EU以外の国々は今後どういう動きをするのでしょうか。
欧州連合(EU)の司法裁判所はGoogleの「忘れられる権利」はEU域内からの検索にのみ適応されるべきとの見解を示しました。「忘れられる権利」とは、ネットの検索結果から個人情報やプライバシー侵害情報などをリクエストして削除してもらう権利のこと。2014年5月にEU司法裁判所は、EUに住む人からGoogleに対してリクエストがあった場合、その検索結果のリンクを削除することという判決を出していますが、それ以来Googleには削除要請が殺到していて、そこからずっとこの件に関しては議論が続けられていました。
翌2015年にはフランスの情報処理及び自由に関する国家委員会(CNIL)は、EUに住む人の検索結果はEU以外からの検索であってもGoogleは検索結果を削除すべし、と主張。Googleがこれを遵守しなかったため、10万ユーロ(約1250万円)の罰金を課しています。それに対し、Googleはフランス国外からの検索結果を削除する必要はない、と異議を申し立てていました。そして今回、この「忘れられる権利」によるGoogle検索結果の削除はEU限定という見解が出されたという流れです。
EU司法裁判所のMaciej Szpunar法務官は、「忘れられる権利は、データ保護の権利とプライバシーの権利、検索情報の正当な公共の利益などの他の基本的権利との釣り合いが取られるべきである」との見解を発表しています。それに同調する形でGoogleのプライバシー弁護士のPeter Fleischer氏は「情報の公的利用権とプライバシーの権利は世界中の人にとって大変重要なものであり、Googleはヨーロッパの人たちにとって忘れられる権利が有効になるために最善を尽くしてきました」と話しています。
EU司法裁はこの見解を踏まえて、2~3ヶ月以内に判決を出すこととなりそうです。
Source: Court of Justice of the European Union、Guardian
2019年1月21日:誤訳を修正いたしました。