AppleやMicrosoftなどの大手テック企業も上場している、世界最大の新興企業向け株式市場であるナスダック(NASDAQ)の総合指数が、12月21日の引け際で「弱気相場(下げ相場、ベアマーケット)」に入りました

弱気相場とは、過去1年の最高値から20%以上の下落を意味する言葉です。The Wall Street Journalはこの下落の原因を、「連邦準備制度理事会の利上げペースや、米経済の健全性、現実味を帯びつつある政府機関の一部閉鎖など、さまざまな不安材料」としています。

ダウ平均株価とS&P 500も同じく下落していますが、今のところ弱気相場のレベルにまでは下がっていません。

ロイターによれば、小型株指数のラッセル2000とS&P 600も少し前から弱気相場に入っていることが確認されているそうです。もし今年、全面的に株価が20%下がれば、大不況のさなかに始まった史上最長の強気相場(上げ相場、ブルマーケット)も、終わりを迎えることになります。

New York Times」によれば、弱気相場は過去20年間で2回しか起きていないそうです。1回は2000年、ITバブルの崩壊と連動して起こりました。もう1回は2007年、まだ私たちの記憶に新しい世界金融危機とともに起こりました。

ロイターによると、ナスダック総合指数は「(この記録的な長さの強気相場を通して、)2009年3月9日のポスト金融危機の安値から539%以上の上昇を記録した。配当再投資も含めると、この期間に611%以上ものトータルリターンがもたらされた」そうです。そのため、今回の下落にもかかわらず、その水準は今でも2009年の安値を400%上回っています。

読者のみなさんや筆者のような一般の個人投資家が気をつけるべきこと、それは、パニックを起こさないようにすることです。市場にとどまるべきです。とはいえ、いったん弱気相場が始まると、人はつい反対の行動をとってしまいがちです。パニック売りの動きが高まると、相場はさらに弱気になってしまいます。

下げ相場は続いても2年

この弱気相場が未来にどんな意味を持つのかということに神経をとがらせている人は、手元に置く現金を増やすことを優先させましょう。ですが、私が以前に書いたように、今こそ株を買うべき時であることを忘れないでください。

金融教育プログラムを提供するMarket Traders Instituteで、シニア市場アナリストをつとめるKevin Dixon氏は、おもに401(k)(確定拠出年金)を通して投資している若い人に向けて、401(k)のとらえ方として、損失を出している取引口座と考えてはダメと言っています。

そうではなく、一時的な下落を利用して安値で株を買う貯蓄ととらえるべきだというのです。これは、ドルコスト平均法というコンセプトです。価格が上がっている時も、下がっている時も、同じように買うわけです。

歴史的に見ても、下げ相場が続くのは2年未満です。一方、上げ相場はそれよりもずっと長く続きます。「市場が崩壊しはじめたら、その株価変動は、7~10年に一度しか訪れないチャンスです」とDixon氏は言います。

退職間近な人は?

一方、退職が近い人はこれを、自分の投資スタイルに調整が必要であることを示すサインととらえましょう。

「短期的目標に向けて投資している人は、今が株式市場から撤退しはじめる潮時かもしれません。3年以内にお金が必要になりそうなら、そのお金を株に投資すべきではありません」と個人の資産管理をサポートするウェブサイト「NerdWallet」の投資とリタイアメントに関する専門家であるAndrea Coombes氏は、以前にそう語ってくれました。

それから、ストレスや心配の原因になるものには耳を貸さないようにしましょう。情報の収集を怠るべきではありませんが、株価の変動が起こ流のは自然なことです。心配性の人に向けて、金融情報サイト「Kiplinger」は次のようにアドバイスしています。

株価が15%下落したとしても、全財産が失われるわけではありません。全財産を失ってしまったと思いこんで、パニック状態でブローカーに電話しないでください。

株価が1カ月で20%下落したとしても、4カ月後にすべてを失ってしまうわけではありません。株価は上下するものなのです。

とかく投資家は、今の状態がどうであれ、それがいつまでも(あるいは、少なくとも当面は)続くと思い込みがちです。強気相場は天井知らずだし、弱気相場が再浮上することは決してないと思いがちなのです。

悪いことは言いませんから、どうかそんな考えは捨ててください。そんな風に考えていたら、理性を失ってしまうだけです。弱気相場のあとには強気相場が来ますし、強気相場のあとには弱気相場が来ます。これまでずっとそうでしたし、これからもそうなのです。

自分のリタイアメントプランや投資目標を見直し、ゴールに向かって順調に進んでいるかどうか確かめ、弱気相場が自分の目標にとってどんな意味を持つのか考えてみましょう。そしてその上で、必要に応じて策を講じましょう。

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Image: BEST-BACKGROUNDS/Shutterstock.com

Source: The Wall Street Journal, Reuters, The Street, The New York Times, Market Traders, Forbes, Nerd Wallet, Kiplinger

Alicia Adamczyk - Lifehacker US[原文