古典技法復活。ゲームボーイ「ポケットカメラ」でカラー撮影に成功したよ

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  • author Andrew Liszewski - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
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古典技法復活。ゲームボーイ「ポケットカメラ」でカラー撮影に成功したよ
Image: Matt Gray/YouTube

カギはRGBです。

イギリスにお住まいのマット・グレイさんが、白黒写真しか撮れない1998年製のゲームボーイ「ポケットカメラ」で、カラー写真を撮影する方法を編み出しました。

それはロシアの写真家セルゲイ・プロクジン=ゴルスキーが生み出した、三色合成に着想を得たもの。グレイさんは赤・緑・青のフィルター越しに3種の同じ写真を撮り、Photoshopで各々の色を付けて合成したのです。

Video: Matt Gray/YouTube

「ポケットカメラ」はデジカメで出てきた初期の、安い代替品みたいなカメラです。白黒で画質もザラザラに粗い128×112ピクセルというクオリティーなのですが、今でもその味わいに魅せられて愛用している人たちがいるんです。

ゴルスキーの偉大な功績

ゴルスキーは1905年から1915年のどこかで、三色合成を使って中央アジアのブハラ・アミール国マンギト朝の君主、アーリム・ハーンを撮影した人物。それが世界初のカラー写真といわれています。ゴルスキーは化学者でもあったので、カラー写真機を発明するのではなく既存のカメラを利用し、3種のネガポジ反転白黒フィルムからフルカラー写真を生み出すことに成功したのです。

以降そのアプローチは、カラー写真、さらにはカラー映像を作成するためのもっとも一般的な方法のひとつになりました。ハリウッドで有名なテクニカラーでも同様の手法を使っていましたが、後にカメラに入る光をプリズムで分光し、複数の白黒フィルムを露光してフルカラーを撮る方法に切り替わっていきました。それは70年代半ばの、『ゴッドファーザーPART II』の時代まで続いたそうです。

「ポケットカメラ」の撮影方法

ゴルスキーにならい、グレイさんも「ポケットカメラ」をハックしたり、CMOSセンサーをアップグレードさせたりぜずに、3色のフィルターを使ったのでした。一番大変な作業は、データをコンピューターに取り込むことだそうです。ですがPhotoshopで合成した写真はご覧の通り、味がありますね。

カラーに適した写真を撮るには、写る対象がカラフルでないと上手くいきません。ゲームボーイの処理能力には限りがあるため、1回につき数秒露光する必要があります。さらに人物などを撮るには、3回撮り終えるまで動かず固まっていないといけないのです。

手間がかかる工程ですが、昔の人の気持ちをなぞり、アナログなデジタル写真を撮るのも趣があって楽しそうですよね。

Source: YouTube via Hackaday, LIBRARY