2015年3月30日公開記事を、編集・修正して再掲載します。

倹約とは、単にお金を節約するという意味ではありません。倹約とはお金を賢く使うことです。今安い買い物をしても、長い目で見ればむしろお金がかかってしまうことがあります。

逆に、多少高価なものを買っても、長く使えれば結果的にお金の節約になります。

本当の倹約とは?

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Image:Tax Credits/Flickr

倹約とは(生産性と同じく)、ただ質素にするとか、とにかく節約するということではありません。

賢い買い物をして、自分にとって重要なものにお金を回せるようにすることです。目標は、いま賢い決断をして、あなたの目標のために(あるいは緊急時のために)お金を貯めることです。

つまりは、長期的な視点で考えるということです。とはいえ、それほど簡単ではありません。

ともすると、とにかく一番安いものを買えばいいという発想に陥りがちになります。頭の中で「節約、節約」とばかり唱えているとそうなるでしょう。

悪くすると、いま安く買えたとしても、あとからメンテナンスや維持費にお金がかかったり、すぐに壊れてしまって何度も安い物を買い直す羽目になります。

本当に節約したいなら、品質に投資すべきなのです。つまり、今、少しお金を多く使っても、長い目で見れば節約になるケースがたくさんあるということです。

明日のために今日お金を使うべき時とは?

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Image:Darron Birgenheier/Flickr

買い物をするとき、検討すべき2つの大きな要素があります。

ジーンズを買うときも、家を買う時もそれは同じです。2つの要素とは、「値段」と「品質」です。ものを買う時、ついどちらかを軽視しがちになります。あまり重要でないもの(例えば、衣類やクリーニング用品)の場合は、値段だけで買うものを決めてしまいがちです。

逆に、めったに買わないもの(家や車)の場合は、品質だけを気にして、値段を無視してしまう傾向があります。ピーター・アンダーセン氏が言うとおり、多くの人は値段と品質の間を行ったり来たりしています。

私は、重要でないものや、値段で質がそれほど変わらないものを買う時には、とにかく安いものを買います。逆に、製品によって品質が大きく違うものを買う時は、質の高いものを選びます。

安いものを買うことが倹約だとは思いません。安いものでも、すぐダメになって買い直しばかりをしていれば、結局はお金がかかってしまいます。

よく考える必要があります。たとえば、消耗品(クリーニング用品や洗面用品)なら安いものでいいと思うかもしれません。

しかし、少し高価な商品と同じ結果を出すために、安い商品を大量に使うことになるなら、結局はお金が余計にかかっているわけです。以下、もっとわかりやすい例を紹介しておきます。

1. 車、自転車などの交通手段

車や自転車などの移動手段に投資する場合、節約と称して安いものを買うと大抵は失敗します。全体の維持費(メンテナンス、修理、燃料、車庫、駐車代金)を考慮に入れていないからです。

安い車を買って、あとから修理やメンテナンスにお金をつぎこむ羽目になるのは珍しいことではありません。もちろん、高価なものが必ずしも「より良い」とは限りません。

ですので、あとから発生しそうな費用も考慮した上で、自分にとって重要なポイント(長距離走行時の燃費や、安全対策など)にお金をかけるようにしてください。

2. 家

家を買うときは些細なところでケチってはいけません。

小さな違いで、将来のメンテナンスや修理代などの維持費が大きく変わってくる場合があります。同様に、広さやロケーション、近隣の様子など、あとから簡単には変えられない部分もよく検討してください。こうしたところを妥協すれば、いずれは不満を抱えることになります。

これは賃貸も同じです。予算を度外視はできませんが、例えば、今、狭い家を買ってしまうと、子どもたちが成長したときに、また同じ地点に逆戻りとなります(家を買い直す)。

そのタイミングは思ったより早く来るでしょう。同様に、なぜその物件が安いのかよく調べずに買ってしまうと、将来驚くほどお金がかかったりします。

家やアパートを買うときは、不動産査定をしてもらい、自分でも調査し、できるかぎりの情報を集めてください。

3. かばん、財布、ハンドバッグ、スーツケースなどの荷物入れ

財布やかばんなどの荷物入れは、あなたが毎日お世話になり、信頼を預けるものです。

もちろん、こうした製品はある意味コモディティなのであって、新しいかばんや財布をいつでも手にすることができます。とはいえ、品質の高いものを買うべき理由は、信頼性だけではありません。

良いものはそれだけ長持ちするので、長い目で見ればお金の節約にもなるのです。以前、米LHで「ベストな財布5選」や「ノートパソコン収納かばんベスト5」を紹介したとき、多くのユーザーが、安価なものに魅力を感じるとコメントしていました。

しかし、品質や職人の技に投資するほうが、結局は長く使うことができます。200ドルのかばんが15年使えて、75ドルのかばんが2年でダメになるなら、丈夫で長持ち、かつ、毎日安心して使える高品質のものを買うのが理にかなっています。

