ハードウェア

Amazon EchoやGoogle Homeに「寄生」させると好きな言葉で起動できるようになる「Project Alias」


「Alexa」「OK、Google」「Hey、Siri」など、スマートスピーカーを起動してアシスタントAIに指令を与える時には「ウェイクワード」と呼ばれる指定のキーワードを最初に唱える必要があります。このウェイクワードを、スマートスピーカーの本体を改造せずともデバイスを上にかぶせて「寄生」させるだけで変更したり、スマートスピーカーの盗聴を防ぐことができるデバイスが「Project Alias」で開発されています。

Bjørn Karmann › project_alias
http://bjoernkarmann.dk/project_alias


スマートスピーカーには各企業の開発したアシスタントAIが搭載されていて、ウェイクワードと共に声で指示することでさまざまな処理を行ってくれます。例えば、Amazon Alexaを搭載するAmazon Echoは「Alexa」、Googleアシスタントを搭載するGoogle Homeは「OK、Google」と、音声AIに呼びかける言葉がウェイクワードになっています。

スマートスピーカーに搭載される音声AIは所有者の声やイントネーションを学習し、音声認識の精度を上げていくように設計されています。しかし、ウェイクワードは基本的に変更不可能なので、所有者はスマートスピーカーを自分の好きな名前で呼ぶことはできません。

Bjørn Karmann氏がスタートした「Project Alias」は、Amazon EchoやGoogle Homeの上にかぶせるだけでウェイクワードを任意の言葉に変更することができるデバイス「Alias」の開発プロジェクト。「Alias」は日本語で「別名・偽名」を意味します。


Aliasはその外見が特徴的で、Amazon EchoやGoogle Homeにかぶせると、まるでスマートスピーカーの上部が菌のようなものに侵され溶けてしまったような見た目に。開発者のKarmann氏によると、セミの幼虫に寄生する冬虫夏草のように、スマートスピーカーにとりつく「寄生虫」をイメージしてAliasを開発しているそうです。


Aliasは、3Dプリントされた外殻とマイクロホンアレイRaspberry Pi 3 Model A+と拡張ボードのReSpeaker 2-Mics Pi HAT、2基の16mm小型スピーカーが組み合わさってできています。


Aliasに内蔵された2つのスピーカーは常に人間には聞こえないレベルでホワイトノイズを再生し、スマートスピーカーのマイクを妨害します。この妨害によって、所有者が「Alexa」「OK、Google」と呼びかけても反応しなくなります。しかし、所有者がAliasに指定したキーワードが聞こえると、スピーカーから本来のウェイクワードを小さな音量で再生すると同時にホワイトノイズの再生を停止。これによって、所有者は任意のキーワードをウェイクワードにしてスマートスピーカーを操作することができるという仕組みです。


Aliasに任意のキーワードを指定するには、Aliasを訓練する必要があります。スマートフォンのアプリを利用して新しい名前を何度か話しかけると、Aliasはそのキーワードを学習し、学習状況は視覚化されてスマートフォンの画面に表示されます。なお、ちゃんと発声されれば、登録するキーワードはどんな言語でも問題ないとのこと。


実際にAliasを寄生させたスマートスピーカーに好きな名前で呼びかけて操作を行う様子を、以下のムービーの35秒あたりから見ることができます。「Doris」「Marvin」「Apt」など、あらかじめAliasに登録していた名前で呼びかけるとスマートスピーカーはちゃんと反応します。ただし、マイクにかぶせる仕様上、音声への反応はやや鈍くなってしまう印象。

Project Alias – How to rename your home assistent and stay private - YouTube


また、Amazon EchoやGoogle Homeなどのスマートスピーカーは入力された音声データをクラウドに送信して機械学習を行うため、勝手に録音したデータを第三者に送信してしまうなどの事例も発生するなど、プライバシーに関する問題も議論されています。Aliasは常にホワイトノイズを流してスマートスピーカーのマイクを妨害しているという仕組みなので、「何かの拍子に知らないうちに生活音が録音されて送信されてしまう」ということも防ぐことができます。


Aliasの外殻とスピーカーホルダーの3Dモデルや各スマートスピーカーのウェイクワード音声はInstructablesで、Aliasを制御するオープンソースのソフトウェアはGitHubで公開されています。

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in ハードウェア,   動画, Posted by log1i_yk

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