「共働きで1人分の収入を丸ごと貯めている」「年200万円ベースで貯めている」といった話を聞くと、かなりの高収入世帯ではないかと思われるかもしれません。

特に「1000万円を6、7年で貯めている」と聞いたら、「自分には無理」と考える人も多いでしょう。

実は、こんなエピソードを持っている人たちは、いずれも年収300~500万円台の世帯。決して裕福というわけではないのです。

高収入でなくとも、めちゃ貯めることができる人がいる

こうした世帯を中心に取材活動を行っている、マネーライター・FPの大上ミカさんによれば、上記のレベルの貯蓄を続けている「めちゃ貯まる人」は結構いるそうです。しかも、「苦しい節約を頑張っている人は1人もいません」とも。

大上さんは、そんなめちゃ貯まる人に共通するノウハウを、著書の『収入が増えなくても貯蓄が2倍になる方法』(リベラル社)にまとめています。

本書は、なにか難しい投資の隠しワザを教えるものでなく、誰でもマネできるものばかり。

最初に第1章の「めちゃ貯まるマインド」を会得する必要がありますが、それは本書をじっくりお読みいただくとして、ここではそれ以外の章から幾つかのコツや考え方を紹介します。

1. 何にいくらかかっているか、スラスラ言える

大上さんが取材で訪ねた「1000万円を貯めた人」たちはみな、家計簿や通帳を見なくとも、生活費や貯蓄額をそらんじることができたそうです。

確かに、自分の支出入も貯蓄額も把握できていないと、予算も立てられなければ、どの支出を削るべきかもわかりません。例えば、「給与明細を見ていない」とか「気がついたら財布のお金がなくなっている」という人は、「めちゃ貯まる」準備の整っていない人だそうです。

まずは、自分のお金の現状把握をしっかり行いましょう。予算管理と貯蓄はそれからです。

2. 年間でかかる出費(特別出費)の管理を怠らない

家計管理では、1カ月単位の支出入の把握はもちろん大事。そして、その次に着手すべきは「年間でかかる出費」(特別出費)だそうです。

特別出費には、固定資産税や自動車税といった年に1回払う税や、帰省代・冠婚葬祭費のような年に数回発生するイベントの費用、さらに衣服費など毎月はかからないけれど、変動的にはかかってくる出費があります。

大上さんは、「特別出費は金額が大きいものが多いので、貯蓄への影響は大。毎月どんなに貯蓄を頑張っても、ここの見通しが甘いと崩れ、年間では結局赤字で終わってしまうこともあります」と言います。

裏返せば、特別出費をおさえておけば確実に貯蓄に回せる部分も明確になり、堅実なプランが立てられるというわけ。

3. 予算立ては、年1回

めちゃ貯まる人に共通するのが、予算は「年間で考える」という点。

大上さんは、年間で予算を立てるメリットとして、「毎月ちまちま節約するより、年間で大きく削れる出費を探すほうが効率的」「行き当たりばったりなお金の使い方を減らせる」など挙げています。

具体的には、月々の生活費と年間の特別出費の内訳を調べ、年間の生活コストとして見ていきます。

予算は、全体のバランスを見ながら調整するのがポイント」とのことで、手っ取り早く削れる費目だけとか、何もかも削るという考え方はNG。

予算全体をながめて、「夏の旅行だけは削れないから、毎月の変動費をもう少し見直そう」というふうに。

年間で見て、予算をかけるところ、削るところを見極めれば、「それぞれの予算をいくらにするかも、具体的に判断」でき、「限りあるお金を上手に配分できる」ようになります。

4. お金の移動ストレスを減らす

予算管理や銀行間のお金の移動のストレスは少なく、お金を明快に管理しているのも、めちゃ貯まる人の共通点。

「ラクに管理できる環境を整えることで、お金の使い方を考える余裕を常に保て、ムダの削減に集中できる」と、大上さんはそのメリットを説明します。

<目的別に銀行口座を3つ・クレジットカードは2枚用意する>

お金移動のストレスを減らす一手段として大上さんは、目的別に銀行口座を作るというやり方を紹介しています。

口座は、生活費用(毎月の固定費・変動費)、年間の変動費用、年間の固定費用の3つ。

さらには、クレジットカードも、生活費用と年間の変動費用とで2枚使い分けます。

予算と口座・クレジットカードを連動させることで、「頭の中のお金の流れが実際の流れと同じになり、わかりやすくなります。また、口座の残高=予算の残金になるので、管理もラクです」と大上さんは解説。

確かに、お金の把握がごっちゃにならなければ、家計管理に対する面倒な気持ちもなくなりそうです。


上で記しためちゃ貯まる人の家計管理のコツは、本書にあるもののほんの一部です。

「来年こそは貯蓄に成功したい!」と思ったら、本書を読んでできることから実践してみるとよいでしょう。

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Source: 『収入が増えなくても貯蓄が2倍になる方法

Image: Gettyimages