子どもの前で過剰にケンカをしてはいけない(英文)とよく言われます。彼らを感情的に苦しめるばかりか、将来の感情処理の仕方や人間関係の築き方に影響を及ぼす(英文)可能性があるためです。

でも、ワシントン州立大学が先ごろジャーナル『Emotion』に発表した論文によると、子どもの前でネガティブな感情のすべてを隠す必要はないようです。

親だって怒っていい。ただし問題解決まで伝えること

ワシントン州立大学バンクーバー校のSara Waters助教は、109人の母親・父親を対象に、親の身にストレス性の高い出来事が起きたあとの子どもとのやり取りについて調査しました。

親たちは、人前でスピーチをしてダメ出しを受けるという最悪なタスクを終えたあと、子どもとレゴで遊ぶように言われます。その際、一部の親は感情を抑えるように、一部の親は自然に接するように指示を受けます。

親子ともに、さまざまなセンサーを付けてもらい、心拍数やストレスレベルを測定しました。それらのデータを組み合わせた結果、こんなことがわかりました。

ストレスを抑えようとした親は、レゴ遊びに積極的になれず、子どもにあまり指示を出しませんでした。子ども側も反応が悪く、親に対してポジティブになれませんでした。親から子へと、感情が伝わるようなのです」

また、子どもたちは父親の抑制された感情よりも母親のそれに敏感でした。

理由は明らかにされていませんが、父親は普段から感情を抑えている分、子どもへの影響が低かったのではないかとWater助教は考察しています。

では、ネガティブな感情を抱えた親は、わが子にどう接すればいいのでしょうか。

Water助教は、健全なやりかたで、わが子にも感情をさらけ出すべきだといいます。

「子どもたちは、微妙な感情の変化を察知します。ネガティブな出来事が起きたことを感じ取っているのに、親がいつも通りにふるまって何も言わずにいると、彼らは混乱します。

それでは、矛盾する2つのメッセージを送っていることになります」

Water助教によると、子どもの前では感情を抑えるのではなく、健全な葛藤の始まりから解消までのすべてを見せるのがベストなのだそう。

始まりから終わりまで、一部始終を見せてください。そのプロセスを知ることで、彼らも自分の感情を調整し、問題を解決する方法を学んでいきます。そうすることで、彼らは『問題は解決できるのだ』と知るでしょう。

親だって怒っていい。でも、その感情を隠すのではなく、どう折り合いをつけていくか、わが子に話してあげてください」

言い換えると、怒っていたり、悲しかったり、不満だったりするときは、レゴを作り始める前にその感情を伝えるのがよさそうです。

ママ(パパ)は人前で話すのが苦手なんだ。しかも、ある人からのダメ出しされたのがショックでね……

もうちょっとスピーチの練習しないとだねぇ。うまくなったら、次は自信をもってしゃべれるかな。

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Meghan Moravcik Walbert – Lifehacker US[原文