敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ子育て術「HOW I PARENT」シリーズ。今回はAmazonでEchoやAlexaのトップを務めるミリアム・ダニエルさんの子育て術です。

ミリアム・ダニエルさんって何をしている人?

AmazonのEcho(音声コントロールスピーカー)やAlexa(デジタルアシスタント)の出現は、私たちの生活環境とのかかわり方を革新的に変えました。

ミリアム・ダニエル(Miriam Daniel)さんは、こうしたディバイスの存在を陰で支えるクリエイティブな人材の1人です。

コンピュータエンジニアリングのバックグラウンドを持ち、Amazon、Intelなどに勤務して、驚きと楽しさを体験できる新しいプロダクトを消費者に提供してきました。プロダクトマネージャーを務める彼女の信条は、人間の生活をシンプルにできるもの、より良くしていけるものを考案することです。

氏名:マリアム・ダニエル

居住地:カリフォルニア州クパチーノ

職業:AmazonのEchoとAlexaのデバイス担当バイスプレジデント

家族構成:夫のアルル、娘のアンドレア(19歳)、息子のアシュトン(17歳)、愛犬のシーザ(犬種はビション・フリーゼ)

──最初に、家族とキャリアについて。ここまでの人生は概ね計画通り?それとも予想外のことが多かった?

子育てを経験している人なら、「人生は決して計画どおりに進まないもの」と口をそろえて言うはずです。

私は、Intelで最初の採用面接を受けている最中に、膝に抱いていた生後3カ月の娘の具合が悪なり、面接官に面接のリスケをお願いしなければならなくなりました。

幸いその面接官は子育て中の人だったので理解してもらえたのですが、そうでなかったらどうなっていたことかと思います。そんなことがあったにも関わらず、Intelに採用されて14年勤務して、4年半前にAmazonに転職しました。

我が家は2人のティーンエイジャーがいて、典型的な「忙しい家族」です。

事前に計画を立てるなんて高度なことは絶対無理な家庭なので、日々驚きの連続です。 さすがに、週末の計画だけは前もって立てるようにしています。出張を調整したり、フェンシングの大会に出る子どもの送り迎えをしながら、あい間に何でもこなす必要があるからです。

そんな忙しい日々を送りながらも、ベイエリアの友人たち、インドの祖父母、フェンシング仲間との間で、家族のささやかな習わしを作りました。

それは、どこにいようとも、誰かの誕生日、休暇、インドのお祭り、年に1度のキャンプ旅行、夏のバーベキュー、インドのビーチに行くこと結婚式に出席するのためなら、時間を作ることというものです。

長い歳月を振り返ってみると、これほど多忙な両親のもとで育ったにも関わらず、子どもたちは、地に足がついていて、情緒豊かで、楽しいことが大好きな人間に育ちました。

私にはこれが何よりの驚きです。子どもたちは、親が子育てで最悪の過ちを犯しても、笑ってやり過ごすすべを習得しています。

私は、子どもを学校に迎えに行くのを忘れたこともありますし、毎晩暖かい夕食を出せたわけでもありませんでした。でも、子どもたちは、私が自動販売機で買った物をお弁当にして子どもに持たせたり、Intelの役員との会議に子どもたちを連れていったりしたことや、夫がフェンシング競技会の最中に、何時間もエレベーターに閉じ込められた話を友だちにしています。

こうした出来事を軽く受け流して、あらゆる状況を最大限に活用することを学んでいるんですね。実際、ママとパパがストレスを感じ始めると、「心配しないで」と子どもたちから親に声をかけてくれるぐらいです。

自己満足できて、親がいなくても生きていけるように育ってくれたことがわかって、信じられないほど嬉しいです。

── 1日のうちで一番好きな時間はいつ?

最近私が好きな時間は、フェンシングの練習を終えた息子を迎えに行くときです。

通常は午後9時30分ごろですね。私はほとんど毎週シアトルに行くので、週に2回ぐらいしか息子を迎えに行けません。

1日のうちで、この時間だけはどこかに急いで行かなくていいので、息子と何でも話すことができます。ときには、息子が好きな音楽を聴いて、赤信号で車を止めると私が踊りだすこともありますし、息子も一緒に踊って、2人で大笑いすることもあります。

──子育てをするようになってから仕事のやり方は変わった?

