今後の流れが変わるか?
すごくSF的なパンチの効いたデザインも人気のDellのゲーミングPCブランド「Alienware」。今年のCESでは新たなゲーミングラップトップ「Alienware Area-51m」を発表しました。今までとは雰囲気の違うこの新モデルを米GizmodoのAlex Cranz記者はどう見たか……!
Dellのゲーム向けブランドのAlienwareは数年ごとに、大きくデザインを変えてきました。2009年には、かつてのエイリアンを思わせるものから、インダストリアルで80年代のスーパーカーの雰囲気を持ったものに。そして2019年からはAlienwareはまったく新しいスタイルの製品を展開。その第一弾として、Alienwareの名前を世に知らしめた1998年のモデルの名を引き継ぐArea-51mを発表しました。
AlienwareとDellにとってこれはかなり大きなことなんです。Alienwareはその独特のデザインで知られており、あまり頻繁に変えることはない一方で、Appleと同じく流行を巻き起こすものでした。Alienwareが新たなデザイン言語にシフトするということは、他のゲーマー向け製品のメーカー、特にノートPCのメーカーにもすぐに影響を与えるということなんです。Alienwareはゲーマーの美的感覚というものを定義する上での一大勢力であり、そのデザインの焦点が変わるときには注目しておくべきでしょう。
今年の新デザインでワクワクさせられるのは、Alienwareとうまくいけば他のゲーマー向け製品の業界全体がすこし取っつきやすい方向に向かっているというところです。ゲーマーの美的感覚にも思い入れはあるとは思いますが、鮮やかすぎる色をアクセントにした虹色のLEDで飾られた暗い色のラップトップはかなりバカっぽい感じもするはず。もちろんそれがゲーマーのツボですが、同時に空気を入れてふくらませる家具やラバライトみたいな子供っぽさも感じます。何かを見せつけたい、ないしは補いたいという男性的な攻撃性も感じられます。
かつてその美的感覚にハマった15歳のゲーマーが、30代、40代になった今、それはゲーマーとしてのアイデンティティを定義するものというより、発達遅滞みたいに見えるんですよ。ゲーマーの美的感覚も成長しろっての!
そんな中、AlienwareのArea-51mは正しい方向に向かっています。ノートPCは厳つい天使じゃなく、丸みを帯びたソフトな形となり、看板カラーとしての白(Lunar Light)と、過去を捨てられない人向けのダークグレー (Darker Side of the Moon)の2色が用意されています。
文化を定義する美的感覚の変化は一歩一歩行なわれるものなのでLEDはまだありますが、より上品なものになっています。キーボードとエイリアンの頭のロゴはそれぞれが光り、背面にも光の輪がありますが、ド派手というよりエレガントさを感じます。うるさかった今までのデザインと比べて、特に白はエレガントさが際立って、知的。
ちなみに完全にホワイトカラーのゲーマー向けのノートPCを出したのはAlienwareが初めてではなく、Razorが昨年10月にBlade 15として出していますが、あれはArea-51mよりもっと薄く、パワーで劣ります。一方このArea-51mは、Intelの第9世代8コアのデスクトップ向けCPUというタワーで見かけるものが搭載されています(発表されたばかりのi9 9900Kにもアップグレード可能)。しかもタワーのように、オーナーの好きなタイミングでアップグレードが可能。ユーザーが自力でアップグレードできるCPUがノートPCに入ってるんですよ。マジで。
気になる人のために書いておきますが、Area-51mのスタート価格は2,549ドル(約27万6000円)からで、1月29日から発送予定。この場合は、CPUはIntelの第9世代のi7で、RAMが8G、NVDIA RTX 2070、ストレージは1TB、ディスプレイは1080p 60hz。スペックを上げる場合、値段も上がるはず。
ユーザーはCPUだけでなく、ストレージやグラフィックボード、RAMもネジをいつくか外すだけでアップグレードができます。Nvidia 2080(パフォーマンスを抑えてるMax-Qはない模様)も搭載され、今後のGPUの発売も約束されているので、アップグレードしたくなった時はマシーンをまるごと交換する必要はありません。
これはいい方向ですよね。しかも、これだけのパワーを持ったノートだと、普通は小型車みたいな重さを想定することになりますが、Alienwareは主にマグネシウム製のシャシーを使っているので8.54ポンド(約3.8kg)に留まっています。凄いってわけではないものの、想定よりはかなり軽いはず。比べるとしたら、現状最速のノートであるAcer 21-Xが18.76ポンド(約8.5キロ)だったり、同じく2080とIntel HシリーズCPUと似たようなディスプレイを搭載したポータブルなマシンとしては事実上最強のMSI GE75の2.61kgあたりでしょう。
パワフルなマシーンには定番のTobii Eye Trackerも搭載
またここまでパワフルなノートだとAcer 21-XやMSI GE75みたいにバカげた見た目か、超分厚いかみたいなことを想像しそうですが、Area-51mは全然そんなふうに見えないし、すごくスッキリとした見た目になっています。Razerがパワーが抑えめなマシーンで控えめなデザインを見せていますが、Alienwareはもっと強いマシーンに品の良さをもたせてきました。
よりパワーが抑えめなノートやデスクトップ、周辺機器にもこのデザイン言語が採用される計画もあり、Area-51mはAlienwareの新デザインの先駆けでもありながら、ゲーマーの美的感覚の変化の先駆けでもあるのです。Razerの白いノートと、NvidiaがCES見せたノートを含め、ゲーマーのおもちゃも成長を見せる様子。まったく、やっとね!
個人的にはまだまだ成長が足りないので、昔のSONYのマシーンみたいなデザインにあまり魅力は感じないし、LEDはもっと光れよと思ってしまうのですが、それはともかく完全にアップグレード可能なのはかなりの魅力ですよね……。この流れを継承するマシンがどんどん出てきて、共通規格が出てくるといいですね。