物理ボタンをジェスチャー操作に置き換えるGoogleのレーダー・センサーがFCC認証を取得

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  • author Sam Rutherford - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
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物理ボタンをジェスチャー操作に置き換えるGoogleのレーダー・センサーがFCC認証を取得
Image: Google

まるで手品か超能力のよう。

2015年のことですが、電子機器に触れていなくても指同士のタップだけでガジェットを制御できるという小型センサーが発表されたことがありました。Google(グーグル)のAdvanced Technology and Projectsグループ(ATAP)が、高周波(レーダー)をもとにして作ったもので、「Project Soli」というプロジェクト名で開発されています。

しかし、今週初頭になって初めて、Googleがこの技術を現実的なものにしようと本腰を入れ始めたのです。

そのデバイスがどんな様子なのか、映像でチェックしてみてください。

Video: Google ATAP/YouTube

こんな機能が家電や携帯型デバイスに装備されたら、SFの世界ですよね。介護や医療の現場でも大活躍しそうです。

REUTERSによると、米国連邦通信委員会(FCC)は月曜日に、「Project Soli」センサーが使う57~64Ghzという通常のガジェットが許可されているより高い周波数を使用できるよう、認可を出したとのこと。さらにFCCは、「Soli」センサーを航空機の中でも使用OKと明記しました。これは連邦航空局(FAA)の規則で許される限りの使用となりますが、ユーザーは高周波を出す電子機器を、空の旅行中に使えることとなるのです。

開発のきっかけ

もともとセント・アンドリュース大学の学生が考案した「Project Soli」の目的は、物理的なスイッチや画面上のボタンなどを、レーダー検知器を使って微妙な手の動きを検出する仮想コントロールに置き換えることでした。指先を軽くこする動作で、音量を上げ下げできるのは確かに便利です。

しかもほとんどの場合、ユーザーはデバイスが立ち上がっていることを知った上で各機能を調節するので、特に指先に振動などのフィードバックは不要ですし、つまりはそのためのモーターなどを追加する必要もないのもまた利点です。

加えて「Soli」センサーは、検知している対象が手なのか金属なのか、はたまたプラスチックやほかの素材なのかも違いを認識します。なので操作方法は指先のジェスチャーだけに限らないのです。

技術を恐れたFacebookから邪魔される

以前、Googleがこのレーダーをベースにした技術の承認を求めていたため、Facebookは、「Soli」搭載機器がFacebook系ガジェットの操作を妨げる可能性があるという恐れから、横槍を入れまくったことがありました。

しかしアレコレやり取りを繰り返したのち、2社は9月に着地点を見つけ、「もしGoogleのレーダーが通常の電力レベルよりも高いものを使用しても、 Soliセンサーがほかのデバイスに対して問題を引き起こすことはないだろう」という共同声明をFCCに提出しました。

実現はまだ先

いくらFCCが許可したとて、実際に「Soli」センサーがGoogle PixelやChromebookに搭載されるのは未来の話になりそうです。このセンサーは、たとえばレノボ 「Yoga Book C930」Eインク・ディスプレイ・キーボードみたいなガジェットを作るための、パズルの最後のピースになる可能性がありそうなんですけどね。

将来どんなモノがでてくるか、今から楽しみにしておきましょう。

Source: YouTube via REUTERS