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ソニー会見の目玉はTVではなく“クリエイター”。技術でユーザーと制作者つなぐ

ソニーは、米国ラスベガスで1月8日~11日(現地時間)に開催される「CES 2019」の開幕前プレスカンファレンスを実施。ソニー初の8K液晶テレビ「Z9G」や、有機ELテレビの新たなフラッグシップ「A9G」などを発表した。

ソニーの吉田憲一郎社長兼CEO

登壇したソニーの吉田憲一郎社長兼CEOは、CESで話題になっている、AIや自動運転、5Gといったテクノロジーの進化について触れながらも、ソニーのテーマとしては個々の製品ではなく、コンテンツを中心とした“クリエイティビティ”の重要性を強調。CESに合わせて新製品は数多く発表されたが、ステージ上で製品に掛けられたベールを取って披露したり、ポケットから取り出すといった演出はなく、ソニーに関わるクリエイターやコンテンツを中心としたプレゼンテーションとなった。

吉田氏はソニーを「CREATIVE ENTERTAINMENT COMPANY」であるとし、音楽、映画、テレビ番組、ゲームなどの分野を紹介。コンシューマ向けのソニー製品は「クリエイターとユーザーを結び付ける」と位置づけ、より高品質なコンテンツを楽しめる世界を目指すという。

ソニーはCREATIVE ENTERTAINMENT COMPANY

クリエイターとユーザーを強く結びつけるための1つの要素として、コミュニティの重要性に言及。ソニーが持つ大きな大きなコミュニティとして、PlayStationのプラットフォームを挙げ、PlayStation 4は、2018年の年末商戦期に実売560万台以上を達成、2018年12月31日時点で全世界の累計実売台数が9,160万台を突破したことを報告した。

PlayStation 4が年末商戦で実売560万台以上を達成

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント モーション・ピクチャーズ・グループ会長のトム・ロスマン氏は、テクノロジーだけでなく、強みであるエンターテインメントのコンテンツの“IP”を強調。映画の成功例として、ジュマンジ、イコライザー2、チャーリーズ・エンジェルなどを紹介した。

主なヒットコンテンツ

特に、アニメーションが大きなIPに成長したことをに触れ、主なコンテンツとしてモンスターズ・ホテルや、ピーターラビット、スパイダーマン:スパイダーバースを挙げた。

クリエイターやアーティストがテクノロジー活用で表現の幅を拡大

ソニー・ピクチャーズ アニメーションのクリスティン・ベルソン社長は、最新のテクノロジーを活かしたアニメ表現の多様化に加え、広い色域や明るさ、高ダイナミックレンジなどを活かし、ストーリーやクリエイターの意図を伝えやすくなっているという進化の現状を説明。

ソニー・ピクチャーズ アニメーションのクリスティン・ベルソン社長

CESに合わせて発表したMASTER Seriesの新たな8K液晶テレビ「Z9G」や有機ELテレビ「A9G」については「クリエイターの表現の可能性を拡大した」と紹介。プロ仕様のモニターに近いという正確な表現により、作品の内容を伝えるストーリーテリングの手助けとなるだけでなく、表現の可能性を広げることまで見据えて作られた製品だという。

MASTER Seriesの新たな8K液晶テレビ「Z9G」や有機ELテレビ「A9G」

ゲストとして、スパイダーマン:スパイダーバースの製作を担当したフィル・ロード&クリス・ミラーの2人が登場。「アニメーションはジャンルではなく、“メディア”」とし、最新のテクノロジーとCGを活用しながら、仕上げには手描きも用いるなど、長い期間もかけて制作。通常4秒間のシーンを作るのに1週間かけるところを、1秒間に1週間かけた場合もあったとのこと。

フィル・ロード(右)&クリス・ミラー(左)

「新たなソフトなど様々な方法を活用し、複数の手法を組み合わせたことで、それぞれのキャラクターに個性を持たせ、作品のテーマである『誰もが“マスクを着けて”新たなことに挑戦できる。失敗してもいいからトライしてほしい。それが新たなものを生み出すただ一つの方法だ』と伝えたかった。今も“アニメは子供だけのもの”と思っている人はいるが、アニメはすべての観客にとってエキサイティングな映画であると考えており、これまでの常識を変えたい」と作品に込めた思いを語った。

映画に続き、音楽分野でも大物ゲストが登場。音楽プロデューサー/アーティストのファレル・ウィリアムスが登壇し、ソニー社内で様々な技術を体験した様子の動画が公開された。

ファレル・ウィリアムス

中でも驚いていたのが、新たな音楽体験を実現するという「360 Reality Audio」。複数のスピーカーやヘッドフォンを使って、アーティストがすぐそばで演奏/歌唱しているような体験をストリーミング配信で再現できるのが特徴。オブジェクトベースの音声を使って、オープンフォーマットのMPEG-H 3D Audioをもとにしたフォーマットにより、対応サービスと機器を増やしていく予定。詳細は別記事で紹介している

360 Reality Audio
ファレル・ウィリアムスが体験
aiboと戯れるシーンも

ファレル・ウィリアムスがソニーでデモを体験すると「是非この技術を完成させてほしい。まるでスタジオの中にいるようだ」と感激した様子。その他にも、オーディオ&ビジュアルを含む様々な最新技術を社内で体験。「あの場所にあった全てのものは、何歩も先を見据えて作られていた。そこには尽きない可能性があり、ソニーの技術がユーザーとクリエイターをつなぐ」とし、様々な技術が実用化に向けて進められていることに大きな期待を寄せていた。

吉田社長は最後に「彼らのようなクリエーターと協力でき、オーディエンスとつながるための手助けができることを誇りに思う。我々はパートナーのクリエイターと共に、人に感動を与え、テクノロジーによって最高のエンターテインメント体験をファンや多くの人に届け、CREATIVE ENTERTAINMENT COMPANYであり続けたい」と述べた。