戦いは始まったばかり...
誰が言いはじめたのか、「フルサイズミラーレスカメラ戦国時代」という言葉を聞くようになりました。これまでソニーの一強だったフルサイズミラーレスカメラというジャンルに、カメラメーカー二大巨塔のニコンとキヤノンがついに参入、これからバッチバチの戦いになりそうなんです。
かくいう僕は富士フイルムユーザーで、蚊帳の外にいます。でもときどき思うんです。空から50万円が降ってきたとして、フルサイズミラーレスを1台買わないといけないとしたら、どれにしよう...?
各社の既存ユーザなら、レンズ資産をもとにそれを活かせるカメラを選べばいいのですが...自分、キヤノン・ニコン・ソニーのレンズは1本も持っていないもので。とてもプレーンな気持ちで選ぶことができるんです。
ということで、この記事では価格的にライバルになりそうなキヤノンの「EOS R」、ニコンの「Z6」、ソニーの「α7 III」のきになる仕様を比べてみました。スペックだけをみて「どれが1番いいカメラか」なんて一口では言えません。でも同じ価格帯のカメラを比べることは、自分がカメラに何を求めているのかを考えるいいきっかけになりそう。
キヤノン EOS R
価格: 25万6500円(キヤノンオンラインショップ)
発売日: 2018年10月25日
ニコン Z6
価格: 27万2700円(ニコンダイレクト)
発売日: 2018年11月23日
ソニー α7 III
価格: 24万8270円(ソニーストア)
発売日: 2018年3月23日
画素数
EOS R | Z6 | α7 III |
---|---|---|
3030万有効画素 | 2450万有効画素 |
画素数が多いからといって画質がいいとは限らないのに、なぜだか最初に自慢したくなる有効画素数。高画素だと多少クロップしても使えるのがうれしかったりします。画素数がいちばん多いのはEOS Rで3030万有効画素。次いでSony α7 IIIが2420万有効画素、Z6は2450万有効画素です。なお、ニコン・ソニーにはそれぞれZ7とα7R IIIという上位機種があり、どちらも4000万画素台。これらは高画素機としてZ6・α7 IIIとは住み分けがされています。
連写
EOS R | Z6 | α7 III |
---|---|---|
サーボAF:5コマ/秒 | AF/AE追従:5.5コマ/秒 | AF/AE追従:10コマ/秒 |
連写の性能はα7 IIIがよさそう。α7 IIIの10コマ/秒に対して、EOS Rは5コマ/秒、Z6は5.5コマ/秒と半分程度の性能(いずれもAF/AE追従時)。動きモノを撮らないかぎりは連写性能はそこまで重要ではない気がするのですが、それにしてもエントリーモデルのKiss M(7.4コマ/秒、サーボAF時)にも満たないEOS Rはなんだか損した気持ちになるかも。
測距点の数
EOS R | Z6 | α7 III |
---|---|---|
5655点 | 273点 | 693点 |
写真はピントが合っていてナンボ。オートフォーカスにまつわる機能を見ていきましょう。ファインダーやモニター内でフォーカス位置を決める四角いカーソル、測距点が多いほど細かくピントを合わせる場所を選択できます。
EOS Rの最大5655ポジションが、一桁多いですね...こんなに多いとどうやって選択すればいいのか、逆に不安です。
タッチフォーカス
EOS R | Z6 | α7 III |
---|---|---|
あり | あり (ファインダーを覗きながらは不可) | あり |
最近のカメラは軒並みタッチディスプレイ化していて便利ですが、よく使うのがこの機能。スクリーンのタップした場所にフォーカスポイントを設定できるので、EOS Rのように測距点が多くても一発で位置を決められます。EOS R、α7 IIIではファインダーを覗いたままモニターをタッチ&ドラッグするとフォーカスポイントを移動できるのですが、どうやらZ6ではファインダーを覗いた状態ではタッチフォーカスが効かないみたい。これはせっかくのタッチディスプレイがもったいなく感じちゃいますね。
ジョイスティック
EOS R | Z6 | α7 III |
---|---|---|
なし | あり | あり |
