TV視聴の10％を「Netflix」が占めていると判明、一方で値上げによるユーザー離れは不可避か

by Caribb

Netflixは2018年の時点で全世界に約1億3000万人近くの利用者数がいるとされており、世界最大級のストリーミングサービスとなっています。そんなNetflixは、ついに「TV視聴者のシェアを奪いつつある」と報じられています。

Netflix shares audience numbers for (some of) its TV shows and movies - Recode
https://www.recode.net/2019/1/17/18187234/netflix-views-numbers-first-time-bird-box-bodyguard-you-sex-education

Netflixは長年にわたり、個別の番組についていったいどれほどの視聴者数があるのかという点を公表してきませんでした。しかし、Netflixはついに個別の番組の視聴者数を一部公表し始めました。たとえば2018年12月21日に配信が開始されたサンドラ・ブロック主演のスリラー「バード・ボックス」は、配信開始からわずか数日間で4500万人ものユーザーが視聴したとのこと。

また、Netflixオリジナルのコメディである「セックス・エデュケーション」や、オリジナルスリラーの「YOU -君がすべて-」についても、配信開始から4週間で4000万人以上のユーザーが視聴する見込みだと述べました。Netflixがいう「視聴者数」とは、映画であれば映画全体の70％以上、ドラマなどのTV番組であれば1つのエピソードを70％以上視聴したアカウントの数を指しています。

また、Netflixはアメリカだけでなく全世界のユーザーにコンテンツを届けることを望んでいるとのこと。スペイン発のサスペンスである「エリート」は配信開始から4週間で2000万人、イギリス発のサスペンス「ボディガード -守るべきもの-」やトルコ発のアクションドラマ「ラスト・プロテクター」、イタリア発のヒューマンドラマ「Baby/ベイビー」なども配信開始から4週間で1000万人以上が視聴しているとしました。

by www.quotecatalog.com

さらに驚くべき点として、アメリカのユーザーがTV画面を見る時間のうち、10％をNetflixが占めているという数字も算出されています。NetflixによればアメリカのTVスクリーンに対して、Netflixは1日あたり1億時間ものストリーミングを行っているとのこと。Netflixにおけるバード・ボックスや他の連続ドラマの視聴者数はTVで放送される番組と比較しても多いものであり、今後はハリウッドスターや有望なタレントがあえてハリウッドやTVドラマではなく、Netflix制作の作品に出演する可能性も出てくるかもしれないとのこと。

アメリカではTVのシェアを奪いつつあるとされているNetflixですが、インドではNetflixを含むストリーミングサービス企業が「ベストプラクティスコード」に署名し、「国のシンボルや国旗を軽視したり、宗教や階級などをひどく扱ったり、暴力的な行為を促進するようなコンテンツ」を自主規制すると報じられました。

Netflix Agreed To Self-Regulate Its Content In India. Critics Say It’s Censorship.
https://www.buzzfeednews.com/article/pranavdixit/netflix-self-censorship-code-india

この動きは一部の批評家から「インドにおけるストリーミング市場での悪しき前例となる」と非難されており、規制されたコンテンツのみを享受させられるユーザーに対しても、自由な言論や表現の妨げになると指摘されています。

by it's me neosiam

また、Netflixは2019年1月、アメリカにおける利用料金の値上げを発表しています。これによってベーシックプラン・スタンダードプラン・プレミアムプランそれぞれの利用料金が、月額1ドル(約110円)～2ドル(約220円)ほど上昇することになりますが、アメリカの調査会社であるThe Diffusion Group(TDG)が2018年12月に行った調査によると、「Netflixの月額料金が1ドル上がったらNetflixの利用をやめる」と回答した人の割合が8％もあったとされています。

Netflix Could Lose 8% of Consumers with $1 Price Increase: Study - Multichannel
https://www.multichannel.com/news/netflix-could-lose-8-percent-of-subscribers

この調査は、実際にNetflixが値上げを発表する1カ月前の2018年12月にアメリカ人を対象に行ったもの。2019年1月の発表によると、アメリカのNetflix月額料金はベーシックプランが1ドルの値上げ、スタンダードプランとプレミアムプランは2ドルの値上げが行われることになっています。

一方でTDGが行った調査では、もし1ドルの値上げが行われれば8％のユーザーがサービスの利用を停止し、別の8％のユーザーは利用プランを1ランク下げると回答しました。値上げが3ドル(約330円)だった場合は16％が利用を停止し、22％が利用プランのグレードダウンを行うと回答。値上げが5ドル(約550円)の場合、22％が利用を停止して25％が利用プランのランクを下げると回答するなど、実に半数のユーザーが利用の停止またはプランのランクダウンを行うと述べたそうです。