生命の神秘は、ちょっと悲しい。
言語品質保証ソフトウェアのテスターをしている、ジェイムズ・ヴァイスさん。でも彼の本当の情熱は、単細胞真核生物の研究に注いでいるのだそうです。彼は微生物の生態を録画し、YouTubeとInstagramに投稿する人物。「科学と縁がないコミュニティーに、微生物世界の不思議を紹介している」と話します。
彼の最新映像のひとつに、特に魅力的なものがあります。それはブレファリズマという単細胞生物が儚くも死にゆく様子。彼はこのようにコメントしています。
なぜこれが亡くなったのかわかりませんが、無へと崩れゆく様は見ていて胸が張り裂けます。大小に関わらず、命は脆いのです
あのシーンを彷彿とさせる切ない死
動画では、そのブレファリズマがお尻から徐々に溶け出し、一度膜が再生するものの……あるタイミングで粉々に崩れ去ってしまう姿が確認できます。
あたかも、サノスに指パッチンされたスパイダーマンが、「スターク、何が起こってるの? 逝きたくないよ、ごめんなさい……」と崩れ去るよう。自らの存在を考えたこともない微生物が必死にもがき、突然の悲劇で残酷な死を迎えたのです。なんだか切なくなりますね。
動画の説明にはこうあります。
ブレファリズマは通常ピンクがかった色ですが、光量が増すと陰に向かって泳いでいく習性があります。そしてずっと光にさらされているか、飢えているとピンク色が失われてゆき、こうして死を迎えるのです
ヴァイスさんは米Gizmodoに、毎日何時間も顕微鏡で微生物を観察していると話してくれました。細胞が死ぬのは珍しいことではありませんが、今回のケースだけはほかとはまったく違うんですって。膜が崩壊して消失するのは、彼も初めて見たのだそうな。
死因を推測してみる
彼はなぜそれが死んだのかについて、いくつか理論を唱えました。そのひとつはアポトーシスと呼ばれる、タンパク質や細胞膜を溶かす酵素の放出を誘発する、プログラムされた細胞死。これだと完全な根絶となるのです。また別の考えは、細胞に感染したウィルスという説
どちらも憶測の域を出ませんが、生命の神秘と死の恐怖を突き付けてくる映像にいは違いありません。