もちろん変わりました。

子育てを始めたころ、私はキャリアを構築していた時期だったので、完璧に時間を管理していました。午前8時から午後6時まで仕事をして、午後6時から9時までは、子どもと一緒に過ごして、宿題の手伝いやアクティビティへの送迎をしてから、子どもを寝かしつけていました。

その後は、深夜までラップトップで仕事という生活でした。最近は、子どもたちも大きくなったので、もう宿題を手伝ってもらう必要もベッドに入れてもらう必要もなくなりましたが、それでも私は家で過ごす時間をできるだけ多く作るようにしています。

息子が家を離れて大学に行くまでは、あるいは、娘が休学を終えて学校に戻るまでは、できるだけ多くの時間を子どもたちと一緒に過ごしたいからです。

親は、子どもとギブ&テイクがあっても構わないと思います。我が家の場合は、子どもを迎えに行く時間が遅くなったり、夕食がピザになったりしたことが確かにありましたが、子どものために私が仕事を断ったり、外出したこともあります。

息子が9歳のときから、夫と私は仕事の合間を縫って、息子を国内外のフェンシング競技会に連れていっていました。今年の初め、息子は1人でたびたび遠征して病気になったので、私は上司に電話をして、息子と同行しなければならないと伝えました。

そうしなければ私は一生後悔に苛まれるとわかっていたからです。上司は一言「行きなさい」とだけ言いました。私は、空港やホテルやスポーツセンターからリモートで会議に参加しながら、ブラチスラヴァ、ブダペスト、ローマを5週間ぶっ通しで移動して、フェンシングの競技会に出る息子を応援しました。

息子が学校も、強行軍の旅も、時差ぼけも、競技するプレッシャーもうまくこなせてこそ、私も仕事をこなしながら競技会の期間中息子と一緒にいられるとその間はよく思っていました。

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Photo: Courtesy of Miriam Daniel

──心が折れそうになったとき、目の前の瞬間に集中し続けるお気に入りのテクニックは?

私の場合は、掃除でストレスを解消しています。

家族もそれをわかっているので、私が掃除道具を手に取ると放っておいてくれます。最近は、バーエクササイズのクラスに出るようになり、毎週2、3時間、目の前の瞬間に意識を集中しています。

もっと早く、バーエクササイズに出会えたていたらよかったのにと家族は思っているようです。

── 「これがないと生きられない」というガジェット・アプリ・チャート・ツールは?

我が家には家族カレンダーがあって、全員が出張のスケジュール、競技会のスケジュール、フライトスケジュール、ドクターアポイントメントなどを全部記入することにしています。

家の中にはいたるところにEcho Showのデバイスがあるので、こうしたアポはどの部屋にいてもわかり、うっかり忘れてしまうことはめったにありません。

あと、Life360にもかなり依存しています。息子が1人で旅をしたり、娘がスペインに1学期勉強に行くときも、親はLife360のおかげで平常心を保てます。

子どもたちがどこにいるか分かっている限り、それほど心配しないですみます。

──夜のルーティンは何をしている?

我が家では全員帰宅時間が異なるので、ルーティンと呼べるものはあまりありません。夕食を食べてテレビでコメディ番組を見てみんなで笑います。

──子育てとキャリアを両立させている親御さんたちに伝えたい一言

なにもかも自分でしようとしないでください。

身近に助けてくれる人たちを作りましょう。我が家の救いの神は隣人のジョージさんでした。あるとき私は夕方子どもを迎えに行く計画がとん挫してしまい、必死でジョージさんに助けてくれませんかと頼むと、彼は快く引き受けてくれました。

それから9年たった今でも、彼は我が家を助けてくれています。子どもたちは彼のことが大好きですし、彼の存在がなければ、私たちは子育ても今のキャリアも挫折していたでしょう。

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Image:Lifehacker US

Source: Life360

Meghan Moravcik Walbert – Lifehacker US[原文