビュー記事もiPad Proで書いたのですが、指でディスプレイタップではカーソルが文章の置きたい場所にうまくおけず、結果、Smart Keyboardの矢印でチマチマと動かすことに。

でも、Apple Pencilがあれば、より簡単に操作できます。iPad Proは、Apple Pencilとコンボで使うことを想定して作られており、磁石でペンがタブレットにくっつく(同時に充電もできる)のはとてもうれしい。ただ、ペンは130ドル(1万4500円)。てことは、iPad Proの生産性を高め、THE・2-in-1端末にするには、Smart KeboardとApple Pencilの代金310ドル(3万4300円)が追加必要になるわけです。

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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

まとめ

iPadは、アクセサリを追加さえすれば生産性の高い端末です。でも、やっぱりタブレットであり、2-in-1端末にはなれません。すでにメインとなるパソコンがあり、2台目マシンとして欲しい人は買い。初代iPad Proユーザーで、買い替えを検討している人も買い。ただ、2-in-1感覚でメイン端末として考えているならば、おすすめはしません。メイン端末になれるほど、仕事がガッツリできないですから。

メモ

・バッテリー保ち最高。
・体感でいうとパフォーマンススピード速いかな?ってくらいだけど、WiFiパフォーマンスが実感できるほどアップグレードしている。
・生産性という点では、iOSがまだ足かせになっている。
・高い上にダメダメなSmart Keyboard Folioですべて台無し。

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