ピロン♪「離婚されましたよ」
女性に対して厳しい締め付け(←マイルドな表現)をすることで知られるサウジアラビアで、「夫婦の離婚手続きが行われる際、裁判所は妻側にメッセージで通知を送る」という規則が1月6日から施行されました。
ステルス離婚の抑止策
どういうこと?と思いますが、これは同国の指導者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が中心になって進める女性解放政策の一環で、夫側が勝手に離婚するのを防止するための新規則...なのだそうです。
というのも、サウジアラビアでは夫側が勝手に離婚する事例が増えてるそうなのです。妻に黙って離婚した夫たちは、扶養料を踏み倒したり、銀行口座を勝手に管理したりしていました。このメール通知には、離婚承認番号と妻側が書類を受け取れる関連裁判所の名前が含まれるとCNNは伝えています。さらに、女性が婚姻状況について尋ねたり、証明書を読むことができる新たなウェブサイトも作られました。
不平等な離婚制度はあいかわらず
ただ、女性解放政策の一環で、女性の権利を守る目的の新規則といっても、あくまで表面上の制度のように思います。だって、男性が口頭で離婚を言い渡し、裁判所で手続きすれば成立してしまうのはこれまで通りです。女性が離婚したい場合、男性後継人の同意と虐待の証拠を提出しなくてはいけません。離婚における男女の不平等さを考えると、メール通知は根本の解決や見直しになっているとは言えないでしょう。
しかし、世界人権団体のSuad Abu-Dayyeh氏は「少なくとも女性は自分が離婚しているのかどうか知ることができるでしょう」とロイター通信に語りました。
「これは小さな一歩ですが、正しい方向への一歩なのです。男性後継人システムは重要な問題で、解体されなければいけません。このシステムが女性の生活をあらゆる面で締め付けています。」
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、自身を改革派として売り込みたいと考えていて、サウジアラビアをテクノユートピアのようにしたいと切望しています。禁じられていた女性の運転を解禁したり、スポーツ観戦を認めたりと前向きな改革を進めている一方で、ジャーナリストのジャマル・カショギ氏の領事館内殺害に関与している疑惑がありました。去年11月にサウジアラビア検察が皇太子の関与を否定したにも関わらず、一部の人たちは皇太子が殺害計画を知らなかったなどあり得ないと主張しています。
宗教的なことでもあるのでサウジアラビアのやることに下手なことは言えませんが、もう少し全体的に改善しないものですかね…。前向きな変化といえど、メールで離婚を伝えるなんて、人をバカにしているとしか思えません。