品質の高いスーツケースと安物のスーツケースはぜんぜん別物です。同じく、合皮の財布とデパートで売っている手作りの財布では、製品寿命がまったく異なります。

4. 家電製品、省エネ製品

家電などは、少し投資して省エネや信頼性の高い製品を買うほうが、長期的に見て節約になります。いくら使うかを決めるまえに、少し計算をしてみましょう。

その機器をどれくらいの長く使う予定かを考え、運用費用を算出します。長く使うつもりなら、多少高価な(でも省エネの)製品を買ったほうが、結果的にはお金の節約になります。

これが賢い買い物というものです。いつか売り払うつもりでも、良いものを買えばその分高く売れます。保証やメンテナンスのコストも計算に入れてください。

使用予定期間の間、保証でカバーされていれば言うことはありません。省エネ電球や充電可能な電池、節電タップなどはもっとわかりやすい例です。

節電効果や買い替えコストなどを考えれば、投資分はすぐに回収できます。5〜10年もつLED電球は、寿命2〜5年の蛍光ランプよりも明らかにコスト効率が良いと言えます。電気代の節約分を入れなくても十分得をするでしょう。

5. 家具

以前、安い家具を買うのがいかに良くないかをお話しました。

多くの場合、すぐにバラバラになってしまったり、修理や修繕に余計お金がかかったりします。ポイントは、今の場所にどれくらい長く住むか、その家具をどれくらい長く使うのかを考えて買うものを決めることです。

安いソファを買って、毎晩何時間もそこで過ごすのだとしたら、惨めな気持になるでしょう。また、ベッドやマットレスにお金をケチれば、結果は言うまでもありません。

もっとも、あなたが定期的に引っ越しをするタイプなら、耐久性の低い、すぐ替えがきく家具のほうが、大きくて長持ちするものよりも向いているかもしれません。

それでも、大抵の場合は、長く使えて、流行に左右されず、引っ越しにも耐えうる頑丈な家具を買うほうが、移動の度に家具を買い直したり、毎回デスクが壊れるのを見るよりもずっとよい選択と言えるでしょう。

上記のリストがすべてではありません。ライフスタイルによって、リストはいくらでも長くなります。例えば、コンピューターを自作するのが好きな人は、ハイエンドで「Future Proof(将来に対して耐性がある)」のものを作れば、短期間のうちにアップグレードしたり新たなコンピューターを作る必要もなくなります。

あるいは、最先端のテクノロジーが好きで、予算も許すなら、こまめに買い換えるほうが、新しくて、省エネで、サポートも有効期間内である製品を常に使えることになるので、むしろいいかもしれません。

コストと品質(あるいは製品寿命)の間で、自分なりの最適解を見つけてください。

コモディティ文化を回避する

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Image: Simon Carr/Flickr

私たちは、あらゆるものが簡単に買われ、捨てられ、また新しいものが買われる世界に生きています。いつのまにか、すべてがコモディティに過ぎないと感じるようになります。

なにしろ、欲しいもの、必要なものがいつでも準備されていて、お金さえあれば簡単に買えるのですから。しかし、倹約とはそうしたマインドセットに抗うことでもあります。

次の旅行のために、スーツケースを「消耗」して、新しいものを買えるのだとしても、そう「しなければならない」わけではありません。

今持っているものがまだ使えるならなおさらです。新しいものを買うとしても、倹約家ならこの先何十回も使えるものを買うでしょう。予算が許す限り、長い目で見た買いものをしてください。

マインドセットを変えるのはそれほど難しくはありません。しかし、それなりの調査は必要です。買いものをするのは、「宿題」をきちんと済ませてからにしましょう。

ただ製品レビューを読むだけでなく、どんなレビューが信頼できるかも知っておかなければなりません。品質の良いものを安く買う方法も抑えておきましょう。そうすれば、長持ちして、省エネで、結果的に節約になる買いものをすることができます。ブランド名に踊らされることもなくなるでしょう。

質の高い製品を作り、倹約のマインドセットをサポートしてくれる企業を見つけたら、彼らに投資しましょう。とはいえ、それほど簡単ではないかもしれません。

品質へのこだわりを謳う企業はたくさんありますが、値段が少し高いという程度の意味しかない場合もあります。とはいえ、本物の企業ももちろんあります。

例えば、Saddleback Leather(米LHお気に入りの財布を作るアクセサリーメーカー)のスローガンはこうです。「あなたが死んだらきっと取り合いになる」 品質第一を謳う企業は、そのことを誇りをもって話し、顧客たちもそれをサポートすることに誇りを持っています。

そうしたファン・コミュニティを探せば、きっと良い製品に出会えることでしょう。

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Alan Henry - Lifehacker US[原文