頑張って仕事をしているはずなのに、「なぜかお金が貯まらない」という状況に陥っている人は少なくないと思います。

その原因はいろいろ考えられますが、「嫉妬」という心理的要因がからんでいると唱えるのは、心理カウンセラーの大嶋信頼さんです。

大嶋さんは著書の『「お金の不安」からいますぐ抜け出す方法』(総合法令出版)の中で、自身の会社員時代は、まさに嫉妬のせいでお金が貯まらない状況にあったことを打ち明けています。

「嫉妬の発作」が人格面に悪影響を

当時の大嶋さんは、部下が先輩から可愛がられているのを見るたびに、「あいつ本当に生意気!」と嫉妬の感情にかられていたそうです。

本書では「嫉妬の発作」と表現されていますが、この感情は金銭感覚を失わせるなど、人格面に悪影響を及ぼすそうです。

嫉妬の発作のせいで、大嶋さんは毎週のように「ストレス解消に必要だから!」とコンピューターの部品を買っては、押入れの中に死蔵しました。

そのため、給料日前は食費もないありさまで、5日間も水だけで過ごすなど散々な目に遭います。

状況が変わったのは、部下に嫉妬していることを自覚してからだったそうです。

大嶋さんは、毎週の部品買いをする気がなくなって、徐々にお金が貯まっていきました。嫉妬の感情をなくすのではなく、嫉妬している事実を認めるだけで、「発作」が消え、貯蓄体質へと生まれ変わりました。

このように本書では、嫉妬の発作をキーワードにした、お金の問題の解決法が様々に提示されています。

ここでは、「嫉妬の自覚」以外の方法も、いくつか紹介しましょう。

自分のほうが優れていることを認める

嫉妬心が湧きそうになったら、頭の中で「自分のほうが優れている!」と唱えます。これだけでも、嫉妬の発作を防ぐことができるそうです。

ふだん謙虚に振舞っている人は、こう考えることに抵抗があるかもしれません。大嶋さんもかつては、「謙虚になればなるほどお金持ちになれる!」と信じていたそうです。

反面、「私はこれだけ謙虚に振る舞っているすごい人」と、周囲を見下すようになり、他者のちょっと偉そうな態度を見るたびに嫉妬の発作が起きていました。

謙虚さは、時には嫉妬の元になるわけです。

謙虚さが仇になっていると思ったら、「自分のほうが優れている!」と考え、本来の自分を取り戻しましょう。

相手の嫉妬を止めようとしない

自分自身の嫉妬だけでなく、他者から自分に向けられる嫉妬によっても、貯金体質から遠ざかることがあるそうです。

わかりやすいのは、嫉妬からくる攻撃を受けて「自分には価値がない」と思いこみ、お金が貯まらない性格を身につけてしまうこと。

もう1つは、無意識のうちに「相手よりも下」という状況を作り出し、相手の嫉妬を回避しようとすること。

つまり、自らをお金に恵まれないようにすることで、嫉妬されない状況を作ることもあると、大嶋さんは述べています。もっとも、嫉妬されないよう努力すれば、かえって嫉妬を誘発するとのことで、とても厄介です。

その対策として大嶋さんが勧めるのは、あえて相手の嫉妬を止めないこと。嫉妬の攻撃を受けるたびに、心の中で「嫉妬を止めようとしない!」と唱えつつ、受け流します。

これを習慣化すると、相手の態度が変わってゆき、いつの間にか嫉妬の攻撃を受けなくなるそうです。

「2000円募金」で金欠体質を変わる

通帳とにらめっこして「お金がない」と焦っていると、人からは「イライラしている」、「貧乏くさい」という印象を持たれ、チャンスを運んでくれる人を遠ざけることになります。これに他者の嫉妬の攻撃が加わると、完全にお金と無縁な状態に…。

大嶋さんは、この金欠体質は変えられると言います。その方法が、「『お金がない!』と不安を感じたら、コンビニなどの募金箱に2000円入れてしまう」というもの。

たとえば、同僚とのランチで、同僚が高い定食を頼んだのに、自分は安いメニューしか頼めない状況。このせいで「お金がない!」という思考が渦巻いてしまった時。

あるいは、専門店で買い物をした時に、「100円ショップでもいい」とふと思い、そこから「お金がない!」という思考にとりつかれた時。

こんな時は、募金箱に2000円を入れてしまいます。

「お金がない」というのに、こんなことをすればなおさらお金がなくなると思われるかもしれません。

しかし、募金箱に2枚の千円札を入れるのを見た他者(たとえば同僚)からの見る目が変わり、自分の意識が変わり、次第にお金が貯まる体質へと改善されると、大嶋さんは言います。

本書では、会社ではいつも忙しく仕事をしているのにお金が貯まらない男性が、この方法で金欠体質が改善され、社内での信頼を得て昇給していく実例が載っています。

悪口をやめてお金が貯まる

嫉妬心と同じくらい貯金体質に悪影響を及ぼしてしまうのが、他人・自分に悪口を言ったり、ダメ出しをしがちな性格だそうです。

大嶋さんはその理由として、悪口・ダメ出しを言うと「緊張のホルモン」が分泌され、お金を貯めるアイデア出しにブレーキがかかってしまうこと、さらには脳の直観力を司る部位の働きが低下する点を挙げています。

そして、勧められているテクニックが「ダメ出しは貧乏神センサー!」というもの。これは、つい悪口を言いたくなる、問題のある相手を貧乏神と見なします。

そして、悪口を言いたくなったら、頭の中で「貧乏神!触らぬ神に祟りなし!」と叫んで、その人を避けます。

自分にダメ出しをしたくなった場合も同じ。「過去の貧乏神!」と頭の中で叫んで、ダメな自分から離れます。やがて悪口・ダメ出しをしなくなり、直観力が冴え、昇進など幸運が舞い込む体質へと変わるそうです。


このように本書では、嫉妬を中心に心理面を改善することで、金欠体質から脱却する方法がいろいろと掲載されています。

どれも大嶋さんが数多くのカウンセリングを実践するなかで編み出されたもので、効果は折り紙付き。

全部を一気にでなく、できるメソッドから始めていくとよいでしょう。

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Image: GaudiLab/Shutterstock.com

Source: 「お金の不安」からいますぐ抜け出す方法, 総合法令出版