生まれながらの怪物も、恐ろしいマインドを持った人間も多種多様。
映画の中の「モンスター」というと、古典的なフランケンシュタインや半魚人、キングコングにゴジラのような巨大怪獣までさまざまです。しかし2018年の映画に登場したモンスターたちは、能力や内に秘めた性格で勝負する者たちが印象的だったようです。
ある者は愛を教えてくれ、あるモノは忍耐を、そしてまた別の者は、全宇宙の生命半分を粛清したりもしました。io9が5名のモンスターを選出したので見てみるとしましょう。一応ネタバレ注意でどうぞ。
デヴィッド・ハーバーの『ヘルボーイ』
ギレルモ・デル・トロ監督ではなく、ニール・マーシャル監督に交代した、リブート版『ヘルボーイ』。この映画は2019年公開ですが、主演のデヴィッド・ハーバーはNetflixドラマ『ストレンジャー・シングス』で欠かせない存在の俳優です。
ヘルボーイは悪魔なのに、人類を救うヒーローとして活躍します。リブート版では不思議な腹筋をしていますが、シェークスピアのオマージュで、自己同一性の危機に直面する姿が描かれるそうです。公開が非常に楽しみな作品です。
『ブラックパンサー』のエリック・キルモンガー
厳密にいうとモンスターではありませんが、父の死とティチャラ王によるワカンダからの追放、そして復讐に燃える純粋かつ屈折した心の持ち主です。彼はその復讐心を間違った方向に向けてしまいましたが……何世紀もの間、世界が黒人をどのように扱ってきたか、その鬱屈したパワーを怒りと悲しみで体現しました。
キルモンガーは複雑な背景を持ちながらも、すぐさま説得力のあるヴィランになりました。とはいえ、演じたマイケル・B・ジョーダンの肉体があまりにも屈強で完成されていたため、あまり感情移入して泣けるキャラではありませんでしたが。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の怒れるタイタン人、サノス
宇宙のバランスを保つため、生命の半分を抹消するという大きなおせっかいを働いたサノス。中には男性としての魅力を見出している人たちもいるようで、シワシワのアゴを含むあのマッチョな上半身にウットリしちゃうようです。
彼の魅力はその見た目だけではなく、複雑な父親問題を抱えているところにもあります。屈折した親に育てられ、同じく屈折したまま大人になってしまい、彼も子供を持つ身になってしまった感じです。だからこそ嫌われ者である反面、アベンジャーズが敵対すればするほど、その存在が浮き彫りになるのです。
『ソーリー・トゥ・ボザー・ユー』のカシアス・グリーン
最近は映画製作者にとって、観客に真の衝撃を与えるのは難しくなっています。ですが、ブーツ・ライリーの『ソーリー・トゥ・ボザー・ユー』はちょっと違ったようです。
本作のあらすじはこんな感じです。
無職の男性カシアスが、やっとの思いでつかんだ電話営業の職で、白人の真似をして電話をかけたところ営業成績がトップになり、コカインと乱交に明け暮れる社長と面会することに。そこで会社は恐ろしい商品を売っていることを知るも、最早カシアスは足を洗えない状況にまでなっていた……
どこの世界に、資本主義の悪魔と組合の重要性を訴える映画がありましょうか? 物語は途中からチープなSF/ホラー風なテイストが顔を見せ始め、偽物のコカインを吸わされた人々が、パワフルな馬人間にミュータント化し、文字通り馬車馬のごとく労働に従事させられるという恐ろしい計画が潜んでいたのです。
人間を肥やしに富を得るモンスターのような社長。選出されたエリート社員たちも、社長に会えない末端の社員たちですら、知らずにその悪事に加担しているのです。2018年は社会的なモンスターという、違った角度の怪物もアリなのです。
宇宙からやってきた知的生命体『ヴェノム』
融合してヴィランとなった人間のエディー・ブロックと、知的生命体のシンビオートの間にあるのはある種の愛のようです。
コミック版『ヴェノム』のハードコアなファンは、ふたりのキャラクターに性的でロマンティックな背景があることを熟知しています。銀幕デビューしたアンチヒーローは、寄生モンスターを彼氏にしてもいいんだってことを、世界中にいる一定の層に対して知らしめることとなりました。
Reference: Wikipedia