春には大きな結論が出そうです。
半導体メーカーのクアルコムはApple(アップル)と特許を巡る係争をかかえており、こちらは裁判が4月に控えています。それに先駆けてクアルコムは、Appleへプレッシャーをかけようとしているようです。
クアルコムは特許を巡る係争に関して2017年にアメリカ国際貿易委員会に提出しており(その時にAppleが負っていると主張された額は70億ドル(約7800億円)にも上ります)、その時の委員会の判断では、Appleに特許侵害があったと認めました。しかし、クアルコムが要求していた「問題となる古いモデルのiPhoneのアメリカへの輸入の禁止」は与えられませんでした。
ただ、ロイターの報道によると、裁判が近づいたここに来て、クアルコムは再度委員会にこの判断を覆し、輸入禁止を求めたようです。
2017年の段階で、担当したアメリカ国際貿易委員会の行政法審判官Thomas Pender氏は特許侵害は認めつつも、輸入禁止をするとクアルコムが不公平に有利な立場に市場で立つことになるとして退けたのでした。ドイツと中国では輸入が一部禁止されています。
AppleInsiderによると、問題になっている特許技術はワイヤレスモデムのための節電テクノロジーとのこと。最近になってAppleが公表したところでは、係争のポイントの一つはソフトウェア・パッチによって消えたとされており、AppleInsiderはこれはiOS 12.1(2018年10月)の時だろうと報道しています。
「Appleは問題の解決のために6カ月を求めており、どのような禁止措置が行なわれようとも長期的には深刻なダメージをAppleにもたらすことは無いだろう」とロイターも述べています。
アメリカへのiPhone輸入に対するどのような禁止が行なわれても、これは短期的なものになるでしょう。というのも、Appleが先週公表したところによると、クアルコム技術に対する特許侵害の一つを回避できるソフトウェア修繕を発見しているからです。委員会にこの修繕が機能すると証明するため、6カ月欲しいと求めています。
(中略)国際貿易委員会が特許侵害を認めながらも製品の輸入禁止を行なわないのは珍しいケースです。12月、委員会はPender氏の判決を再審理し、それを引き続き支持するか、取り下げるか、3月末までに判断をすると述べています。
Appleは法廷において問題箇所をパッチすることは不可能だと述べていたにも関わらず、パッチが後に配信された点をクアルコムが指摘しています。「不可能だという主張があってこそのPender氏の判決だったかもしれない」とクアルコムは論じているわけです。またAppleInsiderによると、もし禁止措置がとられるのであれば、Appleによる6カ月の待機期間の申請を却下することもクアルコムは求めています。
その一方で、Appleはクアルコムの特許ライセンシング方法は違法であると主張しています。この点は既にクアルコムが抱える別の独立した継続中の係争で詳細に議論されてきています。こちらもまだ判決は出ていません。
Appleとクアルコムの裁判が行なわれるのは4月。これはAppleが求めている6カ月の待機期間内に収まりますし、おそらくその前にこの別の係争の結果も出てくるでしょう。
Source: Reuters