今度こそVRに火がつくか?
依然手の届きづらい印象のあるVR。高い割にハードを買いたいと思わせるほどの機能やコンテンツがなく、イマイチ一般に普及していませんね。しかし、HTCのリリースする新たなヘッドセットは、革新的かもしれない機能を搭載しているようです。以下は米GizmodoのSam Rutherford氏によるハンズオンです。
Facebook(フェイスブック)とOculus(オキュラス)がOculus Goと新しいOculus Questで一般的なユーザー層を狙う一方、HTC ViveはVive Pro Eyeで、VR体験をさらに進化させてOculusとは逆の方向に向かおうとしています。
現在販売されているVive Proをベースとし、Vive Pro Eyeは更にアイトラッキングを導入しています。ちょっと技術的な話になってしまいますが、アイトラッキングの導入は2つ大きな恩恵を生み出します。
まず最初の恩恵は中心窩レンダリングから来るものです。映像を処理する際、アイトラッカーを使うことで目で見ている部分を優先的に処理する方法です。これにより、コンピュータの処理能力を目が見ている部分に集中させ、周辺視野の処理は後回しにできるのです。またこの機能があれば、VRアプリで必要とされるハードウェアの必要基準が低くなり、同時に目線が集中している部分のグラフィックの品質をあげることができます。
さらにアイトラッキングを導入することで、たとえば『MLB Home Run Derby VR』などのゲームではメニューを行き来するのにコントローラーを必要としないのです。選択肢を眺めるだけで、ヘッドセットが私の考えていることを読み取っているかの様にカーソルが出現します。
これはVRの大きな難点の一つを解決できるかもしれません。それは、技術的知識のない一般的な人には、理解し、楽しむのが難しいということです。
さて、これでまたVRブームの波がやって来ると興奮している方に、ひとつ注意が。以前にも書きましたが、現在のVRは開発の第二ステージに立ったところです。数年前にHTC ViveやOculus Riftが発売された時、かつてバーチャルボーイでは到底たどり着けない領域に到達しました。VRというジャンルそのものはまだ一般化するには早かったものの、この2つはVRの没入感の力を見せつけたのです。
そして開発の第2ステージでは、VRテクノロジーを磨き上げつつ、VRの可能性を広げるような新機能や能力を追加していく必要があります。アイトラッキングとはまさにその為のパズルの1ピースです。
VRに必要なもう一つの大きなピースは、VRに対応しているソフトウェアです。それを強化する為、HTCはViveport InfinityというサービスをCES 2019で発表しました。これはVR界のNetflix(ネットフリックス)の様なものを目指しており、今年の4月5日から、Vive、Oculus Riftなど複数のヘッドセット、そしてスタンドアローンのモバイルVRヘッドセットなどで、500タイトルのVRコンテンツを定額制で楽しめるようになります(金額は未定)。
これは実に大きな一歩です。今のVRコンテンツと言えば、『Superhot VR』や『Moss』『Fallout 4』のVRモードなどを遊ぶと、他にやるものが無くなってしまいます。しかしViveport Infinityがあれば、たとえ一つ一つのコンテンツが小さいボリュームでも、遊びつくすにはかなりの時間が必要になります。
最後に、HTCがCES 2019のプレスイベントを終える直前、「VRへのアクセスの仕方を再定義する」新たなVRヘッドセットを発表しました。「Vive Cosmos」と名付けられたこのヘッドセットは、現在のViveに必要なライトスタンドなどの外部のトラッキング装置を必要とせず、更にデスクトップやラップトップなどを含む多くのシステムと接続可能で、スマートフォンなどのモバイルプラットフォームも強く示唆しました。
Vive Cosmosはバーチャル空間Vive Reality Systemを搭載する初のヘッドセットとなります。これはVR用にいちから再構築されたバーチャル空間で、VRアプリなどにより簡単にアクセスするためのポータルやツールが揃っています。それだけでなく、Mozillaと共同開発されたVRベースのウェブブラウザも備えています。
残念ながら、これ以上の詳細については「現在はお話しできません」と返されてしまいましたが、「今年の初め」に開発キットが出回るそうなので、その頃にはもっといろいろと情報が流れて来るでしょう。
Vive Pro Eyeは2019年の第二四半期に販売予定で、価格はまだ未定です。