生まれたばかりの赤ちゃんがいる親なら誰でもその子の健康や安全を心配します。新しく授かった小さな命を少しでも脅かすものがないか入念にチェックすることが人間の進化の過程でプログラムされているようです。
夜中に子どもの呼吸が止まったらどうしよう。
歩道にいるベビーカーに車が突っ込んできたらどうしよう。
新生児をお風呂に入れている間に溺れさせてしまったらどうしよう。
心配の種は尽きません。
実は、こんなふうに不安になる根拠は何もありません。単に「脳が、こんなことをしてしまうんじゃないか、あんなことが起こるんじゃないか、と勝手に想像しているだけです」と「侵入思考」の第一人者であるJonathan Abramowitz博士は言います。
新生児の親は起こり得る危険を常に探していますが、親自身も危険な存在になり得るのです。このような不安に取りつかれると、身体が消耗したり、不安障害の兆候が出て、正常な生活ができなくなることがあります。
どうしたら産後の不安をコントロールできるのか、どのような場合に助けが必要なのかを見ていきましょう。
不安と折り合いをつけて暮らす
まず、このような不安を感じるのはごく当たり前のことで、ダメな親だからではないということを理解しましょう。
次に、「親になるとそういう不安はつきものだ」と思うべきだとAbramowitz博士は言います。
悪いことが起こるかもしれないという筋書きを必死で否定するより(そんなことをするとますます不安に駆られてしまいます)、そういうこともありうると認めた上で、新米の親なんだから、不安になっても当たり前だと思って、不安と折り合いをつけながら暮らしましょう。
親になりたての人がこうした不安を抱くのはよくあることで、子どもの誕生から6週間目ぐらいで不安はピークを迎え、その後の数か月で徐々に解消することが実証されています。
信頼できる人に悩みを打ち明ける
まず、私の体験談からお話しましょう。私には娘が2人いますが、毎回お産をするたびに、子どもの健康のことをやたらと心配しました。上の娘の手に何でもない虫さされを見つけたときは本気で心配して、娘の小児科医に「癌じゃないですか?」と聞いたぐらいです。
2番目の娘は生まれたとき体重が4.5kgもあったので、私が妊娠中にアーモンドクロワッサンを食べ過ぎたせいでこの子は一生肥満になる運命では、と真っ先に考えました。
あなたはどうでしたか?
こういう話を信頼できる人に話すと、不安を払拭できますし、不安なのは自分だけではないこともわかります。他の親もみんな私たちと同じなのです。
SNSのコミュニティや近所の子育てサロンなどで情報交換するのも良いでしょう。
不安障害の徴候を理解する
親になると誰でもこういう不安に駆られるものだとわかって気持ちが落ち着き、赤ちゃんの親の役目に慣れてくるに連れて不安が解消していくなら、大丈夫です。でも、不安が独り歩きするようなら、不安障害になっている可能性があります。
産後鬱の専門家によれば、産後鬱は状況も症状もさまざまで、妊娠中に始まることもあれば、出産後1年目に発症することもあるようです。これは、PMAD(周産期気分・不安障害)と呼ばれています。
妊娠中と出産時に最もよく見られる症状で、母親の5人に1人が発症しますが、治療すればかなり良くなります(注:父親にも同様の症状が出ることがあります・英文)。
PMADのうちで、産後不安障害と産後強迫神経症の症状は次の通りです。
1.不安な妄想に取りつかれる
私の場合は、起きている間はずっと頭の中で我が子が大病になる筋書きを練り続けていました(実際には健康な赤ちゃんだったのにです)。私を含め、産後不安障害を経験する多くの女性は、逃れたくても逃れられない不安の波が常に押し寄せてくるので、へとへとになってしうと訴えています。
2.自分の人格を否定する
子どもを傷つけてしまうのではないかと思うと、自分はダメな親ではないか、親になってはいけない人間ではないかと不安になります。でも、これは、あなたの人間性とはまったく無関係です。親になると誰でも一度はこういう不安に駆られますが、もしかすると不安障害になっていて、症状が重いので、自分の人間性まで疑ってしまうのかもしれません。その場合は、助けを求めましょう。
3.正常な生活ができなくなる
生まれたばかりの赤ちゃんがいてへとへとなのに、午前3時に目が覚めて不安を反芻して眠れなくなっていませんか?不安にとりつかれて、普通の会話をすることも難しくなっていませんか?不安が高じて正常な生活ができなくなっていませんか?私がそうでした。
4.不安を払拭しようとして極端な行動を取る
子どもが息をしているか心配で、1晩に20回もチェックしていませんか?日に何度もしつこく手を洗っていませんか?
私の場合は、夫が図書館から借りてきた本を漂白剤で拭いたり、娘が風邪をひくと、悪化していないか心配で何度も体温を測りました。
このように、これまでとは違った行動を取ることで、不安をコントロールしようとしますが、「不安は軽減されるどころか、ますます強くなります」とAbramowitz博士は言います。この場合は、PMADの一種である産後強迫神経症を発症している可能性があります。
必要な治療やサポートを受ける
上記の4つのどれかに当てはまる場合、あるいはPMADの別の症状がある場合は、気分障害か不安障害になっている可能性があります。
いずれにしても、効果的な治療を受ければ、かなり改善します。手始めに次のどれかにコンタクトしてみましょう。
- 産科医 or 助産師
- かかりつけ医
- 小児科医
- 自治体の子育て支援相談窓口
- 職場の従業員支援プログラム など
要注意:
自傷行為や子どもを傷つけたい衝動に駆られたら、産後精神病と呼ばれる状態に陥っています。
母親1000人中1人か2人しか経験しないので、発病率は高くありませんが、深刻な状態です。でも、治療は可能です。直ちに医療措置が必要なので、最寄りの救急外来に行ってください。 要注意:自傷行為や子どもを傷つけたい衝動に駆られたら、産後精神病と呼ばれる状態に陥っています。
親になると子どもの心配はつきものですが、周産期の気分障害や不安障害など、もっと深刻な経験をする人もいます。いずれにしろ恥ずべきことではないので、必要なサポートを受けて乗り越えましょう。
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Kate Rope – Lifehacker US[原文]
Image: Gettyimages