映画『ディパーテッド』のネズミをCGで消すクラウドファンディングを募るも、別の誰かがソッコーで消しちゃった

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  • author Catie Keck - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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映画『ディパーテッド』のネズミをCGで消すクラウドファンディングを募るも、別の誰かがソッコーで消しちゃった
Image: DamianKuzdak / ゲッティイメージズ

できる人は、できる!

先日、おもしろいクラウドファンディング()が立ち上がりました。2006年公開のマーティン・スコセッシ監督のオスカー受賞作品『ディパーテッド』のラストシーン、覚えてらっしゃいますでしょうか。そうネズミがちょろちょろって走るやつです。「ラストシーンにネズミいらねーだろ!デジタル処理で消しちゃおうよ」というのが今回のクラウドファンディング。35ミリフィルムで撮影された映画のそのネズミを消す費用には、4,000ドル(約41万円)かかるとのことです。

Video: Adam Sacks/YouTube

クラウドファンディングを立ち上げたAdam Sacksさんは、あんなに素晴らしい映画のエンディングがなんで安っぽい感じなのかずっと残念に思っていたそう。『ディパーテッド』とネズミのお話、ちょっとだけ説明しますね。『ディパーテッド』は香港の大ヒット映画『インファナル・アフェア』のリメイクなんです。内容はギャング組織の一員でありながら警察に務める男と警察官でそのギャング組織に潜入調査する男の話。英語では内通者のことを「ラット(ネズミ)」と呼ぶのですが、だからといって最後のシーンにあからさまにネズミをチョロチョロさせるってのも...って思っている人が多かったようです。

というわけで40万円というお金を集めてデジタル処理をしたいというクラウドファンディングが立ち上がったわけですが、数日後、TwitterのEyes On Cinemaとアカウントが、なんとすでにネズミを消し去った動画をアップ!

ゲーム開発者のMark LaCroixさんと言う方が、まあいとも簡単に一晩で、しかもタダで消しちゃったわけです。LaCroixさんは「ラストシーンに映る窓はデジタルで入れ込まれた映像なんだ。だからオリジナルとの動きを合わせるのが大変で、ネズミを消すのは思ってたより難しかった。だから完璧な仕上がりではないんだけど」とツイート。また米Gizmodoの取材に対して「おもしろいクラウドファンディングにしようという意図はわかるんだけど、そのためにお金を払う人がいることがすごく嫌でした。なんとか無駄にお金を払わせたくなくて、自分でやってみたんです。」と話してくれました。

ただ実はそうこうしている間にクラウドファンディングの方は金額を達成してしまったんですが。LaCroixさんは「ラストシーンのネズミ、僕はいいと思っています。消す必要ないんじゃないかって。あれくらいハッキリとした比喩表現は意外とあの映画に合っていると思うんですよね」とも話しています。

一方、クラウドファンディングを立ち上げたSacksさんは、ネズミを見事にタダで消し去ったLaCroixさんのことを知らないと言い、「僕がやろうとしていることの下地みたいな良い例だと思います。スコセッシ監督は映画をフィルムで撮ることに信念を置いているので、ただネズミを消して35ミリフィルムに映像を起こさないというのはスコセッシ監督に対して失礼だと思うんです」と語っています。(え、でも勝手に監督のネズミ消すためにお金集める方が失礼なんじゃ...言っちゃいけないやつですかね?)

Sacksさんは集めた4,000ドルを9つのプロセスで使うと明確にしています。ブルーレイプレイヤーを買う、ソフトウェアを買う、ネズミを消せるビジュアルアーティストを雇う、35ミリフィルムに焼ける人を雇うなどなど。

現在目標額の4,000ドル以上の金額がすでに集まっていて、ブルーレイのコピーを支援者に配るのが11月となっていますが、それより早くできたらいいなとSacksさんは語っています。できるでしょ、だってもうデジタル処理は他の人がタダで一晩でやってくれたんだから! さてさて、支援者のみなさんはどう思うのでしょうか...ね?

Source: Kickstarter