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次世代高速メディア「CFexpress」CP+で各社から。新ディスプレイなど参考展示

写真映像関連イベント「CP+」には例年、撮影に欠かせないメモリーカードや、撮影後の編集に必要なPCディスプレイなど、カメラやレンズだけでなく様々な関連製品メーカーがブースを並べる。今年のトピックのひとつは、新規格のメモリーカード「CFexpress」。サンディスクやソニー、“復活した”レキサーから発表され、参考展示や転送速度の検証デモが行なわれていた。

レキサー(左上・下)と、サンディスク(右下)、ソニー(右上)がCFexpressカードを出展

次世代メモリーカード「CFexpress」各社が展示・デモ

CFexpressは、CompactFlash Association(CFA)によって'17年に策定された新しい記録メディア規格で、既存のCFast 2.0とXQD 2.0の後継となる。最初の「CFexpress 1.0 Type B」の仕様では、インターフェイスはPCIe Gen3 x2を採用し、転送速度(理論値)は2GB/秒(16Gbps)。それまで最も速かったXQDカード(500MB/秒)よりさらに高速に、大容量の撮影データを対応機器経由でパソコンなどへ転送できる。

CFexpressと他のメモリーカード規格の比較。サンディスクのブースにて

CFexpress Type Bの外形寸法は現行のXQDメモリーカードと同じサイズで、XQDを記録メディアとして採用するパナソニックのミラーレス「LUMIX Sシリーズ(S1R/S1)」や、ニコンのミラーレス「Z 7/Z 6」などが、それぞれ後日のファームウェアアップデートでCFexpressに対応予定だ。

パナソニック LUMIX S1R
ニコン Zシリーズ。中央はソニーが開発発表したCFexpressカード

CFAは米国時間27日、新規格「CFexpress 2.0」を発表。NVMeプロトコルが1.2から1.3にアップデートされ、XQDカードと同じサイズのType Bに加えて、新たに2つのフォームファクタ(Type A/C)が用意される。インターフェイスはPCIe Gen3で共通だが、レーン数と転送速度が異なり、Type Aはx1で1GB/秒(8Gbps)、Type Cはx4で4GB/秒(32Gbps)。

CFexpress 2.0/1.0の規格概要。レキサーのブースにて

レキサー(Lexar)のブースでは、CFexpress 2.0 Type Bをはじめ、新たに追加されたType A/Cについてもカードのモックアップを用意し、既存のメモリーカードとの比較展示を行なっていた。4K/8Kの映像をカードに書き込み速度が落ちることなく安定してシームレスに記録できるという。

CFexpress 2.0 Type Bは既存のXQDカードとサイズが同じ

CFexpress Type Bカードの転送速度の検証デモ用PCが置かれていた。また、ブース内の液晶ディスプレイでは、レキサーブランドの既存メモリーカードとの転送速度の比較動画も観られた。

今後、製品化予定のCFexpress Type Bカード。現在はメモリーカードリーダー/ライターがないため、PC内部の基盤に接続していた
CFexpress Type Bカードと既存のメモリーカードで、13GBの写真データをPCから各カードに書き込むテストの転送速度を比較検証したデモ動画

担当者によると、レキサーはCFexpress Type Bカードの実機を既に用意しており、今後、サイズが同じXQD対応カメラで利用できるようになるはずだという。一方、CFexpress 2.0 Type A/Cについては発表されたばかりの規格で、製品化のメドはまだ立っていないとのこと。サイズが比較的大きなType Cについては「業務用の大型カメラ向けストレージとして活用が見込まれるだろう」とのことだった。

CFexpress Type A(中央)。左のSDカードと並べるとサイズの小ささが分かる
CFexpress Type C(中央)と、既存のCFastメモリーカード(左)を並べたところ

なお、レキサーは'96年設立の米国ブランドだが、親会社のMicron(マイクロン)が中国のメモリーメーカーに売却、日本市場では製品流通が一時ストップしていた。しかし’18年に日本法人が新たに設立され、’19年から再び日本市場に参入、同ブランドのメモリーカードなどを出荷すると発表。国内に関しては、ソフトバンクコマース&サービスを通して販売する予定だ。

