国内の人口は減少傾向にあり、特に地方の過疎化は深刻さを増しています。「地方創生」も叫ばれますが、助成金などを利用しても必ず成功するとはいえない、難しい事業といえます。

そんな中、IT企業でありながら「あえて地方」を選ぶことで、地域とうまく融合している会社があります。IBMのWebメディアMugendai(無限大)には、数々の新基軸を打ち出すことで有名な株式会社カヤックCEOの柳澤大輔さんが登場していました。

地方創生と働き方について柳澤さんが唱える「鎌倉資本主義」とは、一体どのようなものなのでしょうか。

鎌倉に会社をつくったのは、幸せになるため

「面白法人カヤック」としてもおなじみの同社は、給与をサイコロの目で決める「サイコロ給」などのユニークな取り組みで、かねてから注目されている企業です。

そのカヤックが本社を置くのが、神奈川県鎌倉市。てっきりCEOである柳澤さんのゆかりの地かと思いきや、「時折訪れていた」くらいの場所だったそう。柳澤さんは鎌倉を選んだ理由について、「幸せになるために会社をつくった」と表現し、以下のように語っています。

起業したら、住みたい街に会社を置こうと決めていました。それはもちろん自分が住みたい街でもありますし、世間一般の人が住みたい街でもあります。鎌倉市は、さまざまな調査で住みたい街の上位に常にランキングされています。住みたいからには何か理由があるそこにはきっと幸せになるための条件がそろっている、と思ったのです。

鎌倉在勤者なら誰でも使える「社員食堂」。地域が協力して生み出す価値

「経済」「社会」「環境」が結合した「鎌倉資本主義」は、地域創生の鍵となる! カヤックCEOが見る現状と未来
Image: Mugendai(無限大)

市内に住む社員への住宅手当のほか、子どもを預けられる「まちの保育園 鎌倉」など、カヤックは鎌倉に住む社員だけでなく、地元の人たちも巻き込んで豊かになるようなさまざまな取り組みを行っています。

その代表的なものが「まちの社員食堂」。これは、ひとことで言うなら「鎌倉市在勤者が利用できる食堂」であり、カヤックの社員以外でも利用が可能です。「自社だけが利用する食堂では、地域との交流もないし面白くない」のが創設のきっかけだそうで、実際に企業の枠を超えた人たちが集うコミュニケーションの場となっているとのこと。

気になるメニューは、鎌倉市内の40ものお店が毎週週替わりで入店して腕を振るうという豪華なもので、「鎌倉のためなら」と多くの飲食店が協力を惜しまないといいます。

地方が輝くための「鎌倉資本主義」。必要な3つのステップとは

都心から離れた場所に本社を構えつつ、地域とうまく共存しているカヤック。柳澤さんが地方創生の鍵と語るのが、経済資本社会資本環境資本から成る、「鎌倉資本主義」と呼ばれるものです。

地域を盛り上げるには経済活動を活性化させることが大前提」と語る柳澤さん。何をするにも根幹となるのは経済活動であるとし、「経済資本」は地域に根ざして活動する企業を指します。

「社会資本」とは、地域で働く人とその家族などのコミュニティのことで、「まちの社員食堂」は、まさにこのためにつくられたそう。

最後の「環境資本」は、自然伝統工芸歴史特産物など地域が持つ魅力のことで、柳澤さんいわく「地方が都会に圧倒的に勝る部分」であり、その魅力をしっかりと示せれば自信を持って地方創生につながるといいます。

「経済」「社会」「環境」が結合した「鎌倉資本主義」は、地域創生の鍵となる! カヤックCEOが見る現状と未来
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実現には多くの壁が立ちふさがる地方創生ですが、柳澤さんはその思いを以下のように語っています。

本当の地方創生をするには、まずは経済基盤が必要です。その地域の企業がまず中心となって経済基盤をつくらねばなりません。その上で、従来視覚化されていなかった「社会資本」「環境資本」を可視化すれば、場所によっては経済資本はそこそこでも社会資本が非常に充実した地域が出てくる。それは地域が輝くということであり、それが真の地方創生ではないかと思います。

多くの示唆に富んだ「鎌倉資本主義」の詳細はもちろん、アイデアを出すブレストが地域活動にぴったりな理由、創立20周年を記念した「大カヤック展」が「小カヤック展」になってしまった話など、話題満載のロングインタビューは、Mugendai(無限大)よりぜひ続きをお楽しみください。


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