中級機以上にはついていることが多いジョイスティック。これをグリグリしてフォーカスポイントを動かすのが定番の操作方法です。ところがEOS Rにはこれがないんですよ。代わりにタッチフォーカスだけで乗り切らねばならず、辛い人には辛い仕様。乗り切れるかどうかはタッチフォーカスの信頼度にかかってるけど、こればっかりは実機をじっくり触らないとなんとも言えません。
瞳AF
EOS R | Z6 | α7 III |
---|---|---|
あり | なし | あり |
人を撮るときは目にピントを合わせましょう。って言うのは簡単だけど、やってみると難しいしめんどくさいんですよね。瞳AFはその名のとおり、瞳を検出して自動でそこにピントを合わせてくれます。こちら、EOS Rとα7 IIIにはついていますが、Z6には非搭載です。もしまったく人物を撮らないなら発動すらしない機能ですが、いつか撮るかもしれないしなぁ、と考えてしまうのが僕たち。あるに越したことはない。
測距輝度範囲
EOS R | Z6 | α7 III |
---|---|---|
EV-6~18 | ローライトAF時:EV-4~19 | EV-3~20 |
なんかマニアックな項目が出てきましたが、オートフォーカスができる明るさの範囲のことです。EOS Rがこれに関しては驚きのスペック。EOS Rは最低測距輝度がEV-6。Z6のEV-4とくらべて2段分も暗いところでオートフォーカスできるんです。夜間や暗い室内での撮影で力を発揮しますね。
ボディ内手ぶれ補正
EOS R | Z6 | α7 III |
---|---|---|
動画のみ | あり | あり |
ボディ内手ぶれ補正はこんな感じ。Z6とα7 IIIは5段分のボディ内手ブレ補正を搭載していますが、EOS Rはスチルの場合レンズ側の補正のみ。前から言われてはいましたが、改めてこれは物足りないと感じます。
ファインダー
EOS R | Z6 | α7 III |
---|---|---|
有機EL 0.5型 369万ドット 視野率100% 倍率0.76倍 | 有機EL 0.5型 369万ドット 視野率100% 倍率0.8倍 | 有機EL 0.5型 235万ドット 視野率100% 倍率0.78倍 |
もしカメラを買ったら毎日覗くことになるファインダー。キレイで大きい方がいいですよねぇ。意外にもベテランのα7 IIIは劣勢。他2機種よりドットが一回り少ない235万ドット。EOS RとZ6は369万ドットのOLEDを搭載し、比較的似通ったスペックでした。
撮影枚数
EOS R | Z6 | α7 III |
---|---|---|
約370コマ | モニター時: 約380コマ ファインダー時: 約310コマ | モニター時: 約710コマ ファインダー時: 約610コマ |
1つのバッテリーで何枚撮影できるか、持久力の比較です。撮影枚数はα7 IIIの710コマが他の2機種を突き放しています。この辺りは仕事で使えるかどうか、に関わってきますので、さすが業界先行者って感じですね。
カードスロット
EOS R | Z6 | α7 III |
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シングルスロット | シングルスロット | デュアルスロット |
デュアルカードスロットを設けているのもα7 IIIだけ。2枚のカードに同じ内容を書き込んでバックアップとして使うことができるんですね。仕事で使う人にはあるに越したことはない機能ですので、EOS RとZ6にがっかりした人は多いはず。これが原因で購入を見送るというキヤノン・ニコンユーザの声もよく聞きます...
個人的な印象としては「ソニー強いなぁ」の一言です。これまで9台もフルサイズミラーレスを出してきただけあって、撮影枚数や連写などの基本スペックの信頼度が違います。ただそれを差しおいてもキヤノン・ニコンにはレンズ資産という大きな強みがありますし、新マウント対応のレンズもこれからたくさん出てくることでしょう。
僕がもし買うとしたら...Z6ですかね。スペックだけで見るとα7 IIIなのですが、見た目にワクワクするのはZなんだよなぁ。
このように、スペック上の数値だけで評価できないカメラ、難しいですね〜。撮っていて「楽しい」ことが最高の「スペック」なのかもしれません。最後はやっぱり手にとって選びたいですね。