1TBのSDXCカード(左)や、「MWC 2019」で発表された1TB microSDXCカード(右)の参考出展もあった

サンディスクのブースにも、開発中のCFexpressカードが出展されていた。

サンディスクのブース
サンディスクが開発中のCFexpressカード

ブースでは、ノートPCに繋がれたカードリーダー/ライターに、CFexpressと既存のUHS-II SDカード、CFast 2.0カードが装着されており、係員の操作で3種類のメモリーカードの転送速度を目の前で比較体験できるようになっていた。

CFexpressと既存のメモリーカードがノートPCに繋がれたカードリーダー/ライターに装着されており、実際に速度を体感できる

「MWC 2019」で発表された、容量1TBのmicroSDXCカードや、4TBのUSB Type-Cメモリも展示していた。

1TBのmicroSDXCカード(右)や、4TBのUSB Type-Cメモリ(左)を展示

ソニーは2月28日にCFexpressカードの開発発表を行なっている。XQDカードと互換性のあるType Bで、最大読み出し速度1,700MB/s、最大書き込み速度1,480MB/sを実現するとともに、CFexpress規格の3倍という曲げ強度や、5倍となる5mの落下耐性といった優れた堅牢性も備えた製品にする事をめざす。

ニコンブースのZ 7/Z 6新ファームウェア概要を説明しているエリアで、モックアップが展示されていた。2019年夏に128GBモデルの商品化を予定。今後、256GB、512GBの大容量モデルの開発も検討しているという。

ソニーが開発発表したCFexpressカード。ニコンブースでモックアップを発見

BenQやEIZOから液晶ディスプレイ。ATOMOS「SHINOBI」など

ベンキューは、31.5型4K液晶ディスプレイ「PD3220U」を参考展示。DCI-P3対応で、4K/60pやHDR 10もサポート。海外発表済みで、国内での発売も予定しているという。

BenQ PD3220U

ベンキューはまた、24型程度の液晶ディスプレイを収納できる、バッテリー内蔵の特注ペリカンケースも参考出展。撮影先で車中泊しながら、ノートPCに広色域の液晶ディスプレイを組み合わせて編集作業を行なう写真家など、プロ層をターゲットとしている。AC電源出力を備えており、最大3時間利用できるという。

24型程度の液晶ディスプレイを収納できる、特注のバッテリー内蔵ペリカンケースを参考出展

EIZOは、開発中の27型「ColorEdge」液晶ディスプレイを参考出展。27型/2,560×1,440ドットのWQHD液晶パネルを搭載している。背面にUSB Type-C端子を備え、DisplayPort Alt modeの映像入力に対応。最大60W給電も可能で、ディスプレイ側からMacBookなどのUSB-Cデバイスに給電しながら映像を映せるという。5月発売をめざしており、価格は未定。

EIZOが参考出展していた新しい27型ColorEdge液晶ディスプレイ。背面のUSB Type-C端子からノートPCに60W給電できる

ATOMOSは、4K/30pまでのHDMI出力を入力でき、デジタルカメラで屋外での写真や動画撮影に適するという5.2型外部モニター「SHINOBI」を展示。1,920×1,080ドットのS-IPS液晶パネルを搭載し、10bit HDR 1,000nitに対応。重量196gと軽量なことも特徴だ。SDカードスロットも備え、ファームアップデートとLUT適用時に使用する。3月5日発売で価格は51,840円(税込)。

ATOMOS SHINOBI

ローランドは会議センター3階「プロ向け動画エリア」で、ライブやトークイベントのインターネット配信などに利用できる、フルHD映像対応のAVストリーミングミキサー「VR-1HD」を展示。映像や音響を操作するスタッフがいなくても、YouTuberやパーソナリティーなど出演者自身でVR-1HDを操作し、音と映像の演出やライブ配信を行なえるとする。3月下旬発売予定で、店頭予想価格は18万円前後(税込)。

ローランドのAVストリーミングミキサー「VR-1HD」
東芝メモリのEXCERIA(エクセリア)」ブランドの新製品は、ドライブレコーダ用に高耐久を謳うmicroSDカード。累積3,000時間(128GBモデルは累積6,000時間)のフルHD録画(21Mbps)を行なうことを想定して設計。128GBモデルでは、フルHD画質で約12時間20分の録画が可能
FeiyuTechブースでは、同ブランド初というアクションカム「RICCA」が参考出展されていた。最高4K/30p撮影に対応し、内蔵バッテリーで2時間動作する。重量は110g。3月〜4月頃の発売を予定しており、価格は3万円以内を予定