シリコンバレーの億万長者の代表的存在であるイーロン・マスク氏は常に世間の注目を集め、Tesla社をはじめとする彼のさまざまな企業は近年確実に成長してきましたが、現況は絶好調とは言えないようです。
イーロン・マスクの一言が株価に与えた影響
同氏はポッドキャストでマリファナを吸ったり、レスキュー隊員はロリコンだという根拠のない発言を公の場でするなど、不適切な言動が目立ちます。Tesla社を株式非公開会社にするとTwitterで発信したせいで、米国証券取引委員会（SEC）に提訴されてしまいました。
その結果、マスク氏はTesla社の会長職を辞し、今後は会社の株価に影響を与える可能性がある発言をソーシャルメディアでしないよう同社の広報部にチェックさせることで和解しました。
その後、マスク氏は60分間のインタビューで、SECを揶揄するような発言を行い、自身は極度な長時間労働のせいでストレスに苛まれていると主張しました。
昨年のTesla社の株価は、マスク氏の振る舞いに応じて上下しましたが、マリファナを吸った後は7％下落し、Tesla社の株式を非公開にすると発表した後は上昇しました。
CEOが発言に慎重になるべき理由
会社の顔ともいうべきCEOは、投資家を欺くべきでなく、悪ふざけも避けるべきです。特にマスク氏の場合は、マスク氏の会社の「成功」イコール「世間から見て成功しているように見えるマスク氏」という構図で投資家から見られがちです（Tesla社が実際に電気自動車の製造に成功しているかどうかは別の話です）。
「ほとんどのCEOは、株価に悪い影響が出ることを恐れて、公の場で発言するときはとても慎重になります。CEOの報酬は株価に基づいており、取締役会は株主にとっての企業価値が上がることを望んでいるからです」とフリーのジャーナリストでInc.のコラムニストでもあるエリック・シャーマン氏は言います。
シャーマン氏はマスク氏の悪ふざけに関する記事を書いており、「マスク氏はあまり慎重ではない」と語っています。
以前はTesla社の株価はマスク氏の声明やツイートからポジティブな影響を受けていました。しかし、もう必ずしもそうは言えない状況です。
「CEOが公の場で慎重な発言をするのは賢明なことです」とシャーマン氏は言います。
CEOの公的な発言を通して、投資家はそのCEOが安定しているか、どのような人柄か推し量り、さらにはその会社の現状や先行きについても推察します。なぜなら、CEOはさまざまなことを変えられる強大な権力を持っているからです。
また、株式市場は合理的に動いているわけではありません。一般投資家も機関投資家も、結局は人間なので感情で動きます。同様に、こうした感情バイアスは、株の売買をするコンピューターのアルゴリズムにも現れます。結局はコンピューターも人間が作ったものだからです。
「株式市場は、投資家の感情的な反応とお金を稼きたいという気持ちの合体です」とシャーマン氏は言います。投資家は「状況に応じて、より多くのお金を稼ぎたいと思っているので、何が起こっているのか知りたいのです。そして、これはダメそうだと思えば、手を切りたいと思うのです」
CEOが増益や新技術の開発など前向きなことを話すと株価は上がります。逆にネガティブな発言をすると、株価も下落します。例えば、マスク氏は、1株当たり420ドルでTesla社を非公開会社にするとツイートしたせいで、SECの目を引きました。彼が株価を操作しているように見られたからです。その結果、ネガティブな影響が出ました。
取締役や幹部も軽率な発言は慎んだほうがいい
市場調査会社Aite Groupのリサーチディレクターであるバージニー・オーシー氏は、「基本的にどの役員の言動も、その会社の安定性と投資先としての魅力に影響を及ぼす」と書いています。
ほとんどの株式公開会社には、（最近のマスク氏のツイート事件のような）市場操作や#MeToo関連の問題など、幹部によるリスキーな言動、あるいは不適切な言動を禁止するガバナンスコードが存在しています。
長期的なことは知りようがありませんが、現段階で1つ確かなことは、SECがマスク氏とTesla社からしばらくの間は目を離さないということです。だからと言って、安心というわけではありません。
「これにより、株主がCEOの辞任を要求するようになると、短期的には株価に大きな影響を与えます」とオーシー氏は言います。
行政から改善命令が出るた直後は、株価は値を戻すことが多いものの、すべてはその会社に対する世間の信用によって決まります。これは読みにくい指標です。
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Image: Mark Brake/Getty Images
Alicia Adamczyk – Lifehacker US［原文］
