映画『インターステラー』はもうSFではないかもしれません。
「人間が作った物体が、史上2度目に星間空間に到達した」と科学者らが報告しています。NASAは現地時刻の12月10日午前11時、ワシントンにあるアメリカ地球物理学連合(AGU)の会議で記者会見を開き、そこで詳細を発表しました。その映像は、NASAのサイトで視聴することができます。
ではここで、1977年に打ち上げられたボイジャー2号の歴史をサっとおさらいしてみましょう。
NASAは1977年に、木星、土星、そしてそれ以上先の空間を探索するべく、ボイジャー2号を先に、次いで1号を打ち上げました。両探査機は、宇宙に浮かぶ惑星の重要な情報を数多く送ってくれましたが、以降は宇宙をさらに、どこまで遠くに飛んでいけるのか? というミッションに挑戦していきます。
太陽の繭を抜けて星間空間へ
2013年、ボイジャー1号が先に星間空間に入りました。そしてここ数カ月は、2号も近付いていることがわかっていました。
それからやっと10月、探査機は従来より多くの宇宙線が測定機器にぶつかってくるのを測定しました。というのも、太陽が生む荷電粒子の泡「太陽圏」、または粒子と磁場が太陽の影響によって変化する領域にいるあいだは、探査機を粒子の衝突から護ってくれているのです。なので太陽風の届く境界面ヘリオポーズを過ぎる際は、宇宙船の増加という予兆があるはず。しかし10月、ボイジャー計画の科学者エド・ストーンは「まだそこに到達していない」と発言したのでした。
11月に転機が訪れた
こちらのGIF動画は、ボイジャー2号に当たる、宇宙線と太陽圏の粒子のグラフです。2018年11月を少し過ぎた辺りで、太陽圏の粒子がガクっと減り宇宙線がグワっと増えていることが見て取れます。
ということでグラフを見て分かる通り、11月5日で探査機は太陽圏を脱出しました。プレスリリースによると、探査機でのプラズマ科学実験がそれを証明したとあります。
ボイジャー2号は現在、太陽から約177億kmの地点を飛行しており、時速5万5025kmで我々から遠ざかっています。これは年間にすると約4億6671万kmという途方もない距離になりますが、ボイジャーたちはまだ太陽系の中にいるのだそうです。太陽系を球殻状に取り巻いており、太陽の重力の影響下にある、仮想的な天体群「オールトの雲」にはいまだに突入していないんですね。2号機がそこに行くにはあと300年かかるだけでなく、そこを抜けるにはあと3万年がかかるそう。
まだ偉業の第一歩
NASAのジェット推進研究所でボイジャーのプロジェクト・マネージャーを務める、スザンヌ・ドッド女史は、リリースでこうコメントしています。
両方の探査機が、この偉業を成し遂げるべく充分に長い期間稼働してくれたことを、とても嬉しく思います。私たちはこれをずっと待っていました。これからは、ヘリオポーズの外で何を得られるのか、楽しみにしています
流れ星にでもぶつからない限り、ボイジャーはずーっと航行を続けるわけですが、その先に何があるのか、知ることができるのは私たちの子孫になっちゃいますね。